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第一章 辺境の町

第246話 とっておきの食材で

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 ――シルエラさんと一緒に作った料理は三品。


 まずはパスタを使った料理から。小麦の生産が少ないため手に入りにくいんだけど、シルエラさんが一緒に食べる時用にとあらかじめ用意してくれていましたっ。うれしい。
 白チーズ茸と塩漬け肉を細かく刻んで入れ、茸が熱で溶けてカルボナーラ風の濃厚なソースになるのを待ってからパスタに絡める。仕上げに、オリジナルのスパイスをパラリと振りかけておく。

 次に、魔物肉を数種類の香草や薬草で煮込んだスープを作った。完成間近の火から下ろす少し前のところで、大胆にぶつ切りにした白チーズ茸をたっぷりと入れる。
 味と共に食感も楽しめるようにと工夫された調理方法だけど、タイミングがとっても難しいらしい。それを、絶妙にコントロールして仕上げてくれた。

 もう一品は白チーズ茸を魔法で乾燥させてから、カリカリになるまで焼き上げるという、スナック菓子風のものだった。
 簡単そうに見えて、実はこのシンプルな一品も難しかった……。結局上手く作れなくて、全部シルエラさん作のになっちゃいました。

 最後に、香草入りの白チーズ茸のディップの作り方も教えて貰った。これもまた火加減が難しかったけど、そこさえ注意してじっくりと熱を加えていけば、ふんわりといい感じになるまで茸を溶かすのに成功したよ。

 これで、パンの実やスティック状に切った色とりどりの野菜、先程作ったスナック菓子風の白チーズ茸にも合う、万能のディップソースが出来上がった。う~ん美味しそうっ。今からつけて食べるのが楽しみです!



 シルエラさんと二人で、食卓いっぱいに出来立ての料理を並べてから、向かい合わせに座る。
 昼食にするには豪華なお料理の数々だけど、そのどれもが食欲を刺激するいい香りを放っていた。

「ローザがお手伝いしてくれたから、あっという間に出来たわね。ありがとう」

「いえいえ、そんな。こちらこそ美味しそうなレシピを教えていただけてうれしいです、シルエラさん」

「ふふっ、そう? よかったわ。では、いただきましょうか」

「はい、いただきます!」

 全力で魔力を使って修行したので、お腹がペコペコなんですよね。堪らずにパクパクと食べてしまう。

 どれも美味しかったけど、その中でも魔物肉のスープが絶品で、ついついおかわりしちゃった。

 シルエラさんも『料理』スキルをお持ちなので、美味しく出来上がるのは当然なんでしょうけど、それにしても美味しい。
 最適にブレンドされた香草のブーケを入れ香り高く風味付けしたスープ。
 肉の臭みや脂っぽさを消し、おまけに少し固かった魔物肉を柔らかな肉質へと変えてくれている。

 後味も口当たり良く仕上がっていた。

 薬草も一緒に入れたはずなのに変な苦味もなく、辛草がピリリと効いていて全体の味を引き締め役割を果たしていた。それが、より秀逸な一品にしていてよかった。

 最後にぶつ切りにして入れた白チーズ茸も半分くらいほどよくスープに溶けだしていて、ふわふわでとろとろの食感を楽しめたし。

  複雑に味が絡み合った濃厚なスープなのに、しつこさを感じさせない絶妙な仕上がりでした。もう大満足です!




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