53 / 61
53 ダリアナの聴取
しおりを挟む
護衛さんは目を細めて偽物の笑顔を消してわけのわからない話を始めた。
「君はアレクシス・ギャレット小公爵様が襲われることを知っていたそうだね。誰から聞いたんだい?」
「そのアレクシスなんとかって誰?」
私は小首を傾げて可愛らしく聞いたのに抑揚のない冷たい返事を返してきた。
「ボブバージル様の兄上殿だよ。知らないわけがないだろう?」
「あー、あの人か。それは誰にも聞いてないわ。私の頭に浮かんできたのよ」
そんなすごい力は他の人にはないはずだから私は自慢気に答えてやった。
「嘘は君が困ることになると言ったはずだが?」
「嘘じゃないわよっ! 私はその人に触ると私とどうなるかがわかるのよっ!」
私の自慢の力を嘘だと言われて私は立ち上がって強く言い返した。護衛さんが目をピクピクさせて怖い。偽物でいいから笑ってほしい。
「いったい何を言っているんだ?」
「だから人に触るとその人と私のことが頭に浮かぶのっ! そう説明しているでしょう!」
「もういい。座れっ!」
興奮して立ち上がってしまった私に護衛さんは命令した。その前の『座って』という口調とは明らかに違っていて私は大人しく座った。
「次だが。アレクシス様が襲われた時、そこに王子殿下がいたことは誰に聞いたんだ?」
「だから頭に浮かんだのっ! ボブバージルと手をつないだら『二人が死んでボブ様が公爵になって私に告白する』それが頭に浮かんだのっ! もう! なんなのよっ!」
『バン!』
私はイライラして机を叩いた。護衛さんはそれをさらに目を細めて軽蔑しているみたいに見下ろしてくる。その気持ちが現れたような冷たい言い方をしてきた。
「君のその夢のために誰かに襲わせたんじゃないのか?」
「そんなことしないわよっ!」
私は怒鳴ってしまったが護衛さんはいいことを教えてくれた。私はガーリー伯父さんの子爵家に行っていてあのことを確認できなかったんだもの。
「へぇ。本当に襲われたんだ。ふふふ。もうすぐボブバージルは私を迎えに来るのね。やっと彼にもわかってもらえるのね」
「いったい何を言ってるんだ。じゃあ俺を触ってみろ」
私は護衛さんを手を触った。
「この部屋で私と話しているわ。私に聞きたいことがあるのに分からなくてイライラしている感じだわ」
私は浮かんだことを正直に話したのに護衛さんは鼻で笑った。
「は? そんなの見ればわかるだろ?」
「だって、護衛さんと私じゃそれしかないでしょう! 護衛さんは私にそれしか求めてないでしょう!」
「当たり前だっ! そうか、じゃあ、ちょっと待ってろ」
部屋から一度出ていった護衛さんは同じような格好の人を連れてきた。
「こいつを触ってみろ」
私はその人の腕の触ったが何も浮かばない。手を直接触ったが何も浮かばない。
「何も浮かばないわよ。この人は私に何も求めてないでしょっ!」
「もういい」
何も浮かばなかった人は部屋を出ていき偽物笑顔の護衛さんが『ガタン』と大きな音をたてて座った。
「じゃあ、マクナイト伯爵様がエイダ・ゲラティルから、『君が選んだから伯爵様と結婚を決めた』と言われたそうだが?」
今度は前のめりになって脅すような視線をしてくる。私は体を反らした。
「ええ、そうよ。私とお母様が幸せになることが頭に浮かんできたの。ボブ様のことも浮かんできたわ」
私はフンと横を向いた。この人の目は怖い。見ていたくない。
「母親の結婚より先に、ボブバージル様を知っていたのか?」
「そうよ。私を迎えに来る夢の王子様だもの」
私はずっと横を向いたままにした。
「まさか、伯爵様の元奥様が亡くなったことも知っているのか?」
「ええ、もちろん知っているわ」
――これは、ダリアナとしては母親に聞いて知っているだけだったのだが、話の成り行きで『前マクナイト伯爵夫人が亡くなることを亡くなる前から知っていた』というように、相手に伝わってしまっていることはダリアナは気がついていない――
イライラした様子の護衛さんは腕も足も組んで脅すような声を出した。
「全く。こんなことをいつから計画していたというんだ……。
話を戻すがアレクシス様を襲ったやつらとはどこで知り合ったんだ? お前でなく雇ったのは母親か?」
『君』ではなく『お前』になっていることにムカついたから私も正面を向いて護衛さんを睨んでやった。
「そんな人たち知らないわよっ! 襲われるところが頭に浮かんできたって言ってるでしょう!」
「そんなものあるわけないだろうがっ! お前が襲わせたのじゃないなら誰がやったっていうんだ。
それも王子殿下がご一緒だったことはそこにいた奴らしか知らないことなんだよ。うまく逃げたやつから聞いたんだろう?」
「違うわよっ! 夢の中で騎士みたいな人が『殿下』って言ってたから王子様だって思っただけよ!」
私の頭の中に浮かんだものを見せられないことが悔しくてたまらない。
「君はアレクシス・ギャレット小公爵様が襲われることを知っていたそうだね。誰から聞いたんだい?」
