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第一章
結局のところ、やる気があるやつは応援したくなるのが人情。――14
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「――はじめ!」
リサ先生の手が振り下ろされた瞬間、レイシーが指示を出す。
「『スピードタックル』です、ピート! リーリーは『ビルドアップ』!」
『ワウッ!』
『リィ!』
指示を受けたピートが弾丸の如く飛びだし、リーリーはグッと力を溜める。
『スピードタックル』は先制効果を持つ直接攻撃スキル。『ビルドアップ』は、自身のSTRを30%上昇させる強化スキルだ。
ジェルフロッグ――ケロに猛スピードで突っ込んできたピートに、「いいっ!?」とケイトが目を剥く。
『ゲロッ!』
ピートのスピードタックルを受けて、ケロが苦悶の鳴き声を上げた。
「バイト!」
一拍の間も置かずにレイシーが命じ、ピートが『ガウッ!』とケロに噛みつく。
いいぞ、レイシー。先制効果を持つスピードタックルで急接近して、直接攻撃のバイトに繋げたか。
バイトは直接攻撃だから、接近するまでに時間がかかる。その時間を、スピードタックルで0にした。実質的な連続攻撃だ。
初手としては申し分ない。レイシーの努力が垣間見える手だな。
「『ジャンプ』だよ、ケロちゃん! ガーちゃんは『飛翔』して!」
『グワッ!』
『クワァッ!』
一手遅れて、ケイトが指示を出す。
ケロが大きくジャンプしてピートと距離をとり、スカイホークのガーが翼をはためかせ、飛び立った。
本来、『ジャンプ』は『相手からの直接攻撃を一度回避する』スキルだが、ゲームと違い、接近された状態から逃れるという使い方もできるらしい。
そして『飛翔』は、スカイホークの固有アビリティ。その効力は、『直接攻撃を受けない』という強力なものだ。
固有アビリティが強力な分、スカイホークのステータス平均は、ピートより下回っているが。
「追って、ピート!」
『ワンッ!』
逃げるケロを追いかけようと走りだすピート。
「ガーちゃん、ウインド!」
『クワァッ!』
それを阻止するガーの、風属性魔法スキル。
距離をとることに成功したケロを眺め、レイシーが渋い顔をした。
『リリィ!』
一連の攻防のあいだに、リーリーのビルドアップが発動していた。
続けてレイシーが指示を出す。
「『コンセントレーション』!」
『リィ!』
リーリーが祈るように指を組む。
ビルドアップと同じ、自己強化スキル『コンセントレーション』。こちらはINTを30%上昇させるものだ。
レイシーの指示に、ケイトが小首を傾げる。
「その子のSTRやINTを上げたところで、戦力にはならないよ?」
「それはどうでしょう? 戦力になるかどうかは、試してみないとわかりませんよ?」
緊迫感からか頬に汗をかきながら、それでもレイシーは笑ってみせた。
「よくわからないけど、あたしは負けるつもりないからねっ」
負けじとケイトが、むん! と薄い胸を張る。
「ケロちゃん、『ウォーターショット』!」
『グワッ!』
ケロがプクゥ、と頬を膨らませた。
レイシーの顔に緊張が走る。
『ウォーターショット』は水属性の魔法攻撃スキル。ピートの弱点だからだ。
「『ファイアボール』!」
『ワンッ!』
とは言え、攻めの手をゆるめるのは悪手だ。
レイシーはピートに攻撃を指示した。
『リィ!』
リーリーのコンセントレーションが発動した直後、
『グワッ!』
『ワウッ!』
ケロとピートの攻撃スキルが、ほぼ同時に発動した。
放射状に放たれた水流と、バスケットボール大の火球が、空中で交差する。
ピートが水流に、ケロが火球に襲われた。
『キャウンッ!』
『ケロロッ』
しかし、反応は対照的だ。
見るからに苦しそうなピートに対し、ケロは余裕とばかりにピョインピョインと跳ねている。
