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🐾ダンジョンと仲間とボクと🐾
🐾5 仲間たち
しおりを挟むさすがに最下層と言うだけあって、一度に出て来る魔物の数は相当なものだった。
「トゥグリ、例の部屋はまだか!?」
「そろそろよ。この先に、理力も魔力も異常に溜まっている場所があるわ」
「確かに。我も感じる。風の精霊が少ないダンジョンにおいて、あのように風の渦巻く場所はおかしい⋯⋯」
風と水の魔法を使うゲイルが、上下両端が鋭いナイフになった棍のような槍を振り回して飛びかかる小型の火ネズミを切り裂きながら、通路の奥を見つめた。
「よおし、後もうひと踏ん張りだ! お宝をゲットして、街でうまいもんでも食おうぜ!!」
ドルガの雄叫びに、皆の熱が入った。
⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔
いつかはあるかもしれないと思ってはいた。
いつかは言われるのだろうと思ってはいたのだ。
だけど! 今? ここで!? この状況で言われるとは思ってもみなかった⋯⋯!!
「だって、オマエ、ニンゲンじゃねぇか」
「そっ⋯⋯それでも、今までやってきたじゃないか」
いよいよ、依頼のお宝がある部屋の前に立ち、一度休憩を入れるためキャンプは張らずに、飲み物と軽食だけを用意していたら、ゲイルが言いにくそうに告げたのだ。
「長い間ご苦労だったな」
これからは、荷物持ち兼雑用係の僕は必要ないというのだ。
ダンジョンの中だからと言うだけではなく、貧血を起こしかけていたのだろう、目の前が暗くなった。
「けどよー、持てる荷物は少ねぇし、装甲も薄いから高価な防具つけなきゃ、俺らが撫でただけでも大怪我するじゃねぇか」
ドルガの言葉に、怪力自慢で鉄のように硬い鱗に鎧も必要としないドラゴニュートのゲイルが、肉厚な胸を反らす。
「被毛もハゲてて態々毛皮を買わねぇと凍えるし、爪は殆ど無くて柔らけぇし岩山も登れねえじゃんよ。お前のために態々ルートを選ばなきゃなんねぇの面倒だしなぁ」
眉を寄せて面倒くさそうに言うのは、豹の獣人ペイル。
「力も無くて、グレードソードも持ち上がらねぇ、バトルアクスも振り回せねぇじゃ、動きのトロいメタルタートルすらも斃せねぇし、魔法もショボいのしか使えねぇんじゃ、いつか死ぬぜ?」
逞しい腕を組んで仁王立ちに偉そうなのは虎の獣人ドルガ。
ゲイルは風と水の魔法が使える槍の名手で、直立歩行する蜥蜴や鰐のような姿の中衛職。
ペイルは素速いトリッキーな動きで敵を攪乱しながら、鋭い爪と牙で敵を切り裂く豹人で前衛職。
背中に身長ほどデカいグレードソードを背負い、腰に象も真っ二つにしそうなバトルアクスを提げた、三度の飯よりバトルが好きな虎人の戦士ドルガ。
それに、少し前から仲間に加わったハーピイよりかは人間かもね? な姿で雌の鷹の鳥人 トゥグリと荷物持ちの僕を入れての五人で、パーティは構成されていた。
トゥグリは、鳥人なのに暗いところでもよく見える魔眼の持ち主で、罠や魔法の痕跡などを見る能力を買われて、斥候や高く飛び上がっての奇襲攻撃でバックアタッカーなどをしている。
トゥグリはあまり口数が少ない方だからか新しいメンバーだからか、単に興味がないのか、この状況でも口を挟まないし、意見も言わない。ので当然、反対も賛成もしない。
「僕は人間なんだから、獣人達のような膂力はないからそんな大きくて重い得物なんて使えないし、亜人みたいに魔法をバンバン撃ったり出来ないよ!
それでも、ちゃんと今までやって来たでしょう? 荷物持ちだって⋯⋯」
「それなんだがな」
「トゥグリは、翼を使って飛ぶことが大事だろう? 実は、マジックバッグを持ってるらしいんだ」
「え?」
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