上 下
16 / 24
◇出逢い編

◇告白*浩人

しおりを挟む


 やっと、放課後になった。
 

「オレ今日、体調不良。部活休むって、先輩に伝えといて」
「どこが体調悪いの? 元気そうだけど」

「心」

「……あー……ん。分かった。 病んでんのは、よく分かった」

 新太が、眉を顰めて、オレを見つめてる。

「じゃあ今日は、ものすごく具合が悪そうだったって言っとくから」
「ん、頼む」

 とりあえず、部活は、さぼり決定。

 ――――……よし。
 鞄を持って、図書室に向かった。

 図書室に居なかったら、どうしようと思いながら、向かうと。

 居た。
 良かった。


「……類」

 初めて、口に出して、類、と呼んだ。
 咄嗟に顔を上げてオレを見て――――……類は、眉を顰めて、また本に向いた。
 まわりに誰も居ない事を確認してから。
 オレは、類の真正面に、座った。


「……なあ。類って――――……男が好きなの?」

 ぴく、と小さく動いた類が、少しして、ゆっくりとオレを見つめた。

「……聞いたんだ」
「うん。今日、聞いた」

「――――……で……確認にきたのか?」
「うん。そうだね、まず、噂が本当かを、確認」

 オレが答えると、類は、ふ、とため息をついて、本を伏せた。

 珍しい。本を伏せて、まっすぐ向かい合ってくれるらしい。

 ――――……この質問には、ちゃんと答えようとしてくれるんだ。

 ……答えて、終わらせようとでも、してんのかな。

「……分かんないけど……多分、そう」
「多分ってどういう意味?」

「……女の子好きになった事は無くて、男が1人だけ。……だから、多分……」

「ふうん。そっか。――――……良かった」
「……良かった?」

 変な答えだとでも思ったんだろう。
 咄嗟に類は、オレをまっすぐ見上げた。


「じゃあさ、類。――――……オレの事、好きになってよ」


 は?
 類の、険しい表情に、思わず笑ってしまう。


「類の好きになる対象が男なら、オレにとってはラッキーなの」
「……なに、言ってんの……?」


「オレ、お前が好きなんだ」
「――――……」


「今日聞いて、恋人同士になれる可能性があるんだって思った。そしたら、すげえ嬉しくて」

「――――……何、言ってんの、お前……」



「オレを、好きになって?」


 まっすぐ、類を見つめる。


 どんな表情なのか。


 驚いてる。そりゃそうだ。

 困ってる? 嫌がってる? 嫌悪してる?



 それとも――――……迷ってる?





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

天使志望の麻衣ちゃん

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:1

「誕生日前日に世界が始まる」

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:164

貴方のために涙は流しません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:37,581pt お気に入り:2,385

本当はあなたを愛してました

m
恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,764pt お気に入り:218

思い付き短編集

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:340pt お気に入り:121

ちーちゃんのランドセルには白黒のお肉がつまっていた。

ホラー / 完結 24h.ポイント:2,002pt お気に入り:15

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:9,868pt お気に入り:1,574

いっぱいの豚汁

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:1,235pt お気に入り:0

なんで元婚約者が私に執着してくるの?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:11,132pt お気に入り:1,876

処理中です...