175 / 294
第二章 始まりの街防衛戦‼
第百七十話 ゴブリン本軍戦‼《1》
しおりを挟む
そしてナギがゴブリンの大群と戦ってかなりの時間が経つころには後ろの防衛陣のプレイヤーと住人達も正気に戻ったように戦闘へと参加していた。とは言ってもゴブリンの大半は蹂躙しているナギの方へと寄っていて、他の場所には言っても20~30体ほどが向かう程度だった。
そんな数の個体ではレベルの差も存在している事もあって防衛陣の者達は苦も無く対応するのだった。
ただ1人でその倍近いゴブリンを相手にしながらナギは一度もダメージを負わずに切り抜けて、今ではナギの周囲だけがぽっかりと空白地帯のようになっていた。
「なんか向かってくる奴も減ったし、一度MP回復もかねて戻るか」
『そうですね~私も一度回復したいです‼こんなに魔術使ったの初めてで、思ったよりも減ってます!』
「そう言えば連携試していた時もここまでは使っていなかったからな…」
そうやって戦場とはとても似つかわしくない程に穏やかに話しながらナギとソルテは休憩のために後方へといったん下がった。ただ先程までの戦闘を見ていた一部のプレイヤーからは恐怖の視線を向けられたが、それ以上の人数のプレイヤーと住人の冒険者や騎士達から感謝などの感情を向けられた。
後方に下がって来たナギを見てドラゴ達はいろいろ話を聞きたくて向かおうとしたが、ナギはドラゴ達の場所ではなくて中央の指揮を取っているウェインの元へと向かっていて追いつく事ができなかった。
「お久しぶりですね。確かウェインさん…でしたかね?」
「はい、間違いないですよ。こちらこそお久しぶりですナギ殿」
領主の館に行った時のことを覚えていたナギは少し自信はなかったが名前を思い出して挨拶し、それにウェインは戦闘中の真剣なひょゆ省都は反対に穏やかな笑みを浮かべて答えた。
そして二言程軽く挨拶を交わしたナギとウェインの2人は真剣な表情に戻って本題に入る。
「それでナギ殿はこの後の展開をどう見ますか?」
「俺にそんな意見を求めてもいいんですか?」
「かまいません、むしろナギ殿ほど戦える方からの意見は参考になると思いますので」
部外者で異邦人の自分にこの緊急事態で意見を求めていいのか?と思ってナギが確認すると、特に気にした様子も無くウェインは小さく笑みを浮かべてそう言ったのだ。
その答えにナギは少し驚いたように目を見開いていたが、すぐに楽しそうに笑顔で頷いた。
「そう言う事なら遠慮なく意見させてもらいますね。まずゴブリン達の動きが稚拙…と言えば良いんですかね?情報に会った狩りでの統率の取れた動き、そこからは考えられない程に統率が取れていないように戦って感じましたね」
「確かに、それは我々も感じていました。これほどの規模の群れにしては動きが野生の少数の群れと大差なかった。動きだけ見れば5~6体の群れの方がまだいいと思えるほどでした」
「なので結論として、先ほどまでの襲撃は「捨て駒」」
2人は同じ結論に達していた。今の襲撃はただの捨て駒として突撃させられた群れだったと言う事で、何処かは分からないが今の戦闘は観察されていた可能性が高いということだ。
その可能性に気が付いたウェインは深刻な顔で考え込んでいたが、反対にナギはどこか楽しそうに笑みを浮かべていた。近くで2人の話に聞き耳を立てていた周囲の冒険者や騎士達は真逆すぎる反応に困惑していた。
なにせ話を聞くだけならウェインの反応が正しいはずなんだが、あまりにもナギが楽しそうに笑うので周囲はどう反応したものか…と困っていたのだ。
「とにかく、今は全方位に監視を付けて対処しましょう」
「まぁ…それが一番の対処法ですかね。なら俺もMPを回復したら少し森の方を見てきますよ」
「本当ですか⁉助かります!斥候は危険が付きまとうので、実力の無い者には頼めず困ってたんです‼」
「お、おう、そう言う事なら少し休んだらすぐに向かう事にするよ」
本当にウェインで斥候の選定に困っていたようで掴み掛りそうな勢いで向かって来て、その勢いにナギは押され気味に頷いて距離を取った。そこでウェインも正気に戻ったようで恥ずかしそうに後ろへと下がった。
