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第一章 辺境の町
第247話 料理の底力
しおりを挟むそして毎度のことながら、この世界の料理って、使う食材や『料理』スキルのレベルによっては食後にすぐ感じ取れるほどの異変が身体に起きるんだよね。
もちろんいい意味でだけど。気力、体力、魔力なんかがポーションほどじゃないにしろ、時間は掛かるけどほぼ全回復しちゃうものまである。
勿論、そこには『料理』スキルのレベルの高さが関係してくるんだけどね。高レベルの料理人が作ったもの程、回復率や回復速度が上がる。
おかげでシルエラが料理したものだと、土魔法の習得で失った魔力は全部、補充されたよね。すごくないですか、これ?
前の世界にも、栄養価が高く体に良い効能があると言う食材や健康食品なんかはあったけど、ここまでの即効性はなかったし効果も万人に効くっていう訳じゃなかった。
薬膳料理って言葉はどちらの世界にもあるけど、この世界のは本当に読んで字のごとく、薬の効能が実感できるお膳なんだよね。
料理でさえこの効き目なんだから、多種多様なポーションを作ることができて出回るのも納得できる。
ポーションの材料についてはそれほど詳しくはないけど、薬草や薬樹からだけじゃなく、マジックキノコや魔石などを使用し作成されているのは知っている。いずれも使った瞬間に効果があるんだからすごいよね。
一応、私も含めたパーティーメンバーはありがたいことに、今のところ怪我に関してはレベル2の聖魔法で治せる程度で済んでいるので、ポーションの出番は少ない。
でも即効性があるので、魔力を回復させる為にお世話になっています。万一の時のためにいつも常備しているけど、すっごくいいお値段がするから、お財布に優しくないけどねっ。
食後のお茶を飲みながら、エルフなのに、エルフの事を何も知らないに等しい私に、シルエラさんが色々と話してくれる。
……ほら、私って、気が付いた時は知らない森の中に一人でいて、記憶を失っていたと言うことになってるじゃない?
本当は知っての通り、微妙に違うんだけどね……異世界から来た元人間だっていう辺りが。
だから心配してくれて、機会がある毎にこうしてさりげなく教えてくれてるんだ。ありがたいよね。
今回はちょうどいい機会だからと魔樹を含め、エルフという種族がどう森と向き合ってきたのかについての話になった。
人族側からだけの偏った知識じゃなく、エルフの側から見たトレント全般についてや、シルエラさんが魔樹の討伐に参加しなかった訳なんかもね。
「ちゃんと理由があるのよ……」
魔樹の討伐に消極的だった理由。それは何も、人族に対する過去の遺恨からというだけじゃなかった。
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