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4章

4章116話(416話)

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 こうしてアル兄様とジーンを見ていると、ふたりとも素で話しているように見える。結構相性良いのかもしれないわね、と考えていると、曲が変わった。

「リザ、踊れる?」
「はい、この曲なら大丈夫です」

 アル兄様の問いかけに答えると、彼は私に手を差し出した。ヴィニー殿下を見ると、「行っておいで」とうなずいている。私はアル兄様の手に自分の手を重ね、歩き出した。難易度は中、くらいのダンスだけれど、一応踊れるくらいには練習したものだ。

 アル兄様の顔を見上げると、楽しそうに笑っていた。その笑みにつられるように、口角が上がる。難しいステップだけど、アル兄様のリードが上手なので難なく踊れた。でもやっぱり、身長差があるなぁと自分の身長が恨めしく思う。

 そして、ヴィニー殿下が言っていた通り、アル兄様のほうが彼より少し背が高い。お父様の身長も高いし、もしかしたらエドも高くなる可能性があるのかしら?

 八歳の弟の身長を考えて、ゆっくりと息を吐く。……でも、きっとこれから、私の身長も伸びるような気がしているの。

「考え事?」
「私の身長について、ね」
「気にしなくて良いと思うけどなぁ。まだ十五歳なんだから」

 踊りながら小声で話しかけてきたアル兄様に、考えていたことを話すと首を傾げられた。

「まだまだ成長するよ、リザは。僕が言うから間違いない」

 パチン、と片目を閉じて悪戯っぽく笑うアル兄様。その間にも足はステップを踏み続けている。

「ふふっ、それは楽しみだわ」

 巫子の力でえたことなのか、それともアル兄様の優しさなのかわからないけれど、素直に言葉を受け取って声を弾ませた。

「だろう? リザの人生はまだ始まったばかりなんだから、きみが望むような淑女レディを目指せばいいよ」
「私が望む、淑女レディの姿……。そうね、がんばるわ」
「ほどほどにね」

 アル兄様がもう一度片目を閉じた。曲が終わり、私たちは再び壁へと足を運ぶ。確か次の曲は高難易度のもののはずだ。だから、踊れるアカデミー生は少ないようで、会場が広々と見えた。

「あ、イヴォンとハリスンさん。この曲踊れるんだ……」
「練習していたみたいよ。イヴォンは今年の卒業を目指すって言っていたから、これが最後のアカデミーの舞踏会になるの」

 喉が渇いたのでウエイターから飲み物をもらい、一口飲む。冷たい飲み物が喉を通る感覚にほぅ、と息を吐き、ダンスを眺めていると見知った顔があったので呟く。すると、近くに来ていたジーンが私の言葉を拾い、話しかけてきた。
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