その後は特に問題も無く軽く世間話をしてナギが十分にMPが回復したこともあって別れる事になった。
「それじゃ俺は偵察にでも向かう事にするか」
「無理はせずに、ゴブリンの動向を発見したら報告に戻ってください。間違っても!先程みたいに一人で戦ったりはしないでくださいね?………例の作戦の事もありますので」
「わかってる。さすがに俺も上位種の群れに一人で突っ込んだりは……勝てる見込みがなければやらないから。それに作戦も忘れてないしな」
「それなら良かった。では、ご武運を」
「そっちも気を付けろよ。奇襲とかにな!」
最後に少し意味深な会話をしたナギとウェインだったが結局はお互いの無事を願いながら別れた。
中央の本陣を離れたナギはそのまま何事も無いように人混みをぶつかる事無くスムーズに歩いて抜けると、一気に加速して森へと向かった。その動きはあまりに自然で音もほとんど立たず周囲の人間が気が付いた時にはかなり離れた場所まで一息に走り抜けていた。
そしてナギが無理に向かったすぐに後に防衛陣の全体にも周囲への警戒を厳にするように指令が出て、更に実力のある盗賊などの斥候に適性のある職業の者達のは偵察が言い渡された。
しかも偵察を受ければ1人5000Gの報酬が出ると言う事でプレイヤー達はこぞって参加することなった。その中にはドラゴ達の姿もあって、主な理由としてはこのイベントに向けて装備や回復アイテムを買い集めたりしたので金欠だったのだ。
結果的に防衛陣から十数人が離れる形となってしまった。だがウェインもその事は理解したうえで斥候を出す事を決めたのだ。
斥候が出たと同時にすぐに動かせる後方に回っていた住人の冒険者や騎士達を真っ先に動かした。そうすることで防御の薄まってしまったか所に戦力を補充して、動きの少し遅い異邦人達(つまりプレイヤー達)を動かそうと言う思惑だった。
その思惑は結果として成功して住人の動きを見てプレイヤー達は動いた方がいいのか?と思ったようで、周囲の人間達に声をかけて陣形へと加わっていった。
「結構本格的な集団戦になってますね。これは僕も戦術所でも読んで勉強した方がいいでしょうか?」
「確かに今後も多人数の戦闘は増えそうだからな。焔さん!よろしく頼みますっ‼」
「「よろしくお願いします!」」
今回の戦いで集団で戦う時の戦術の大切さを知ったドラゴ達は焔が自分から勉強すると言った事もあって、ドラゴとヒカリにホホの3人は躊躇なく任せた。なにせドラゴ達の中で確実に勉強が出来て頭のいいのは焔なので任せれば安心と言う判断だった。
その清々しいまでの任せっぷりに焔は少し苦笑いを浮かべていた。
「とりあえず今日は住人の方たちの動きに合わせて動きましょう。素人が好きに動いてもいいこと無いですし」
「それは確かにな。ナギの奴だったらなんか知ってそうだけど、アイツの場合は人を率いると言う事が苦手だからな~」
「はははっ!兄さんは人を怒らせることに関しては天才的なんですけどね‼」
「怒らせて操るのも得意だよ?後で余計に切れられて殴り合いになったりするけどね~」
「「本当に無駄な才能だ」」
ドラゴ達の話しを聞いていたグレンとエレンの中でナギの評価が『すごい強い奴』から『強いけど残念な人』まで変化したのだった。
そんな風に楽しく会話しながらもドラゴ達もしっかりと周囲と動きを合わせて隙間の空いた前線へ入っていた。こうして話している間にもゴブリンの本体が来るかもしれない、それを理解しているのでドラゴ達は会話しながらも周囲へと目を走らせていた。
そしてドラゴ達が周囲と合わせて行動している時にナギは森の中で木の上を動いて探索していた。
「特に異変は見当たらない。でも、この状況で異変がない事の方が異常なんだよな…」
周囲をある程度ナギが探索した結果は異状なしと言う事だった。だがスタンピードと言う災害が起きている現状では目に見えて異常がない、そんな状態こそが異常事態に他ならなかった。
その証拠と言う訳ではないがスタンピードの発生で多数の魔物が移動してきたはずの森の中は、本当に不自然なほどに在れていないのだ。草や地面は何事も無いようにそこにあり、周囲の木々にも枝が強引に折られたような跡もなかった。
「これはどう言う事だろうな。一斉に不規則に移動したんじゃなく、誰かが事前にこの周囲に移動させていたとかか?うん、それなら可能性は十分にあり得るか…でも誰がって、まぁゴブリンの上位種のどれかだろうけどな」
『そうですね。ゴブリンは上位種も数が多いですし、不思議ではないです』
「ならその方向で考えてこの後に起こる事態は……戻った方が良さそうだなっ!」
いろいろな可能性を考えた結果ナギは少し焦ったように元来た防衛陣の方へと跳ぶようにして戻る。
そしてナギが危惧したように防衛陣にはついにゴブリンの本体が姿を現していた。
最初は数体ほどのホブゴブリンと通常のゴブリンが左右と正面からゆっくりと現れた。それを見てプレイヤー達はただホブゴブリンが増えただけだと気軽に反応していたが、住人の冒険者や騎士達は深刻な表情を浮かべていた。
そのすぐ後ホブゴブリン達が壁のように並ぶと後ろからウルフに騎乗したゴブリンが10体飛び出し、続くようにして森の中から弓や杖を持ったゴブリン達が次々に現れたのだ。
「ライダーを確認‼弓使いと魔術師は率先して狙えッ‼決して近寄らせるな‼」
「「「「ッ‼」」」」
次々に現れるゴブリンの上位種に瞬時に反応できていなかった者達に向ってウェインは叫ぶようにして指示を飛ばした。まずは足の速い騎乗したゴブリン・ライダーを前衛に纏わり着かれるのを防ぐために後衛に集中的に狙わせることを優先した。
だがその結果はゴブリン達の後衛のを無視することになってしまうのだ。
「前衛は魔術や矢が飛んでくることを警戒して盾持ちは防御アーツの準備!他の者達も回避や防御を優先しライダーを確実に仕留める‼」
ウェインは状況を見て前衛にも最低限の指示を飛ばしたが、こうしている間にもゴブリン達の数は増えていき防衛陣は徐々に追い詰められていくことになる。
そんな数の個体ではレベルの差も存在している事もあって防衛陣の者達は苦も無く対応するのだった。
ただ1人でその倍近いゴブリンを相手にしながらナギは一度もダメージを負わずに切り抜けて、今ではナギの周囲だけがぽっかりと空白地帯のようになっていた。
「なんか向かってくる奴も減ったし、一度MP回復もかねて戻るか」
『そうですね~私も一度回復したいです‼こんなに魔術使ったの初めてで、思ったよりも減ってます!』
「そう言えば連携試していた時もここまでは使っていなかったからな…」
そうやって戦場とはとても似つかわしくない程に穏やかに話しながらナギとソルテは休憩のために後方へといったん下がった。ただ先程までの戦闘を見ていた一部のプレイヤーからは恐怖の視線を向けられたが、それ以上の人数のプレイヤーと住人の冒険者や騎士達から感謝などの感情を向けられた。
後方に下がって来たナギを見てドラゴ達はいろいろ話を聞きたくて向かおうとしたが、ナギはドラゴ達の場所ではなくて中央の指揮を取っているウェインの元へと向かっていて追いつく事ができなかった。
「お久しぶりですね。確かウェインさん…でしたかね?」
「はい、間違いないですよ。こちらこそお久しぶりですナギ殿」
領主の館に行った時のことを覚えていたナギは少し自信はなかったが名前を思い出して挨拶し、それにウェインは戦闘中の真剣なひょゆ省都は反対に穏やかな笑みを浮かべて答えた。
そして二言程軽く挨拶を交わしたナギとウェインの2人は真剣な表情に戻って本題に入る。
「それでナギ殿はこの後の展開をどう見ますか?」
「俺にそんな意見を求めてもいいんですか?」
「かまいません、むしろナギ殿ほど戦える方からの意見は参考になると思いますので」
部外者で異邦人の自分にこの緊急事態で意見を求めていいのか?と思ってナギが確認すると、特に気にした様子も無くウェインは小さく笑みを浮かべてそう言ったのだ。
その答えにナギは少し驚いたように目を見開いていたが、すぐに楽しそうに笑顔で頷いた。
「そう言う事なら遠慮なく意見させてもらいますね。まずゴブリン達の動きが稚拙…と言えば良いんですかね?情報に会った狩りでの統率の取れた動き、そこからは考えられない程に統率が取れていないように戦って感じましたね」
「確かに、それは我々も感じていました。これほどの規模の群れにしては動きが野生の少数の群れと大差なかった。動きだけ見れば5~6体の群れの方がまだいいと思えるほどでした」
「なので結論として、先ほどまでの襲撃は「捨て駒」」
2人は同じ結論に達していた。今の襲撃はただの捨て駒として突撃させられた群れだったと言う事で、何処かは分からないが今の戦闘は観察されていた可能性が高いということだ。
その可能性に気が付いたウェインは深刻な顔で考え込んでいたが、反対にナギはどこか楽しそうに笑みを浮かべていた。近くで2人の話に聞き耳を立てていた周囲の冒険者や騎士達は真逆すぎる反応に困惑していた。
なにせ話を聞くだけならウェインの反応が正しいはずなんだが、あまりにもナギが楽しそうに笑うので周囲はどう反応したものか…と困っていたのだ。
「とにかく、今は全方位に監視を付けて対処しましょう」
「まぁ…それが一番の対処法ですかね。なら俺もMPを回復したら少し森の方を見てきますよ」
「本当ですか⁉助かります!斥候は危険が付きまとうので、実力の無い者には頼めず困ってたんです‼」
「お、おう、そう言う事なら少し休んだらすぐに向かう事にするよ」
本当にウェインで斥候の選定に困っていたようで掴み掛りそうな勢いで向かって来て、その勢いにナギは押され気味に頷いて距離を取った。そこでウェインも正気に戻ったようで恥ずかしそうに後ろへと下がった。
その後は特に問題も無く軽く世間話をしてナギが十分にMPが回復したこともあって別れる事になった。
「それじゃ俺は偵察にでも向かう事にするか」
「無理はせずに、ゴブリンの動向を発見したら報告に戻ってください。間違っても!先程みたいに一人で戦ったりはしないでくださいね?………例の作戦の事もありますので」
「わかってる。さすがに俺も上位種の群れに一人で突っ込んだりは……勝てる見込みがなければやらないから。それに作戦も忘れてないしな」
「それなら良かった。では、ご武運を」
「そっちも気を付けろよ。奇襲とかにな!」
最後に少し意味深な会話をしたナギとウェインだったが結局はお互いの無事を願いながら別れた。
中央の本陣を離れたナギはそのまま何事も無いように人混みをぶつかる事無くスムーズに歩いて抜けると、一気に加速して森へと向かった。その動きはあまりに自然で音もほとんど立たず周囲の人間が気が付いた時にはかなり離れた場所まで一息に走り抜けていた。
そしてナギが無理に向かったすぐに後に防衛陣の全体にも周囲への警戒を厳にするように指令が出て、更に実力のある盗賊などの斥候に適性のある職業の者達のは偵察が言い渡された。
しかも偵察を受ければ1人5000Gの報酬が出ると言う事でプレイヤー達はこぞって参加することなった。その中にはドラゴ達の姿もあって、主な理由としてはこのイベントに向けて装備や回復アイテムを買い集めたりしたので金欠だったのだ。
結果的に防衛陣から十数人が離れる形となってしまった。だがウェインもその事は理解したうえで斥候を出す事を決めたのだ。
斥候が出たと同時にすぐに動かせる後方に回っていた住人の冒険者や騎士達を真っ先に動かした。そうすることで防御の薄まってしまったか所に戦力を補充して、動きの少し遅い異邦人達(つまりプレイヤー達)を動かそうと言う思惑だった。
その思惑は結果として成功して住人の動きを見てプレイヤー達は動いた方がいいのか?と思ったようで、周囲の人間達に声をかけて陣形へと加わっていった。
「結構本格的な集団戦になってますね。これは僕も戦術所でも読んで勉強した方がいいでしょうか?」
「確かに今後も多人数の戦闘は増えそうだからな。焔さん!よろしく頼みますっ‼」
「「よろしくお願いします!」」
今回の戦いで集団で戦う時の戦術の大切さを知ったドラゴ達は焔が自分から勉強すると言った事もあって、ドラゴとヒカリにホホの3人は躊躇なく任せた。なにせドラゴ達の中で確実に勉強が出来て頭のいいのは焔なので任せれば安心と言う判断だった。
その清々しいまでの任せっぷりに焔は少し苦笑いを浮かべていた。
「とりあえず今日は住人の方たちの動きに合わせて動きましょう。素人が好きに動いてもいいこと無いですし」
「それは確かにな。ナギの奴だったらなんか知ってそうだけど、アイツの場合は人を率いると言う事が苦手だからな~」
「はははっ!兄さんは人を怒らせることに関しては天才的なんですけどね‼」
「怒らせて操るのも得意だよ?後で余計に切れられて殴り合いになったりするけどね~」
「「本当に無駄な才能だ」」
ドラゴ達の話しを聞いていたグレンとエレンの中でナギの評価が『すごい強い奴』から『強いけど残念な人』まで変化したのだった。
そんな風に楽しく会話しながらもドラゴ達もしっかりと周囲と動きを合わせて隙間の空いた前線へ入っていた。こうして話している間にもゴブリンの本体が来るかもしれない、それを理解しているのでドラゴ達は会話しながらも周囲へと目を走らせていた。
そしてドラゴ達が周囲と合わせて行動している時にナギは森の中で木の上を動いて探索していた。
「特に異変は見当たらない。でも、この状況で異変がない事の方が異常なんだよな…」
周囲をある程度ナギが探索した結果は異状なしと言う事だった。だがスタンピードと言う災害が起きている現状では目に見えて異常がない、そんな状態こそが異常事態に他ならなかった。
その証拠と言う訳ではないがスタンピードの発生で多数の魔物が移動してきたはずの森の中は、本当に不自然なほどに在れていないのだ。草や地面は何事も無いようにそこにあり、周囲の木々にも枝が強引に折られたような跡もなかった。
「これはどう言う事だろうな。一斉に不規則に移動したんじゃなく、誰かが事前にこの周囲に移動させていたとかか?うん、それなら可能性は十分にあり得るか…でも誰がって、まぁゴブリンの上位種のどれかだろうけどな」
『そうですね。ゴブリンは上位種も数が多いですし、不思議ではないです』
「ならその方向で考えてこの後に起こる事態は……戻った方が良さそうだなっ!」
いろいろな可能性を考えた結果ナギは少し焦ったように元来た防衛陣の方へと跳ぶようにして戻る。
そしてナギが危惧したように防衛陣にはついにゴブリンの本体が姿を現していた。
最初は数体ほどのホブゴブリンと通常のゴブリンが左右と正面からゆっくりと現れた。それを見てプレイヤー達はただホブゴブリンが増えただけだと気軽に反応していたが、住人の冒険者や騎士達は深刻な表情を浮かべていた。
そのすぐ後ホブゴブリン達が壁のように並ぶと後ろからウルフに騎乗したゴブリンが10体飛び出し、続くようにして森の中から弓や杖を持ったゴブリン達が次々に現れたのだ。
「ライダーを確認‼弓使いと魔術師は率先して狙えッ‼決して近寄らせるな‼」
「「「「ッ‼」」」」
次々に現れるゴブリンの上位種に瞬時に反応できていなかった者達に向ってウェインは叫ぶようにして指示を飛ばした。まずは足の速い騎乗したゴブリン・ライダーを前衛に纏わり着かれるのを防ぐために後衛に集中的に狙わせることを優先した。
だがその結果はゴブリン達の後衛のを無視することになってしまうのだ。
「前衛は魔術や矢が飛んでくることを警戒して盾持ちは防御アーツの準備!他の者達も回避や防御を優先しライダーを確実に仕留める‼」
ウェインは状況を見て前衛にも最低限の指示を飛ばしたが、こうしている間にもゴブリン達の数は増えていき防衛陣は徐々に追い詰められていくことになる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
956
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる