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第4話 2日目 また異常!? リーエス視点(2)
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『守護石の黒化は、崩壊の始まり』――。
変色している守護石を見た瞬間、そんな一節が蘇る。
結界が弱まれば悪しきエネルギーが流れ込んでくるようになって、そのままにしておくと毎日1段階ずつ悪化。1日目は守護石の異常で…………最後の13段階まで到達してしまうと、国は崩壊してしまう。
これはこの国の住人なら誰でも知ってる、有名なお話……。聖女の覚醒と同時に頭に流れ込んでくる、実際に起きてしまう本当のお話……。
「や、やっぱり、あたしは聖女の力を使えていないの……? 奪い取った力じゃダメなの……?」
色が変わってるってことは、そういうことだよね?
だ、だけど。それなら、魔法陣がちゃんと光ってるのはおかしい。だって、魔法陣に注がれた聖女の力が結界を作るんだもん。こっちが機能してるのにそっちが機能しないなんて有り得ない。
「……でも、ゆうべは魔法陣も変だったし……。でもでも、変なら両方変になるはずだし……」
もう、わけが分からない。
「……アメリアに……。相談してみようか……?」
あの人は、52年も神殿にいる神殿長。何か知ってるかもしれない――けど、ダメだ。
「そうしたら偽聖女だと疑われ始めて、色々調べだす危険性がある」
あの魔術書は突然ポンっと出てきて、魔術を使ったらポンっと消えた。だから他のヤツが持ってる可能性もあって、ソイツがまだ使ってなかったら……。持っているのを見つけられちゃったら、魔術に気付かれるかもしれない。
……そうなったら、折角手に入れた毎日がなくなっちゃう……。誰かに相談する、は絶対にやっちゃいけない。
「だったら……。とりあえず守護石を隠して、自分で書庫を調べてみよっか」
あそこには確か、古い書物がどっさりあったはず。過去にこういうケースがないからチェックしてみよう。
「あたしは聖女、国の要なんだもん。守護石を勝手に取っても、文句は言われないよね」
真っ黒いのを見られたら、大問題になっちゃう。誰もいないこの隙に、持ち出して――
「リーエス様? どうされましたか?」
「――ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
特注した聖女の私服のポケットに突っ込んでいたら、いつの間にか真後ろにアメリアがいた!!
びっ、ビックリした……っ。なんなのよコイツ……っっ。
「し、失礼致しました……。申し訳ございません」
「はぁ、はぁ、はぁ……。なんなの……。どうしてここにいるの……?」
「扉が開いていた為、確認をしておりました。魔法陣と守護石に何かあれば、一大事ですので――あら? 守護石は……」
「しゅっ、守護石はねっ、あたしが持ってるのっ! ほらっ、あたしって覚醒したばかりじゃないっ? 守護石への挨拶も兼ねて磨いてあげようと思ってちょっとだけ部屋に持って帰ろうとしてたのよっ。聖女なんだから構わないでしょ文句ないでしょ!?」
ないわよね!? 戻せって言い出したら怒るわよ!? 暴れるわよ!?
「ご、ご自由になさってくださいませ……。ただ……」
「ただ!? なに!?」
「魔法陣の効果がなくなってしまう為、神殿外への持ち出しは禁忌となっております。そちらだけご注意をお願い致します」
な、なんだそんなこと? 何度もドキンとさせるんじゃないわよ……っ。
「ちゃんと、分かってるわよ。じゃ、じゃあね。あたしは部屋とか書庫で――そうそうっ。買い物はあとにするわっ。やることが全部終わってからにするから、待たせといて」
「しょ、承知致しました。何かお手伝いを――」
「あたし独りでいいからっ! 暫くは単独行動をするからっ! 誰もあたしに近づかないように行っておいてっ!」
合計5回も首を大きく振って、テンパりながら駆け足で走り出す。
守護石は黒く光ってるから、透けて見えるかもしれない。だから右手でポケットを押さえつつ急いでこの場を離れ、書庫に駆け込んだのだった。
はぁ。ギリギリセーフ……。
どうにか、見られずに済んだ……。
◇◇◇
「……見間違い、なのでしょうか……? リーエス様のポケットの中に、黒い光があったような……?」
変色している守護石を見た瞬間、そんな一節が蘇る。
結界が弱まれば悪しきエネルギーが流れ込んでくるようになって、そのままにしておくと毎日1段階ずつ悪化。1日目は守護石の異常で…………最後の13段階まで到達してしまうと、国は崩壊してしまう。
これはこの国の住人なら誰でも知ってる、有名なお話……。聖女の覚醒と同時に頭に流れ込んでくる、実際に起きてしまう本当のお話……。
「や、やっぱり、あたしは聖女の力を使えていないの……? 奪い取った力じゃダメなの……?」
色が変わってるってことは、そういうことだよね?
