誰と寝ても、俺はいなかったー性のどこにも属せなかった俺が、たった一人にだけ愛された夜

誰と寝ても、快感はある。
でも、そのどれもに“俺”はいなかった──。
 
男としても、女としても愛されたくなかった。
けれど心と身体が「男性と女性の中間」にいる自分には、
触れられるたび、どこかが削れていくようだった。
 
中性的かつ美しすぎる容姿ゆえに“欲情されること”が常態だった楷(かい)は、
ある夜、同期の芳樹に“何もされなかった”ことで動揺する。

それは、壊されなかった夜。
ただ隣にいながら、なにも奪われなかった唯一の時間──
その静かな優しさに、楷の内側が静かに崩れていく。
 
「してもいい」ではなく、「してみたい」と思った夜。
初めて快楽が“心ごと”感じられた夜。
それは、誰にもなれなかった楷が、初めて“誰かといた”と呼べる夜だった。

性別や役割ではなく、“今の君が素敵だ”と言ってくれる人に、
どうしようもなく、惹かれていく――。

“存在ごと抱かれること”を描いた、
静かで情熱的な大人のBL長編、開幕。
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