26 / 34
第12話 その未来は マイユール視点(3)
しおりを挟む
「待ってください。アルマに別れを告げませんよ」
女性に続いて一歩を踏み出した後。僕は彼女の肩に手を置き、首を左右に振った。
「別れない? あんな未来が待っているというのに? もしかして貴男って、破滅願望があった?」
「いえ。そんな願望は持ち合わせてはいませんよ」
この選択は、違う。破滅を呼び込むためのものじゃない。
「あらそう。なら聞くわ。どうして別れを告げないのかしら?」
「僕がそうする理由は、そうしなくてもあの未来を回避できるからですよ」
アルマが僕への陰口などで苦しみ、それを見て彼女のもとを去り、余計にアルマを悲しませてしまう。あのようなことにならないから、別れる必要なんてない。
「ふぅん、面白いことを言うわね。ついさっき、これから起きる出来事を体験したのに――自分が持てる力を限界まで使用したのに、バッドエンドになったのよ? それなのに、自力で落とし穴を避けられると豪語するのね」
「ええ。それでも僕は、言い切ります」
アルマとの関係を絶たなくても未来を変えられる。そう断言する。
「そうなの。じゃあ次は、その根拠を聞かせてもらえる? 貴男はどうしてそう言い切れるのかしら?」
「その理由、それは――。さっきの僕は、僕であり僕ではなかったからですよ」
あの人生を実際に過ごしている時は、気付かなかった。いや、気付けなかったのだと思う。
夢が覚めて一連を振り返っていると、
『あの僕は婚約以降、努力をやめていた』
と気が付いた。
アルマと結婚できたんだから、もう頑張らなくていい――。そんな風に考えるようになっていて、我武者羅に走るのを止めていた。
だから声が大きくなってから慌てて動き出す羽目になり、結局最後まで挽回できなかった。
本来の僕なら『より一層走らないといけない』と考えているはずなのに、一年近くただただ楽しく暮らし、あんな状況と決断を招いてしまった。
だから。だから。
これから僕があの僕と同じ選択をしても、あの僕と同じ末路は辿らない。
そう確信していて、女性に対して自身を持って説明を行った。
そして――。
この場でもう一つ、この方に対して伝えたいことと行いたいことがあって――
女性に続いて一歩を踏み出した後。僕は彼女の肩に手を置き、首を左右に振った。
「別れない? あんな未来が待っているというのに? もしかして貴男って、破滅願望があった?」
「いえ。そんな願望は持ち合わせてはいませんよ」
この選択は、違う。破滅を呼び込むためのものじゃない。
「あらそう。なら聞くわ。どうして別れを告げないのかしら?」
「僕がそうする理由は、そうしなくてもあの未来を回避できるからですよ」
アルマが僕への陰口などで苦しみ、それを見て彼女のもとを去り、余計にアルマを悲しませてしまう。あのようなことにならないから、別れる必要なんてない。
「ふぅん、面白いことを言うわね。ついさっき、これから起きる出来事を体験したのに――自分が持てる力を限界まで使用したのに、バッドエンドになったのよ? それなのに、自力で落とし穴を避けられると豪語するのね」
「ええ。それでも僕は、言い切ります」
アルマとの関係を絶たなくても未来を変えられる。そう断言する。
「そうなの。じゃあ次は、その根拠を聞かせてもらえる? 貴男はどうしてそう言い切れるのかしら?」
「その理由、それは――。さっきの僕は、僕であり僕ではなかったからですよ」
あの人生を実際に過ごしている時は、気付かなかった。いや、気付けなかったのだと思う。
夢が覚めて一連を振り返っていると、
『あの僕は婚約以降、努力をやめていた』
と気が付いた。
アルマと結婚できたんだから、もう頑張らなくていい――。そんな風に考えるようになっていて、我武者羅に走るのを止めていた。
だから声が大きくなってから慌てて動き出す羽目になり、結局最後まで挽回できなかった。
本来の僕なら『より一層走らないといけない』と考えているはずなのに、一年近くただただ楽しく暮らし、あんな状況と決断を招いてしまった。
だから。だから。
これから僕があの僕と同じ選択をしても、あの僕と同じ末路は辿らない。
そう確信していて、女性に対して自身を持って説明を行った。
そして――。
この場でもう一つ、この方に対して伝えたいことと行いたいことがあって――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
455
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる