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第1章 異世界漂流と人魚の王国オーシャル

ゴブリン退治は楽勝?

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 小波の音が前よりも、近くに感じる。
 目を開けると前と同じ空間に俺はいた。
 なぜだろか、同じ夢を見ているけどそうではない感覚。

 『海はみているぞ、主の事を…』

 「あんたは誰だ?夢の中に出てくるってことはサキュバスかなんかか?」

 『我、海を統べる者。主よ我が下に来るがいい…』

 「海を統べる者ねぇ、そりゃありがてぇな。なんせ俺の生活は海無しじゃあできたもんじゃなかったからな。感謝の土産の一つや二つ渡したいもんだぜ、で、どこに行けばあんたに会える?」

 『ラ…大陸の…』

 突然視界が開く、またあの夢を見たのか?でも内容が違うし、たぶんただの夢ではないのかもしれねえな。縁があれば会ってみたいな。
 確か今日はゴブリン討伐クエストの準備をするんだったな、さっそく飯でも食って準備開始だ!

 フラフラと集落を歩いて、必要な品を探していると困ってそうな旅商人に会った。

 「うーむ。」

 「どうかされましたか?」

 「冒険者でしたか、初対面なのに申し訳ないのですが、ゴブリンどもが旅の通路の端にたむろしておりまして……。」

 「で、討伐依頼をしたと。」

 「そうなのです。おや?もしや、あなたが受けてくれたのですかな?」

 「そうだ、ゴブリン討伐依頼を承った、槍使いのフウトだ。」

 「そうでしたか!では先に前報酬を出しましょう。これで少しばかり討伐が楽になれば良いのですが。」

 そう言って商人は馬車の中から一つの棒のようなものを取り出し渡した。

 「これは?」

 「魔法武器マジックウェポンです。」

 「それが?」

 「はい、魔力を込めると伸びる槍です。実のところ払えるお金がなかったので、この魔法武器マジックウェポンで支払いをしたいと思うんですけどよろしいかね?」

 「構わないぜ、俺はちと腕試しをしたかっただけだったからな。」

 「ありがとうございます。おっと自己紹介がまだでしたな、私は旅商人のデュークです。よろしくお願いします。」

 「さっきも言ったが槍使いのソウタだ、よろしくたのむよ。」

 「私が確認しただけでも、ゴブリンは15匹ほどおられますけど?」

 「大丈夫です。俺強いですから。」

 「そうですか、ならどうかお気をつけて。討伐完了次第にギルドカードで報告しておくれ。」

 「てなことがあったんだけど、俺レベル1で弱いから心配で……」

 「それで私のところに来たわけですか。」

 「お願いします!手伝ってください!」

 という事があったとマナさんに話し、数が数だから一緒に付いてきてもらうことにした。マナさんの職は魔術師で、回復魔法も程よく使えるので、危なかった時に回復をお願いしたい。

 そして俺とマナはゴブリンたちがたむろしていると思われる道のそばまで来た。
 ゴブリンの数は約20匹、デュークさんの情報より5匹ほど多かったが、多分何とかなるはずである。 俺はギルドカードにある機能の1つ魔物図鑑で情報を確認した。
 この魔物図鑑は非常に優秀で、魔物のステータスから習性まで記録されている。まあ、実際のステータスは戦ってみないとわからないんだが。
 未知の魔物と遭遇した場合、ギルドカードから連絡することである程度の報酬が与えられる仕組みになっている。

   ステータス
 名前:ゴブリン
 種族:ゴブリン(人型)
 職業:無し
 称号:無し
 保有技能:無し
 保有能力:無し
 能力値
 ランク:E~E+
 LV:1~9 HP:20~90 MP:5~9
 筋力:10~50 防御:10~60 魔力:5~9
 賢さ:2~3 魔防:20~50 俊敏:15~40
 適性属性:土 弱点属性:水、木、風 根底属性:闇
 EXP:30~60

 ってあれ?思っていたよりステータス高いよなぁ、せいぜいダメージは初撃は0ダメって感じだなぁ、そういえば武器のステータスとか調べてなかったな、今のうちに調べておこ。
   ステータス
 名前:モリ
 保有能力:無し
 攻撃力:20
 防御力:無し
 能力値
 HP:+0 MP:+0
 攻撃:+0 防御:+0 魔力:+0
 賢さ:+0 魔防:+0 俊敏:+0
 属性:無し
 
    ステータス
 名前:如意槍ウィリングネススピア
 保有能力:伸縮自在
 攻撃力:50
 防御力:無し
 能力値
 HP:+0 MP:+0
 攻撃:+0 防御:+0 魔力:+0
 賢さ:+0 魔防:+0 俊敏:+0
 属性:無し
 
 伸縮自在
 MPを込めるとリーチが伸び、攻撃力が10%上がる。消費MP1つにつき10cm伸びる。

 如意槍ウィリングネススピア案外いい性能してるじゃん!デュークのおっさんマジ感謝!でも今の俺が伸ばせるリーチは最高でも40cmまでだからちょっとだけ長くなるだけか。
 まぁ、初撃で与えるダメージも増えたし、二撃目からは300ダメも出せるし…って300ダメ!?でも防御力を考えたらダメは250くらいになりそうだな。
 確認を終えた俺は、マナさんに作戦を伝えた。
 作戦は急に飛び出して不意打ちしちゃおう作戦だ!
 「3…2…1…行くぜぇー!」

 ゴブリンたち「!?」

 「まずは一撃!」

 俺は如意槍ウィリングネススピアを思っきり近くにいたゴブリンAに突き刺した。当然ダメージは。

 ゴブリンA HP50→ HP45 

 たった5ダメ!でも。

 ゴブリンとの戦闘を確認し、保有能力:モリ突きの効果が適用される!これで次の攻撃は240ダメくらいになる!
 このままじゃんじゃん行くぜー!