だ、だけど。それなら、魔法陣がちゃんと光ってるのはおかしい。だって、魔法陣に注がれた聖女の力が結界を作るんだもん。こっちが機能してるのにそっちが機能しないなんて有り得ない。
「……でも、ゆうべは魔法陣も変だったし……。でもでも、変なら両方変になるはずだし……」
もう、わけが分からない。
「……アメリアに……。相談してみようか……?」
あの人は、52年も神殿にいる神殿長。何か知ってるかもしれない――けど、ダメだ。
「そうしたら偽聖女だと疑われ始めて、色々調べだす危険性がある」
あの魔術書は突然ポンっと出てきて、魔術を使ったらポンっと消えた。だから他のヤツが持ってる可能性もあって、ソイツがまだ使ってなかったら……。持っているのを見つけられちゃったら、魔術に気付かれるかもしれない。
……そうなったら、折角手に入れた毎日がなくなっちゃう……。誰かに相談する、は絶対にやっちゃいけない。
「だったら……。とりあえず守護石を隠して、自分で書庫を調べてみよっか」
あそこには確か、古い書物がどっさりあったはず。過去にこういうケースがないからチェックしてみよう。
「あたしは聖女、国の要なんだもん。守護石を勝手に取っても、文句は言われないよね」
真っ黒いのを見られたら、大問題になっちゃう。誰もいないこの隙に、持ち出して――
「リーエス様? どうされましたか?」
「――ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
特注した聖女の私服のポケットに突っ込んでいたら、いつの間にか真後ろにアメリアがいた!!
びっ、ビックリした……っ。なんなのよコイツ……っっ。
「し、失礼致しました……。申し訳ございません」
「はぁ、はぁ、はぁ……。なんなの……。どうしてここにいるの……?」
「扉が開いていた為、確認をしておりました。魔法陣と守護石に何かあれば、一大事ですので――あら? 守護石は……」
「しゅっ、守護石はねっ、あたしが持ってるのっ! ほらっ、あたしって覚醒したばかりじゃないっ? 守護石への挨拶も兼ねて磨いてあげようと思ってちょっとだけ部屋に持って帰ろうとしてたのよっ。聖女なんだから構わないでしょ文句ないでしょ!?」
ないわよね!? 戻せって言い出したら怒るわよ!? 暴れるわよ!?
「ご、ご自由になさってくださいませ……。ただ……」
「ただ!? なに!?」
「魔法陣の効果がなくなってしまう為、神殿外への持ち出しは禁忌となっております。そちらだけご注意をお願い致します」
な、なんだそんなこと? 何度もドキンとさせるんじゃないわよ……っ。
「ちゃんと、分かってるわよ。じゃ、じゃあね。あたしは部屋とか書庫で――そうそうっ。買い物はあとにするわっ。やることが全部終わってからにするから、待たせといて」
「しょ、承知致しました。何かお手伝いを――」
「あたし独りでいいからっ! 暫くは単独行動をするからっ! 誰もあたしに近づかないように行っておいてっ!」
合計5回も首を大きく振って、テンパりながら駆け足で走り出す。
守護石は黒く光ってるから、透けて見えるかもしれない。だから右手でポケットを押さえつつ急いでこの場を離れ、書庫に駆け込んだのだった。
はぁ。ギリギリセーフ……。
どうにか、見られずに済んだ……。
◇◇◇
「……見間違い、なのでしょうか……? リーエス様のポケットの中に、黒い光があったような……?」
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