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3章:竜の国 ユミルトゥス
竜の国へ! 2話
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「ふぃ、フィリベルトさま!? い、いったいどうしたのですかっ?」
「いや、ムーンには触るのに、オレには触れてくれないのかと思ったら、つい」
仮の恋人とはいえ、そういうスキンシップはあまりしてこなかった。そ、それにまだ、フィリベルトさまのご両親に挨拶していないのよ!?
「そ、そういうことは、無事にご両親の了承を得てからではないと!」
「ああ、良かった。オレと婚約するつもりはあるんだ」
「えっ? あっ……!」
たぶん今、私の顔は真っ赤に染まっているわ……!
パニックになりつつ、彼から抜け出そうとしたけれど、私の力では拘束を解くことは無理そう!
ふわっとお姫さま抱っこをされて、ムーンの背に乗る私たち。あ……の、乗せるためだったのね……!
「ここからは空の旅だ。余裕があるなら、景色を楽しむといい。ムーン、頼んだ!」
フィリベルトさまの声に応えるように、ムーンが吠えた。
そして、バサッと翼を広げて空へ舞う。
「わぁあああっ!」
私の口から出たのは悲鳴……ではなく、空から見える景色があまりにもきれいだったから出た、感激の言葉だった。
「すごい、すごい! こんなにきれいだったなんて!」
そうはしゃいでいると、フィリベルトさまのくつくつと笑う声が耳に届いた。どうして笑うのかしら、と彼を振り返る。
「そんなに感激されるなんて、光栄だよ」
……はしゃぎすぎちゃった。
ジェットコースター大好きだったのよ、前世の私。
久々ジェットコースター感を味わって、空からの景色を楽しんでいると、フィリベルトさまはきゅっと私の腰を掴んで、「しっかり掴まっていて」と耳元でささやく。
掴まる? と疑問を抱くと――ムーンが急降下した。
うわぁ、すごい、すごい、本当にすごい!
ジェットコースターの急降下と同じくらい、ううん、それ以上のスリル!
ムーンが平地に着地すると、フィリベルトさまは私の腰を掴んだままムーンから降りた。
「ここは……?」
草原に、竜が次々と着地する。
ローレンとチェルシーも、ジェットコースターの経験なんてないだろうし、大丈夫かな? と不安になって彼女たちの姿を探す。
ふらふらとした足取りの彼女たちを見つけて、心配になってフィリベルトさまを見上げた。
彼はぱっと私の腰から手を離したので、ローレンたちに声をかけにいくために近づく。
「ちょっと、大丈夫?」
「いえ、ちょっと、なんか、むりです……」
「お、おなじく……」
初めての経験だったものね。無理もないわ。
ぽんぽんと彼女たちの肩を叩く。フィリベルトさまの他にも男性が数人、女性が数人いて、初めて竜に乗る私たちを、安全に運んでもらったとは思うのだけど……
「空からの景色は楽しめた?」
「リディアお嬢さまは、楽しめましたか……?」
「ええ、楽しめたわ。とってもきれいだったのよ」
「……それは、よかったです……」
ハンカチで口元を押さえる二人に笑顔を見せると、彼女たちは羨ましそうなまなざしを注いできた。
ジェットコースター好きの私はともかく、二人にはきつかったのだろう。
観覧車くらいゆっくり動くものなら大丈夫かしら、と考えていると、一人の女性が私に話しかけてきた。
「すごいですね、初めてで空からの景色を楽しめるなんて」
「そうですか?」
「ええ。わたし、初めて竜に乗って飛んだときは、意識を失いましたもの」
……空の上で、失神?
「だ、大丈夫だったのですか……?」
「先輩に助けてもらいました……」
えへへ、と笑う女性はとても愛らしかった。
こんなに可愛らしい方も、竜に乗って空を翔け巡るのね……なんだか感動してしまう。
「いや、ムーンには触るのに、オレには触れてくれないのかと思ったら、つい」
仮の恋人とはいえ、そういうスキンシップはあまりしてこなかった。そ、それにまだ、フィリベルトさまのご両親に挨拶していないのよ!?
「そ、そういうことは、無事にご両親の了承を得てからではないと!」
「ああ、良かった。オレと婚約するつもりはあるんだ」
「えっ? あっ……!」
たぶん今、私の顔は真っ赤に染まっているわ……!
パニックになりつつ、彼から抜け出そうとしたけれど、私の力では拘束を解くことは無理そう!
ふわっとお姫さま抱っこをされて、ムーンの背に乗る私たち。あ……の、乗せるためだったのね……!
「ここからは空の旅だ。余裕があるなら、景色を楽しむといい。ムーン、頼んだ!」
フィリベルトさまの声に応えるように、ムーンが吠えた。
そして、バサッと翼を広げて空へ舞う。
「わぁあああっ!」
私の口から出たのは悲鳴……ではなく、空から見える景色があまりにもきれいだったから出た、感激の言葉だった。
「すごい、すごい! こんなにきれいだったなんて!」
そうはしゃいでいると、フィリベルトさまのくつくつと笑う声が耳に届いた。どうして笑うのかしら、と彼を振り返る。
「そんなに感激されるなんて、光栄だよ」
……はしゃぎすぎちゃった。
ジェットコースター大好きだったのよ、前世の私。
久々ジェットコースター感を味わって、空からの景色を楽しんでいると、フィリベルトさまはきゅっと私の腰を掴んで、「しっかり掴まっていて」と耳元でささやく。
掴まる? と疑問を抱くと――ムーンが急降下した。
うわぁ、すごい、すごい、本当にすごい!
ジェットコースターの急降下と同じくらい、ううん、それ以上のスリル!
ムーンが平地に着地すると、フィリベルトさまは私の腰を掴んだままムーンから降りた。
「ここは……?」
草原に、竜が次々と着地する。
ローレンとチェルシーも、ジェットコースターの経験なんてないだろうし、大丈夫かな? と不安になって彼女たちの姿を探す。
ふらふらとした足取りの彼女たちを見つけて、心配になってフィリベルトさまを見上げた。
彼はぱっと私の腰から手を離したので、ローレンたちに声をかけにいくために近づく。
「ちょっと、大丈夫?」
「いえ、ちょっと、なんか、むりです……」
「お、おなじく……」
初めての経験だったものね。無理もないわ。
ぽんぽんと彼女たちの肩を叩く。フィリベルトさまの他にも男性が数人、女性が数人いて、初めて竜に乗る私たちを、安全に運んでもらったとは思うのだけど……
「空からの景色は楽しめた?」
「リディアお嬢さまは、楽しめましたか……?」
「ええ、楽しめたわ。とってもきれいだったのよ」
「……それは、よかったです……」
ハンカチで口元を押さえる二人に笑顔を見せると、彼女たちは羨ましそうなまなざしを注いできた。
ジェットコースター好きの私はともかく、二人にはきつかったのだろう。
観覧車くらいゆっくり動くものなら大丈夫かしら、と考えていると、一人の女性が私に話しかけてきた。
「すごいですね、初めてで空からの景色を楽しめるなんて」
「そうですか?」
「ええ。わたし、初めて竜に乗って飛んだときは、意識を失いましたもの」
……空の上で、失神?
「だ、大丈夫だったのですか……?」
「先輩に助けてもらいました……」
えへへ、と笑う女性はとても愛らしかった。
こんなに可愛らしい方も、竜に乗って空を翔け巡るのね……なんだか感動してしまう。
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