前世で薬師だったことを思い出したので、今度こそ愛する人を救います

柚木ゆず

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幕間 3人の弟 俯瞰視点

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「アシル兄様。お身体の具合はいかがですか……?」

 腰まで伸びた、ストレートの金髪。薔薇がよく似合う、美麗な顔。ハープの音色のような美しい声が特徴的な、美少年。彼は、この国の第二王子であるヤウヘル・エスタス16歳。
 ヤウヘルはベッドを覗き込み、不安げに瞳を揺らした。

「ああうん、悪くはないよ。現状維持、かな」
「そうですか……。困ったことがありましたら、何でも言ってくださいね」

 ヤウヘルは幼き頃から、兄を慕っている。そのため両手を握って言葉と身体で元気づけ、名残惜しそうに部屋を去ったのだった。


 〇〇〇


「アシル兄さん。お身体の具合は、いかがですか?」

 短めの金髪。落ち着きを供えた、知的な顔。耳障りの良い低めの声が特徴的な、大人びた美少年。彼は、この国の第三王子であるサザレ・エスタス15歳。
 サザレはベッドを覗き込み、表情は変わらないものの、瞳は不安の色を含んでいた。

「おかげさまで、昨日から変化はない。良くなってもいないけれど、悪くなってもいないよ」
「そうですか……。何かありましたら、遠慮なく言ってください」

 サザレは幼少期から、兄アシルを慕っている。そのため両手を握って勇気づけ、名残惜しそうに部屋を去ったのだった。


 〇〇〇

「アシル兄(にい)。お身体の具合は、どうですか?」

 毛先に癖のある、金髪の髪。無邪気さが残る童顔。バイオリンの高音を優しく出したような、高めの柔らかな声。彼は、この国の第四王子であるベルス・エスタス13歳。
 ベルスはベッドを覗き込み、心配そうに瞳を潤ませた。

「いつも来てくれて、ありがとう。ベルスのおかげで、今は痛みはないよ」
「そ、ですか……。ボクにできることがあったら、なんでも仰ってくださいね!」

 ベルスは幼い頃から、アシルを慕っている。そのため両手を握ってエネルギーを送り、名残惜しそうに部屋を去ったのだった。



 アシルの弟達は皆が皆心から心配しているように思えるが、この中の一人――あるいは二人、もしくは三人全員が、犯人。

 ――一体だれが、仕掛けているのか――。

 アシルとライアンは終始確認をしていたが、皆目見当がつかない。

 ――やはり、目視では判断できないか――。
 ――ごめんよ、ソフィア。キミを頼らせてもらいます――。

 ――ソフィア様。期待をさせて頂きます……――。

 容疑者を見送ったアシルと従者ライアンは大きくため息を吐き、外出をしたソフィアがいる方角に頭を下げたのでした――。



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