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第二章

大事な大会には、最高の状態で挑むべき。――6

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 スパークアルマジロとの戦闘は、首尾しゅびく終わった。

「来い!」
『キュウ!』

従魔じゅうまいん』を刻んだ魔石を放ると、元気な鳴き声とともに、スパークアルマジロが現れる。

 俺はスパークアルマジロを抱き上げて、目線を合わせた。

「丸っこいから、お前の名前は『マル』だ! よろしくな!」
『キュ!』

 スパークアルマジロ、改めマルが、コクリと頷いた。

「ロッドくん、マルさんを抱っこさせてもらえませんか? 衝動を抑えずにいられないのです」

 そのマルをジッと見つめながら、レイシーが頼んでくる。

「状況と対象が変われば完全に変態のセリフだな」
「し、仕方ないじゃないですか! マルさんが可愛いのがいけないのです!」

 レイシーが泣いてしまうだろうから、「それも犯罪者が口にするようなセリフだな」とは言わない。

 笑いを噛み殺しながら、俺はレイシーにマルを手渡した。

「ふわわわわ……か、可愛い! マルさんは可愛いですねぇ……!!」
『キュウ♪』

 ム○ゴロウさんみたいに、レイシーがマルに頬ずりする。マルも嬉しそうに尻尾を振っていた。

 その尻尾が当たり、レイシーのたわわな胸が、ポヨンと弾む。

「くすぐったいですよ、マルさん」
『キュ?』

 はにかむレイシーに、マルがキョトンとした顔をする。

 その様子を眺めながら、「なんとかしてマルになれねぇかなあ」と考えてしまったのは内緒だ。
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