「そのアレクシスなんとかって誰?」
私は小首を傾げて可愛らしく聞いたのに抑揚のない冷たい返事を返してきた。
「ボブバージル様の兄上殿だよ。知らないわけがないだろう?」
「あー、あの人か。それは誰にも聞いてないわ。私の頭に浮かんできたのよ」
そんなすごい力は他の人にはないはずだから私は自慢気に答えてやった。
「嘘は君が困ることになると言ったはずだが?」
「嘘じゃないわよっ! 私はその人に触ると私とどうなるかがわかるのよっ!」
私の自慢の力を嘘だと言われて私は立ち上がって強く言い返した。護衛さんが目をピクピクさせて怖い。偽物でいいから笑ってほしい。
「いったい何を言っているんだ?」
「だから人に触るとその人と私のことが頭に浮かぶのっ! そう説明しているでしょう!」
「もういい。座れっ!」
興奮して立ち上がってしまった私に護衛さんは命令した。その前の『座って』という口調とは明らかに違っていて私は大人しく座った。
「次だが。アレクシス様が襲われた時、そこに王子殿下がいたことは誰に聞いたんだ?」
「だから頭に浮かんだのっ! ボブバージルと手をつないだら『二人が死んでボブ様が公爵になって私に告白する』それが頭に浮かんだのっ! もう! なんなのよっ!」
『バン!』
私はイライラして机を叩いた。護衛さんはそれをさらに目を細めて軽蔑しているみたいに見下ろしてくる。その気持ちが現れたような冷たい言い方をしてきた。
「君のその夢のために誰かに襲わせたんじゃないのか?」
「そんなことしないわよっ!」
私は怒鳴ってしまったが護衛さんはいいことを教えてくれた。私はガーリー伯父さんの子爵家に行っていてあのことを確認できなかったんだもの。
「へぇ。本当に襲われたんだ。ふふふ。もうすぐボブバージルは私を迎えに来るのね。やっと彼にもわかってもらえるのね」
「いったい何を言ってるんだ。じゃあ俺を触ってみろ」
私は護衛さんを手を触った。
「この部屋で私と話しているわ。私に聞きたいことがあるのに分からなくてイライラしている感じだわ」
私は浮かんだことを正直に話したのに護衛さんは鼻で笑った。
「は? そんなの見ればわかるだろ?」
「だって、護衛さんと私じゃそれしかないでしょう! 護衛さんは私にそれしか求めてないでしょう!」
「当たり前だっ! そうか、じゃあ、ちょっと待ってろ」
部屋から一度出ていった護衛さんは同じような格好の人を連れてきた。
「こいつを触ってみろ」
私はその人の腕の触ったが何も浮かばない。手を直接触ったが何も浮かばない。
「何も浮かばないわよ。この人は私に何も求めてないでしょっ!」
「もういい」
何も浮かばなかった人は部屋を出ていき偽物笑顔の護衛さんが『ガタン』と大きな音をたてて座った。
「じゃあ、マクナイト伯爵様がエイダ・ゲラティルから、『君が選んだから伯爵様と結婚を決めた』と言われたそうだが?」
今度は前のめりになって脅すような視線をしてくる。私は体を反らした。
「ええ、そうよ。私とお母様が幸せになることが頭に浮かんできたの。ボブ様のことも浮かんできたわ」
私はフンと横を向いた。この人の目は怖い。見ていたくない。
「母親の結婚より先に、ボブバージル様を知っていたのか?」
「そうよ。私を迎えに来る夢の王子様だもの」
私はずっと横を向いたままにした。
「まさか、伯爵様の元奥様が亡くなったことも知っているのか?」
「ええ、もちろん知っているわ」
――これは、ダリアナとしては母親に聞いて知っているだけだったのだが、話の成り行きで『前マクナイト伯爵夫人が亡くなることを亡くなる前から知っていた』というように、相手に伝わってしまっていることはダリアナは気がついていない――
イライラした様子の護衛さんは腕も足も組んで脅すような声を出した。
「全く。こんなことをいつから計画していたというんだ……。
話を戻すがアレクシス様を襲ったやつらとはどこで知り合ったんだ? お前でなく雇ったのは母親か?」
『君』ではなく『お前』になっていることにムカついたから私も正面を向いて護衛さんを睨んでやった。
「そんな人たち知らないわよっ! 襲われるところが頭に浮かんできたって言ってるでしょう!」
「そんなものあるわけないだろうがっ! お前が襲わせたのじゃないなら誰がやったっていうんだ。
それも王子殿下がご一緒だったことはそこにいた奴らしか知らないことなんだよ。うまく逃げたやつから聞いたんだろう?」
「違うわよっ! 夢の中で騎士みたいな人が『殿下』って言ってたから王子様だって思っただけよ!」
私の頭の中に浮かんだものを見せられないことが悔しくてたまらない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
320
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる