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終末のダンジョン
迫りくる婚姻
しおりを挟む僕等はなにも出来ず倒れた。
あの神像に接近しようにも神の意志に乗っ取られたララお姉ちゃん達が立ち塞がる。
また気絶させようと殴り掛かるも躱すどころか片手で受け止められて、唖然とする僕らに容赦なく鉄槌を落としてくる。
あのヴァルさんアタックですらいとも簡単に止められていた。
その後はどんなにこちらが繰り返し攻撃を行なっても全くの無傷で挙句の果てにはカウンターを返される始末。
時間が過ぎた頃には、無残に海へ投げ捨てられたゴミのように僕等は打ちひし転がされていた。
神様の介入は思っていた以上に手強い。
ど、どうしたらいい…。
悔しさで拳を握り締める。
すると、あの憎き神像が神々しく輝きを放ち始めた。目も開けられないほど眩い光が収まった時、いよいよ出現してしまった。像と同様に大きくニンマリと邪悪に口を歪ませている。
左手を腰に右手人差し指を天へと掲げ高らかに語りかけて来た。
「貴方の愛しのお嫁さんこと神様見参ですよー!私の旦那様センサーがビビッとピンチを知らせて来ましたので助けに参りました。どうです、私って良妻でしょう?」
どの口が言う?
間違いなく貴方のせいでしょう。
そんな思いも露知らず、神様は言葉を続ける。
「愛しい旦那様を助けたいのは実に実に山々なんですが、私は神様。下界に関わるには色々と制約があるのです。ですがですがまだ悲しむには早いですよー。こちらの契約書にサインをして頂ければ何も問題ありません。さぁ、こちらほんと軽い気持ちでチャチャッとサインしてくださいなー!」
絶対僕の心も盗み見ているはずなのにこのスルースキルである。
倒れ込む僕の前にふわりと一枚の紙と羽根ペンが舞い降りて来た。
ボロボロの身体を無理矢理動かして紙を掴む。
そして、そこに書かれていたのは………婚姻届。
婚姻届
1、お互いを大切にします。
1、いつも互いへの感謝の気持ちを忘れません。
1、笑顔を絶やさず明るい家庭を築きます。
1、いかなる困難な時にもふたりで力を合わせて乗り越えますが、旦那様は側に居るだけで十分です。
1、どんな時にもお互いを信じ合い支えあいますが、私の側で愛を語りかけるだけで十分です。
1、どんなにケンカをしてもその日に仲直りをし明日に引きずらないように夜は愛を絞り続けます。
これらの誓いを心に刻み、これら先夫婦として力を合わせて、新しい家庭を築いていくこと、子供は建国出来るくらいには頑張ることをここに誓います。
「くへへ、ちゃんとサインしてくれますよね?」
思わず僕は紙を落としてしまった。
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