 「マナさん、そっちは大丈夫そu……」

 「氷結弾アイス・ショット!」

 幅30センチほどの氷の塊が無数に展開され、凄まじい速度でゴブリンたちを瞬殺していった。
 すご、あの威力を詠唱なしで魔法発動してるよ。 そういえば、マナさん水、木属性が適性だったから詠唱が少なかったのか。
 でもレベル9ぐらいのゴブリンをワンパンしてるんだよなぁ、やっぱマナさんすげぇわ。負けてられないな!

 先ほど突き刺したゴブリンを見てみると体の上に赤く印のような模様が浮かび上がってきた。
 
 ここか、こいつの弱点!

 俺は赤い印目掛けて、思いっきり如意槍を突き刺した。感覚としては本当にモリ突きと同じだ、せめて痛みが無いように一撃で。
 ゴブリンは弱点を突かれ、HPが瞬時に無くなり屍となった。

 改めてやばいなぁ、この保有能力。まさにチートだ。こんなチート能力持って変なやつに付き纏われないか心配になるな。

 そこからは早かった。戦闘に入ってから30分後、俺たちは、ゴブリンを討伐し終えた。
 モリ突きの技能を上手く使いながら戦闘してたからかすごく疲れた。だがそれに見合った成果が得られた。
 そうレベルアップだ!俺が倒したゴブリンの数は9匹ほど、EXPにして350ほど貰った。
 《個体名:海風槍太のレベルアップの必要EXPの獲得を確認しました。LV1からLV2に上がりました。ステータスが更新されます。》
    ステータス
 名前:海風槍太うみかぜそうた
 種族:人間(人型)
 職業:槍使い
 称号:二重属性保持者デュアルエレメンター
 保有技能:水移動、魚類特効
 保有能力:モリ突き
 能力値
 LV:2 HP:20 MP:10
 筋力:20 防御:8 魔力:10
 賢さ:4 魔防:4 俊敏:12
 適性属性:水、風 弱点属性:無し 根底属性:光
 次のLVまで後250EXP
 って、そこまで変わってないな。ステータスの伸び的には筋力と俊敏の伸びがいいな、やっぱり槍使いは高速戦闘だよな、今後の成長が楽しみだ。

 「ソウタさん!ゴブリンの巣穴からこんなものが。」

 「宝箱だ!」

 さてさて。結構頑張ったんだし、それなりもん期待してもいいのかな?いざオープン!

 「なんだこれ?」

 中から出てきたのは変な巻き物だいぶ年数が経っているようで所々破れていたり、汚れている。

 「なんですかねこれ?古い地図のようですけど。場所的にはランド大陸っぽいけど?」

 「ランド大陸?」
 
 「人間界で一番大きい大陸です。」

 「ランド大陸ねえー、行ってみたいな。とりあえず、今日はもう宿屋に帰りたい。初めての戦闘で疲れたし、何よりお腹が空いた。」

 この世界に来てから宿屋のパンとサラダぐらいしか食べてないし、何より美味しい和食が食いたい。てかこの世界に和食とかあるのか?

 「ここで夕食にしますか?一応料理道具は持ってきているんですけど。私の料理で大丈夫なら。」

 「マジ!?いいの!?」

 「はい!でも材料が無いので現地調達になりますけど。」

 やっぱマナさんは天使だ!材料の捕獲から初めるか。
 「俺は材料になるもの採ってきます。ここら辺では何が住んでますかね?」

 「リーはラビットという魔獣がいた気がします。緑色で大きさは通常のうさぎよりやや大きい程度です。」

 「了解っす。すぐ獲ってきます。」
 30分後。

 「獲ってきました。」

 「ソウタさん!?どうしたんですか!?その格好!?」

 「うさぎを追いかけていたら、泥沼に落っこちまった。俺は着替えるから、料理始めちゃってください。」

 そそくさと着替えてマナさんの料理を待っているといい匂いが立ち込めてきた。
 着替え終わってマナさんのところに戻ると、リーフラビットを使ったサンドイッチが出てきたのであった。
 「美味そう!」

 「リーフラビットと春野草のサンドイッチです!」

 「じゃあ、いただきます。」

 俺は思いっきりサンドウィッチにかぶりついた。シャキ、シャキと口の中で音を鳴らす野草、彼女は野草と言っていたが間違いなくレタスそのものの食感であった。久しぶりに食べる元いた世界の野菜に似た食感は、俺にちょっぴりとした感動をもたらした。そして口の中に広がる、リーフラビットのうまみ、焚き火で焼いているからか、こんがりとしていて、身がしっとりとしている。

 「マナさんこれ最高です!」

 「お口に合っていてよかったです。」

 こんな世界に漂流しちゃってどうしようかと思ってたが。なんだ、結構楽しいじゃん!
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