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第2話 お出かけ中の、発見 ナタリー視点(1)
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「うふふ。今日は来てよかった。いい買い物ができましたわ」
フィリップ様と2日間のお別れをした、次の日。その寂しさを紛らわせるために、わたくしはかなり離れた地点にある街・レーフェルンでお買い物をしていました。
ここレーフェルンには、強いこだわりを持つ職人達が――オーダーメードには応じない腕利きの職人が集っていて、ここはそんな匠たちの店が軒を連ねるエリア。わたくしはそんな場所でお買い物を行って、色々と手に入れましたの。
「このチョーカー、フィリップ様に見ていただきたいですわ。オデット、貴方時間を進める方法を知らない?」
「お嬢様、申し訳ございません。そういった知識技能は、持ち合わせておりません」
「ふふ、冗談ですわよ。言ってみただけですわ」
いつも真面目過ぎる侍女――同行者の一人とそんなやり取りをしながら馬車に乗り込み、今日のお買い物は終わり――ではありませんの。最後の目的を済ませるべく、フラワーショップを目指すよう御者に指示を出した。
「? ナタリーお嬢様は常日頃、お花には興味がないと仰っておりましたよね? なぜ向かわれるのでしょうか?」
「お礼をするため。リュシーに贈るためですわ」
かつて幼馴染だったあの子に、アネモネとマリーゴールドをプレゼントする。それが、花屋を訪れる理由。
「アネモネとマリーゴールド、珍しい組み合わせでございますね。選択された理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いまわせんわよ。その2つを選んだ理由は、ピッタリな花言葉があったからなんですのよ」
全然知らなかったのだけれど――。調べてみたらアネモネとマリーゴールドには、『見捨てられた』と『絶望』という花言葉があった。
この状況に最適なものの存在を知ったから、プレゼントすることにしたの。
「…………お嬢様、全てを承知の上で発言させていただきます。その行為は…………。あまりにも、礼を失しているのではないでしょうか……?」
「いいえ、そんな事はないわ。だってリュシーは、わたくしに『別れろ』と言ったんですもの。幼馴染の恋を応援できないどころか、悔しくて邪魔しようとする女。そんな者に容赦はいりませんわ」
だから、何をやっても構わない。フラワーショップに着くと店で一番大きなものを選び、配送を依頼して最後のお買い物はお仕舞い。
でも、これが――リュシーに関することがラストなのは、なんか嫌。そこで傍にある名の通ったカフェで休憩すると決め、入――っていたら。店の奥に、ここには居るはずのない人が居ると気付いたのだった。
「あそこで、コーヒーを飲まれているのは……。フィリップ様……?」
フィリップ様と2日間のお別れをした、次の日。その寂しさを紛らわせるために、わたくしはかなり離れた地点にある街・レーフェルンでお買い物をしていました。
ここレーフェルンには、強いこだわりを持つ職人達が――オーダーメードには応じない腕利きの職人が集っていて、ここはそんな匠たちの店が軒を連ねるエリア。わたくしはそんな場所でお買い物を行って、色々と手に入れましたの。
「このチョーカー、フィリップ様に見ていただきたいですわ。オデット、貴方時間を進める方法を知らない?」
「お嬢様、申し訳ございません。そういった知識技能は、持ち合わせておりません」
「ふふ、冗談ですわよ。言ってみただけですわ」
いつも真面目過ぎる侍女――同行者の一人とそんなやり取りをしながら馬車に乗り込み、今日のお買い物は終わり――ではありませんの。最後の目的を済ませるべく、フラワーショップを目指すよう御者に指示を出した。
「? ナタリーお嬢様は常日頃、お花には興味がないと仰っておりましたよね? なぜ向かわれるのでしょうか?」
「お礼をするため。リュシーに贈るためですわ」
かつて幼馴染だったあの子に、アネモネとマリーゴールドをプレゼントする。それが、花屋を訪れる理由。
「アネモネとマリーゴールド、珍しい組み合わせでございますね。選択された理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いまわせんわよ。その2つを選んだ理由は、ピッタリな花言葉があったからなんですのよ」
全然知らなかったのだけれど――。調べてみたらアネモネとマリーゴールドには、『見捨てられた』と『絶望』という花言葉があった。
この状況に最適なものの存在を知ったから、プレゼントすることにしたの。
「…………お嬢様、全てを承知の上で発言させていただきます。その行為は…………。あまりにも、礼を失しているのではないでしょうか……?」
「いいえ、そんな事はないわ。だってリュシーは、わたくしに『別れろ』と言ったんですもの。幼馴染の恋を応援できないどころか、悔しくて邪魔しようとする女。そんな者に容赦はいりませんわ」
だから、何をやっても構わない。フラワーショップに着くと店で一番大きなものを選び、配送を依頼して最後のお買い物はお仕舞い。
でも、これが――リュシーに関することがラストなのは、なんか嫌。そこで傍にある名の通ったカフェで休憩すると決め、入――っていたら。店の奥に、ここには居るはずのない人が居ると気付いたのだった。
「あそこで、コーヒーを飲まれているのは……。フィリップ様……?」
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