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2章

2章プロローグ

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 シー兄様の誕生日パーティーで正式にアンダーソン家の公爵令嬢として紹介された私に、いろいろな招待状が届くようになった。

 マリアお母様とも話し合い、様々なお茶会に参加して、いろんな人たちとの交流を深めた。

 その中で一番仲良くなったのはジーン・マクラグレンという侯爵令嬢。彼女は艶のある黒髪と、新緑を思わせるような緑色の瞳を持つ、私よりもひとつ年上の女性。

 アル兄様と同じ年齢だから、勝手に親近感が湧いたのかもしれない。……いいえ、きっと、彼女は興味本位で近づいてきたのではなく、ただ単に『エリザベス・アンダーソン』に興味を持ってくれたみたいで、他の令嬢たちとは違い、アンダーソン家のことではなく、私のことをたくさん教えて欲しいと言ってくれたのだ。

 お茶会が終わってからも、手紙でやり取りをする仲になり、親しい間柄になった。

 そして、彼女がしている慈善活動のことを知り、「興味があるなら一緒にどうかしら?」と誘ってくれたのでお母様に相談し、その誘いに乗ることにした。末っ子のエドワードも興味を抱いたみたいで、そのこともジーンに伝えると快くエドも連れてきて良いと言ってくれた。

「エドも良いって」
「本当?」

 ぱぁっと明るい表情を見せるエドの頭に手を伸ばし、優しく撫でるとエドはもっともっとと甘えるように擦り寄ってきた。その姿が可愛くて、思わず笑みを浮かべてぎゅっと抱きしめる。

「ところで、慈善活動ってどこでやるの?」
「ジーンは孤児院で慈善活動をしているみたいよ」

 そうなんだぁ、とエドが私のことを抱きしめ返してくれながら「どんなことをするんだろうねぇ」と好奇心を隠さない声色で呟く。

 私もまだ、ジーンがどんな風に慈善活動を行なっているのかわからないので、とても楽しみだ。


◆◆◆

 それから一週間後、ジーンがアンダーソン邸に来た。実際に会うのは久しぶりだったけれど、手紙でやり取りをしていたからかあまり『久しぶり』の感覚ではなかった。それはきっと、ジーンも同じだったみたい。

 こうしてファーストネームで呼び合う友人ができたことが、なんだか奇跡のようにも思えてしまう。

「あ、えっと、初めまして、エドワード・アンダーソンです。今日はよろしくお願いします」

 エドとジーンが実際に会うのは初めてだから(手紙にはよく話題にしていたのだけど)、緊張した面持ちで挨拶をした。
 すると、ジーンはにこりと優しく微笑んでカーテシーをする。

「初めまして、エドワード様。エリザベスからよく話を聞いておりました。お会いできて光栄ですわ」
「……え、リザ姉様が?」

 私がエドのことを手紙に書いていたのが意外だったのか、キョトンとした表情を浮かべてから顔をあげてこっちを見る。

「ええ、家族のことを書いていたのよ」
「えへへ……」

 私の口からでる『家族』という言葉に反応し、エドは照れたように笑った。

 そんな会話をしていると、マリアお母様とジャックお父様が近づいてきて、ジーンに声を掛ける。

「ごきげんよう、ジーン嬢。今日はこの子たちをお願いね」
「ごきげんよう、マリア様、ジャック様。本日はお二人をお借りします」

 ジーンがお母様とお父様に向けてカーテシーをすると、ちらりと私をエドを見て微笑んだ。

 お母様がふっと目を細めて、私たちを見てからお父様の顔を見上げた。そして、ポンっとお父様の肩を叩く。

 お父様は私とエドに手を伸ばして、頭をくしゃりと撫でる。

「お前たちの初めての慈善活動だ。ジーン嬢に迷惑を掛けないようにな」
「はい!」

 エドと声が重なった。

 私たちはジーンと一緒に馬車に乗り、窓を開けてお母様とお父様に手を振る。馬車が走り出し、両親の姿がどんどんと小さくなっていくのを、不思議な気持ちで見ていた。

「お母さまもお父さまも、馬車が見えなくなるまで見送ってくれるの」

 二人の姿が見えなくなってから、私は馬車の窓を閉じて椅子に座り直した。そして、しみじみと呟く。

「マリア様もジャック様も、二人のことを本当に愛しているのね」

 ジーンが頬に手を添えて、口角を上げる。私とエドは顔を見合わせて小首を傾げる。すると、今度は口元に手を添えてジーンが私たちを見る。その瞳は慈愛に満ちていた。

「どうしてそう思うの?」
「見ていればわかるわよ。それに、血の繋がりがなくても、あなたたちが家族なんだって、強く伝わってくるわ」

 ジーンはパチンとウインクをした。私とエドは、もう一度顔を見合わせる。

 それからは他愛のないことを話しながら、目的地まで向かった。エドの目がキラキラと輝いているのが、なんだか嬉しかった。

 エドは普段、アンダーソン邸から出ることはないから、外に出ること自体が珍しいみたい。

 嬉しそうにしているエドを見ていると、なんだか心が和んだ。

 そして、目的地についた。

 場所はマクラグレン家が支援している孤児院。ジーンがどんな慈善活動をしているのかを、私たちに教えてくれる日だ。今までは慈善活動をする余裕がなかったから、こうして自らの意志で活動しようと思えるくらい心身共に回復したってことよね。

 ファロン家にいた頃には考えられなかったこと。ドクンドクンと鼓動が大きくなるのを感じた。それはきっと、エドもそうだったのだろう。きゅっと私のドレスの袖を掴んできたから、安心させるように笑みを浮かべる。それを見て、エドはどこか安堵したように息を吐き、同じく笑顔を見せてくれた。

「二人にとっては、最初の慈善活動ね。今日はとにかく、楽しんで」

 馬車の扉が開き、ジーンの護衛が彼女へ手を差し伸べる。彼女はその手を取って馬車を降りる。

 私たちの護衛のためにカインも来ていて、手を差し出す。その手を取り馬車を降りると、エドにも手を伸ばし……というよりは、ひょいと抱っこして降ろした。

「ジーン様、お待ちしておりました」

 紺色のワンピースを着た女性がジーンを出迎えた。その女性は私たちに気付くと、にこっと微笑んでくれたので私たちも微笑み返した。

「ご紹介しますわ、院長。私の友人のエリザベス・アンダーソンと、彼女の弟のエドワード・アンダーソンです」
「ごきげんよう、ジーン様からお手紙をいただいてから、お会いできるのを楽しみにしていました」
「ごきげんよう、エリザベス・アンダーソンと申します。エド、ご挨拶を」
「えっと、エドワード・アンダーソンです……」

 エドはちょっとだけ恥ずかしそうにもじもじとして、私の後ろに隠れてしまった。そんなエドを、ジーンが院長と呼んでいた女性は微笑ましそうに見ていた。

「院長、いらっしゃったのですか?」
「ええ。イヴォン、こちらに」

 イヴォンと呼ばれた少女が顔を出す。赤茶の髪は腰までの長さで、風になびいてとても綺麗だ。深緑色の瞳でこちらを見る彼女は、すっとスカートの裾を掴みカーテシーをした。

「本日の案内役を務める、イヴォンと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

 とても綺麗なカーテシーで見惚れてしまった。そのことに気付いたのか、不安げに私たちを見る彼女に慌てて声を掛ける。

「こちらこそよろしくお願いいたします、イヴォンさん」
「呼び捨てで構いませんよ。それでは、まずはこちらからご案内しますね」

 そう言ってイヴォンは歩き出す。最初に案内されたのは礼拝堂だった。礼拝堂に入り、お祈りをしてから孤児院で暮らす子どもたちと対面した。孤児院の外で駆け回る子どもたちの声を聞きながら、近付く。

 ジーンのことは見慣れているのだろう、子どもたちは「ジーン様だ!」と嬉しそうに駆け寄り、私たちの存在に気付いてピタリと足を止める。そわそわと身体を揺らしながらチラチラとこちらの反応を窺うように視線を向ける子どもたちに、ジーンが声を掛ける。

「今日はね、私の友人も連れて来たのよ。みんな、仲良くしてくれると嬉しいわ」

 そう言って、ぽんと私の背中を押す。子どもたちは目をぱちくりとさせてから、「ジーン様のご友人なんですか?」と尋ねてきたので、小さく微笑みを浮かべてうなずいた。

「初めまして、エリザベス・アンダーソンです。この子はエドワード、私の弟なの」

 エドの肩に手を乗せると、エドはハッとしたように私を見上げて、それから口を開いた。

「初めまして、エドワード・アンダーソンです。よろしくね!」

 にこっと笑うエドの顔に、子どもたちは興味を惹かれたみたいでこちらに近付いてきた。

 そこから、子どもたちと一緒に遊んだわ。駆けっこをしたり、おままごとをしたり、こういう風に遊ぶことはなかったから、とても新鮮な気持ちになった。

 ……ただ、問題があるとすれば私の体力ね。走り回ったことで疲れてしまって、木陰で休憩することにした。エドは剣術を習っているのもあるのか、まだ元気に子どもたちと遊んでいる。無邪気に遊んでいる姿を見るのは、なんだかとても心が落ち着くものね。

「……大丈夫、ですか?」
「イヴォン。ええ、大丈夫……と、言いたいところだけど、こんなに駆け回ったの初めてで……」
「ふふ、貴族の方なら当然ですわ」

 隣に失礼しても? と聞かれたので、もちろん、と返した。すとんと私の隣に座り、子どもたちを眺めている姿は、とても絵になっているように見えて、思わずほう、と息を吐く。

「どうしました?」
「イヴォンの横顔がとても綺麗で、見惚れちゃったの」
「まぁ。ありがとう存じます」
「……ねえ、イヴォン、あなた……貴族?」

 私の問いに、イヴォンは眉を下げて「元、ですよ」とまぶたを伏せて微笑んだ。

「私はもう、貴族ではないのです」
「……そう、なのね」
「あ、そんな顔をなさらないで。私はもう立ち直っていますから」

 私、今……どんな顔をしているのかしら? イヴォンがそっと私の手に自分の手を重ねて、凛とした声を発する。

「両親が事故で亡くなったのです。財産はみんな親族に奪われてしまいましたわ。でも、こうして生きているのですから、前を向いていかないとね」
「ごめんなさい、つらい話を……」
「いいえ。あの頃の私はまだなにも出来ない幼い子どもでしたから。親族たちは私をこの孤児院に置いていきましたが、シスターたちが親切で助かりましたわ。だからこそ、私はこの孤児院に迷惑を掛けることなく去りたいのです」

 イヴォンは視線を遊んでいる子どもたちに移す。孤児院を去る? と首を傾げると、補足するように教えてくれた。

「実は今度、アカデミーに入学するのです。アカデミーはいろいろ学べる場なので、しっかり学んで自分の力にする予定なんです。十八歳になれば孤児院から出て行かなくてはならないので、ギリギリでしたけど」

 子どもたちから視線を外し、今度は空を見上げて言葉を紡ぐイヴォンに、この人はとても強い人なのだと感じた。

「そうだったのですね。では、きっとアル兄様とヴィンセント殿下の入学と同時ですわ」
「まぁ、お二人がついにアカデミーに? それはきっと……大変な盛り上がりになるでしょうね」

 いろんな人に囲まれる姿を想像して、くすくすと笑ってしまった。きっとアル兄様もヴィンセント殿下も大変な思いをすることになるだろうけれど、王族と高位貴族の宿命なのかもしれない。

「あの、イヴォン。今日会っていきなりなのだけど、私と友人になってくださらない?」

 私の言葉があまりにも意外だったのか、空を見上げていたイヴォンがこちらを見て、ぽかんと口を開けていた。

「私は平民ですよ?」
「それって重要かしら? 私は、こうやって話して、イヴォンとお友達になりたいなと感じたのだけど……迷惑だった?」
「そんなことは! ……えっと、じゃあ、よろしくお願いします……」
「こちらこそ! 私のことは『リザ』って呼んで。あと、敬語じゃなくて良いわ」
「でも……ううん、そうするわね、リザ」

 イヴォンの手をぎゅっと握ってお願いすると、彼女は少し悩んだようだったけれど、すぐに了承してくれた。ふたり目の友人が出来たことを喜んでいると、エドがこちらに近付いてきた。どうやら今度は花冠を作っていたようで、エドの頭にも乗っている。

「はい、これリザ姉様とイヴォンにあげる!」
「ありがとう、エド。とても綺麗ね」
「ありがとうございます、エドワード様」

 エドからもらった花冠を頭に乗せていると、ジーンが近付いてきた。

「たくさん遊んだから、子どもたちもう限界みたい。レモン水を飲ませて休ませるわ」
「レモン水?」
「ええ、レモン水。……という名のレモネードよ。私が来るときにはいつも、用意しているの。ここの子たちはあまり甘いものを口にする機会がないから、こういう時くらいはね」

 子どもたちは孤児院の中へと入って行く。その姿を眺めるジーンのまなざしはとても柔らかく優しかった。きっと子どもたちは、そういうジーンだから好きなのね。

 私とイヴォンも立ち上がり、四人で歩き出す。孤児院の中に入ると、子どもたちは美味しそうにレモネードを飲んで、眠そうに目を擦っている子からシスターが抱っこをして寝かしつけていた。

「エドは眠くない?」
「帰りの馬車で寝るからへーき!」

 眠いには眠いみたいね。眠気に抗っているのか口数が少なくなってきた。

「イヴォン、私ね、アカデミーには再来年入学する予定なの。アカデミーで会ったらよろしくね」
「え、でも学部が違うんじゃ……?」
「……私、これでも十二歳よ」
「そ、そうだったの。八歳くらいに見えていたわ、ごめんなさい」

 レモネードを飲みながらそんな他愛の話をして、小さな子どもたちが全員お昼寝をしたあとに、ジーンは孤児院の院長と話してくるね、と席を外した。

 うとうととしているエドは、ついに限界が来たみたいでぐらりと体が大きく揺れ、椅子から落ちる前にカインに抱っこされた。

「カイン、ありがとう」
「いえ」

 カインも子どもたちに揉まれて大変そうだったけれど、心なしか雰囲気が柔らかい気がする。寝ているエドを起こさないように移動していく姿は、彼も『父親』なのだと感じさせた。

「イヴォン、手紙を書いても良いかしら?」
「もちろんよ。たくさん文通しましょう」
「ええ、楽しみにしているわ」

 イヴォンが文通を許可してくれて良かった。それからすぐにジーンが戻ってきて、そろそろ帰ることになった。馬車の見送りにはイヴォンとシスター、そして院長が来てくれて、それぞれ挨拶をしてから馬車に乗り込む。

 馬車が走り出して、みんなの姿がどんどんと小さくなっていくのを眺めながらゆっくりと息を吐く。

「どうだった? 初めての慈善活動は」
「……思っていたよりも疲れたわ。私の体力が足りないせいでもあるんだけどね」

 すやすやと寝息を立てているエドを起こさないように、小声で話す。アンダーソン邸に帰ったら、体力作りもしなくてはね。

「今日はこんな感じだったけれど、本格的に始めるのならひとつだけ注意事項があるわ」
「注意事項?」
「ええ。人を見る目を養いなさい」
「人を、見る目?」
「そうよ。あの孤児院ではきちんとしているけれど、中には腐った孤児院もあるからね」

 腐った孤児院? と目を瞬かせると、ジーンは真剣な表情で私を見つめる。

「建物だけゴージャスだったり、院長や孤児院で働いている大人が高そうな服やアクセサリーを身に着けていたら、腐っているサインよ。あと、子どもの服装もチェックが必要ね。そういう孤児院は子どもたちに無関心で、着ている服が汚れていたりするの。子どもたちの体がガリガリだったりね」

