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3章:竜の国 ユミルトゥス
乙女な部屋 3話
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「それでね、『なにがあった?』と聞いてくれて……いろいろ話しているうちに、彼がいきなり怒り出して、その日のうちに婚約が解消されたのよ」
エステルさまは人差し指と中指を、ハサミのように立てて、ちょきん、と切る動きをした。
アーノルドさま、行動が素早い。
「そこからはあっという間だったわ。アーノルドに告白をされて、婚約者になったの」
「……アーノルドさま、すごいですね……」
いやもう、本当にすごいとしか言えない。
エステルさまの顔は真っ赤に染まっていて、なんだかとても『恋』をしているなって思った。
「彼は、私にずっと愛を注いでくれたわ。王族の血筋の人は男女問わず愛情深いんですって。前の婚約者に浮気ばかりされて、自分に自信を持てなかった私を、ずっと支えてくれたの」
そこで一度言葉を切り、エステルさまは慈愛に満ちた微笑みを浮かべて、こちらを見る。
「彼のおかげで、私は立ち直れた。だからね、リディアちゃん。あなたもきっと、すぐに自信を取り戻せるわ」
彼女はそっと私の頬に手を添えて、パチン、と茶目っ気たっぷりにウインクをした。
「人に愛されている実感があるとね、どんどんときれいになれるのよ」
「……私も、きれいになれるでしょうか?」
「もちろん! 今だってきれいだけど、もっともっと、美しくなれるわ」
きっぱりと断言したエステルさまの瞳は、とても輝いている。
彼女のように、私もきれいになれるのかな……?
「竜に乗ってきたから、疲れたでしょう? ゆっくり休んでちょうだいね」
「あ、ありがとうございます」
エステルさまは「いいえー」と楽しそうに声を弾ませて、部屋から出ていった。
ぱたんと扉が閉まるまで見送り、私はそのままソファの上に座り込む。
とても座り心地のよい、ベビーピンクのソファ。
ウキウキしながらこの部屋を用意してくれたのだろう。
なんだか本当に、お姫さまになった気分だわ。
ぼんやりと見慣れない天井を見つめていると、扉がノックされた。
「リディアお嬢さま、ローレンとチェルシーです」
「どうぞ、入って」
「失礼いたします」
扉が開いて、二人が入ってきた。顔色は……だいぶ良くなったわね。
「……なんだか、とても……可愛らしい部屋ですね」
「公爵夫人――エステルさまの趣味らしいわ」
なるほど、とうなずく二人。
ローレンは辺りを見渡し、チェルシーは調度品を眺めてから、私に近づいてきた。
「二人とも、具合はもう大丈夫?」
「はい、ゆっくり休めたおかげで、なんとか」
「でも、もう二度と竜には乗りたくないです……」
二人は哀愁漂う表情を浮かべながら、それぞれ言葉を紡ぐ。
エステルさまは人差し指と中指を、ハサミのように立てて、ちょきん、と切る動きをした。
アーノルドさま、行動が素早い。
「そこからはあっという間だったわ。アーノルドに告白をされて、婚約者になったの」
「……アーノルドさま、すごいですね……」
いやもう、本当にすごいとしか言えない。
エステルさまの顔は真っ赤に染まっていて、なんだかとても『恋』をしているなって思った。
「彼は、私にずっと愛を注いでくれたわ。王族の血筋の人は男女問わず愛情深いんですって。前の婚約者に浮気ばかりされて、自分に自信を持てなかった私を、ずっと支えてくれたの」
そこで一度言葉を切り、エステルさまは慈愛に満ちた微笑みを浮かべて、こちらを見る。
「彼のおかげで、私は立ち直れた。だからね、リディアちゃん。あなたもきっと、すぐに自信を取り戻せるわ」
彼女はそっと私の頬に手を添えて、パチン、と茶目っ気たっぷりにウインクをした。
「人に愛されている実感があるとね、どんどんときれいになれるのよ」
「……私も、きれいになれるでしょうか?」
「もちろん! 今だってきれいだけど、もっともっと、美しくなれるわ」
きっぱりと断言したエステルさまの瞳は、とても輝いている。
彼女のように、私もきれいになれるのかな……?
「竜に乗ってきたから、疲れたでしょう? ゆっくり休んでちょうだいね」
「あ、ありがとうございます」
エステルさまは「いいえー」と楽しそうに声を弾ませて、部屋から出ていった。
ぱたんと扉が閉まるまで見送り、私はそのままソファの上に座り込む。
とても座り心地のよい、ベビーピンクのソファ。
ウキウキしながらこの部屋を用意してくれたのだろう。
なんだか本当に、お姫さまになった気分だわ。
ぼんやりと見慣れない天井を見つめていると、扉がノックされた。
「リディアお嬢さま、ローレンとチェルシーです」
「どうぞ、入って」
「失礼いたします」
扉が開いて、二人が入ってきた。顔色は……だいぶ良くなったわね。
「……なんだか、とても……可愛らしい部屋ですね」
「公爵夫人――エステルさまの趣味らしいわ」
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ローレンは辺りを見渡し、チェルシーは調度品を眺めてから、私に近づいてきた。
「二人とも、具合はもう大丈夫?」
「はい、ゆっくり休めたおかげで、なんとか」
「でも、もう二度と竜には乗りたくないです……」
二人は哀愁漂う表情を浮かべながら、それぞれ言葉を紡ぐ。
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