やはり相性の悪さは大きい。おそらく、ピートがHPのほぼ半分を削られたのに対し、ケロが削られたのは1/8以下だ。
リサ先生の手が振り下ろされた瞬間、レイシーが指示を出す。
「『スピードタックル』です、ピート! リーリーは『ビルドアップ』!」
『ワウッ!』
『リィ!』
指示を受けたピートが弾丸の如く飛びだし、リーリーはグッと力を溜める。
『スピードタックル』は先制効果を持つ直接攻撃スキル。『ビルドアップ』は、自身のSTRを30%上昇させる強化スキルだ。
ジェルフロッグ――ケロに猛スピードで突っ込んできたピートに、「いいっ!?」とケイトが目を剥く。
『ゲロッ!』
ピートのスピードタックルを受けて、ケロが苦悶の鳴き声を上げた。
「バイト!」
一拍の間も置かずにレイシーが命じ、ピートが『ガウッ!』とケロに噛みつく。
いいぞ、レイシー。先制効果を持つスピードタックルで急接近して、直接攻撃のバイトに繋げたか。
バイトは直接攻撃だから、接近するまでに時間がかかる。その時間を、スピードタックルで0にした。実質的な連続攻撃だ。
初手としては申し分ない。レイシーの努力が垣間見える手だな。
「『ジャンプ』だよ、ケロちゃん! ガーちゃんは『飛翔』して!」
『グワッ!』
『クワァッ!』
一手遅れて、ケイトが指示を出す。
ケロが大きくジャンプしてピートと距離をとり、スカイホークのガーが翼をはためかせ、飛び立った。
本来、『ジャンプ』は『相手からの直接攻撃を一度回避する』スキルだが、ゲームと違い、接近された状態から逃れるという使い方もできるらしい。
そして『飛翔』は、スカイホークの固有アビリティ。その効力は、『直接攻撃を受けない』という強力なものだ。
固有アビリティが強力な分、スカイホークのステータス平均は、ピートより下回っているが。
「追って、ピート!」
『ワンッ!』
逃げるケロを追いかけようと走りだすピート。
「ガーちゃん、ウインド!」
『クワァッ!』
それを阻止するガーの、風属性魔法スキル。
距離をとることに成功したケロを眺め、レイシーが渋い顔をした。
『リリィ!』
一連の攻防のあいだに、リーリーのビルドアップが発動していた。
続けてレイシーが指示を出す。
「『コンセントレーション』!」
『リィ!』
リーリーが祈るように指を組む。
ビルドアップと同じ、自己強化スキル『コンセントレーション』。こちらはINTを30%上昇させるものだ。
レイシーの指示に、ケイトが小首を傾げる。
「その子のSTRやINTを上げたところで、戦力にはならないよ?」
「それはどうでしょう? 戦力になるかどうかは、試してみないとわかりませんよ?」
緊迫感からか頬に汗をかきながら、それでもレイシーは笑ってみせた。
「よくわからないけど、あたしは負けるつもりないからねっ」
負けじとケイトが、むん! と薄い胸を張る。
「ケロちゃん、『ウォーターショット』!」
『グワッ!』
ケロがプクゥ、と頬を膨らませた。
レイシーの顔に緊張が走る。
『ウォーターショット』は水属性の魔法攻撃スキル。ピートの弱点だからだ。
「『ファイアボール』!」
『ワンッ!』
とは言え、攻めの手をゆるめるのは悪手だ。
レイシーはピートに攻撃を指示した。
『リィ!』
リーリーのコンセントレーションが発動した直後、
『グワッ!』
『ワウッ!』
ケロとピートの攻撃スキルが、ほぼ同時に発動した。
放射状に放たれた水流と、バスケットボール大の火球が、空中で交差する。
ピートが水流に、ケロが火球に襲われた。
『キャウンッ!』
『ケロロッ』
しかし、反応は対照的だ。
見るからに苦しそうなピートに対し、ケロは余裕とばかりにピョインピョインと跳ねている。
やはり相性の悪さは大きい。おそらく、ピートがHPのほぼ半分を削られたのに対し、ケロが削られたのは1/8以下だ。
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