 ジーンの説明を聞いて、以前の自分の体を思い浮かべた。今はそんなことないのだけど、アル兄様に助けてもらった時はかなり痩せていたから。以前の私のような子が居たら、そこはもしかしたら……ということね。

「わかったわ。自分の目でしっかりと見極めることが大事なのね」
「ええ。きっと、あなたなら大丈夫だとは思うのだけど」
「過大評価じゃないかしら、それは……」

 ジーンは目を数回瞬かせると、緩やかに首を横に振り、私のことをじっと見つめた。

「そんなことないわ。私はエリザベスを信じているもの」
「……信じる?」
「そうよ。あなたは自分の運命に立ち向かう勇気がある人だもの」

 彼女の言葉が、心に沁みるようだった。ジーンにはファロン家でのことも話してある。
 ファロン家のことを聞いて、彼女は怒ってくれた。私のために。そして、『つらかったね』と抱きしめて、一緒に泣いてくれた。

「……私、最初の友人がジーンで嬉しいわ」
「あら、光栄ね。でも、エリザベスの最初の友人は、ヴィンセント殿下ではないの?」
「えっと、同性の友人! 同年代で同性の友人!」
「ふふ、冗談よ。ありがとう」

 他愛のない話をしていると、馬車での移動もあっという間で……気が付けばアンダーソン邸についた。

「エド、起きて。ついたよ」
「う~……ん……?」
「熟睡してるね」
「たくさん遊んだから、かな?」

 ゆさゆさとエドの体を揺らしたけど、起きる気配がないわ。それどころか幸せそうに寝息を立てている。一体、眠りの世界でどんな夢をみているのかしらね?

 仕方ないのでカインにエドのことをお願いする。彼は「かしこまりました」と言ってからひょいとエドを抱き上げ、馬車から降りる。そして、エドを片手で支え、私に手を差し出した。急いでその手を掴んで馬車から降りる。

 すぐにパッと手を離すと、カインはエドのことを抱え直した。

「カイン、エドを部屋のベッドで寝かせてあげて」
「はい、エリザベス様」

 エドのことはカインに任せれば安心ね。

 私も馬車を降りて、ジーンに「今日はありがとう」と微笑みながら口にして、頭を下げた。

 ジーンは緩やかに首を横に振り、「こちらこそありがとう。楽しい一日だったわ」と言ってくれた。
 それじゃあ、また今度。そう言って手を振り、ジーンを乗せた馬車が小さくなるまで見送った。そして、玄関から中へ入ると、ジャックお父様が「おかえり」と出迎えてくれた。

 私はお父様に近付いて、「ただいま戻りました」と笑顔を浮かべると、お父様は私の髪をくしゃりと撫でる。

「いい顔をしているな。今日はどんなことがあったのか、教えてくれるか?」
「もちろんですわ!」

 ひょいと私のことを抱き上げて、歩き出す。私はお父様に今日あったことを話した。お父様は興味深そうに聞いてくれて、「良い一日だったな」と微笑んだ。

◆◆◆

 それから約二年が経った。

 今日はアカデミーの入学式だ。

 ジーンとイヴォンが私に近付いて声を掛ける。

 なんと、アカデミーの寮では彼女たちと一緒の部屋になったのだ。

 私も久しぶりの再会に嬉しくなっていろいろ話そうとしたけれど、その前に入学式に行かなくてはいけない。

「新入生代表、ジェリー・ブライト」

 ――自分の目と耳を疑った。

 それは白銀の髪と、黄金の瞳を持つ少女だった。

 私の存在に気付くと、フッと笑みを浮かべる少女。ジュリーにとても似ている彼女に、鼓動がドクンドクンと大きく鳴った。

 だって、ジュリーがここに居るわけない。彼女は一体、何者なの……?

 アカデミーに入学して初日。

 私は再び、自分の運命と向き合うことになる。

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