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第11話 5日目 予感が確信へ アメリア視点(1)
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「リーエス様、いってらっしゃいませ。………………。それでは、始めましょうか」
お見送りを済ませたあと、わたくしは聖女様の私室へと歩を進めます。
どうしても、確認しておかなけばならない事がありますので。部屋の主であるリーエス様を遠ざけ、その間に室内を検めさせていただきます。
「……あの日見た、ポケットの黒い光……。今思うとあれは、見間違いではなかった気がするのですよね……」
現在祈りの間には七色に光る守護石があり、異常はないように見えます。しかしあの日から――その前日から、様々な異変が起きています。
もしかして。
あの光は、見間違いではなかったのでは?
あの場で妙に焦っていたリーエス様は、黒化している守護石を見つけたのでは?
書庫に長時間いらっしゃったのは、守護石を元に戻そうとしていたから。今ある守護石は、偽物――聖女の力で創造した物なのでは?
前日の不自然な態度とコロコロと変わる言い分を聞いていて、そんな思いが強くなっていきました。
本来不法侵入は罪ですが、事情が事情です。用意していた合鍵を使って部屋に入り、証拠探しを始めました。
「もしもあの守護石が偽物なら、本物は必ず誰も立ち入れない領域に隠されています。……全てが、わたくしの大きな勘違いだといいのですが……」
黒い石が、ありませんように。黒い石が、ありませんように。そう強く念じながら、調べてゆきます。
「こちらには……………………ありませんね」
最高級品の白いドレッサー。この中には、該当する物は存在しませんでした。
「次は………………。ここと、こちらにも、ありませんね」
100万G以上するチェストや小さなデスクにも、該当する物は存在しませんでした。
他に、10センチの石を隠せる場所は……………………。キングサイズのベッドの傍にある、ジュエリーボックスだけですね。
「こちらでしたら光を遮断できて、ベッドメイキングの際にも気付かれません……。大きさも丁度ですし、鍵もかけられますし……」
一番怪しい場所ですね。
こちらの合鍵はありませんので…………仕方ありません。鍵を壊して開きましょう。
「……外れていたら責任を取って、神殿長を辞任しましょう。…………辞任する事になれば、よいのですが…………。どう、でしょうか……?」
おかしな話ですが、自分の不幸を願って――。取ってきた金槌で何度も叩き、力づくでこじ開けました。
「……………」
事に及ぶ前に、溜まっていた唾液を飲み込んで。酷く緊張しながら箱を開くと、その中には――
「悪い予感が、当たってしまいましたね……」
すっかり変わり果てた、黒く光る守護石が入っていました。
お見送りを済ませたあと、わたくしは聖女様の私室へと歩を進めます。
どうしても、確認しておかなけばならない事がありますので。部屋の主であるリーエス様を遠ざけ、その間に室内を検めさせていただきます。
「……あの日見た、ポケットの黒い光……。今思うとあれは、見間違いではなかった気がするのですよね……」
現在祈りの間には七色に光る守護石があり、異常はないように見えます。しかしあの日から――その前日から、様々な異変が起きています。
もしかして。
あの光は、見間違いではなかったのでは?
あの場で妙に焦っていたリーエス様は、黒化している守護石を見つけたのでは?
書庫に長時間いらっしゃったのは、守護石を元に戻そうとしていたから。今ある守護石は、偽物――聖女の力で創造した物なのでは?
前日の不自然な態度とコロコロと変わる言い分を聞いていて、そんな思いが強くなっていきました。
本来不法侵入は罪ですが、事情が事情です。用意していた合鍵を使って部屋に入り、証拠探しを始めました。
「もしもあの守護石が偽物なら、本物は必ず誰も立ち入れない領域に隠されています。……全てが、わたくしの大きな勘違いだといいのですが……」
黒い石が、ありませんように。黒い石が、ありませんように。そう強く念じながら、調べてゆきます。
「こちらには……………………ありませんね」
最高級品の白いドレッサー。この中には、該当する物は存在しませんでした。
「次は………………。ここと、こちらにも、ありませんね」
100万G以上するチェストや小さなデスクにも、該当する物は存在しませんでした。
他に、10センチの石を隠せる場所は……………………。キングサイズのベッドの傍にある、ジュエリーボックスだけですね。
「こちらでしたら光を遮断できて、ベッドメイキングの際にも気付かれません……。大きさも丁度ですし、鍵もかけられますし……」
一番怪しい場所ですね。
こちらの合鍵はありませんので…………仕方ありません。鍵を壊して開きましょう。
「……外れていたら責任を取って、神殿長を辞任しましょう。…………辞任する事になれば、よいのですが…………。どう、でしょうか……?」
おかしな話ですが、自分の不幸を願って――。取ってきた金槌で何度も叩き、力づくでこじ開けました。
「……………」
事に及ぶ前に、溜まっていた唾液を飲み込んで。酷く緊張しながら箱を開くと、その中には――
「悪い予感が、当たってしまいましたね……」
すっかり変わり果てた、黒く光る守護石が入っていました。
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