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リアン
国王陛下の探し人
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「これも違う。もう他はいないのか?」
王宮にある王の書斎で机に向かい、苛立った様子の若い男性がいる。
黒髪の黒目の凛々しく美しい顔立ち、逞しい体躯に恵まれた美貌の成人男子、国王ルーク。
国王ルークは長年の探し人がなかなか見つからないことに苛立ちを隠せない。前国王が亡くなり、跡を継いで国王になってから3年たつ。その時からずっとある人を探していた。
「はい。この国の紫の髪と碧眼の18歳以上の男子は全て調べてこれが最後です。紫の髪をもつ者はただでさえ少ないのに、この者も違うのですか?」
宰相が驚いて尋ね、国王ルークはため息をついて頷く。
その時、ノックの音がした。
「陛下、アイゼルです。失礼します。」
「騎士団長アイゼル。何用だ?」
アイゼルと呼ばれた騎士が入ってきた。騎士団長だ。亜麻の短髪に緑の瞳、鍛え上げられた逞しい体格の若い男だ。
「は。宰相ガリアス様。本日入団した新人騎士のリストをお持ちしようとしたところ、陛下のお部屋だと伺いまして、なら陛下にもお目にかけようかと思いまして。」
宰相ガリアスは長い銀髪をなびかせながら騎士団長アイゼルに近づいて冊子を受け取った。銀の髪に緑の瞳のガリアスは驚くほどの美貌の持ち主だ。頭脳が切れ、幼い頃からルークの片腕になるべく育てられてきた。
騎士団長アイゼルも国王ルークの幼い頃からガリアスと仲の良い幼なじみとして育った。
今も立場は違うが3人とも親友として私室では普通に話すこともある。
「…ま、お堅い話はいいとして、ルーク、ガリアス。まだ見つからないのか?」
いきなり騎士団長アイゼルがくだけた口調になった。
「ああ。もう探し尽くした。考えたくはないが…。」
ガリアスが半ばあきらめかけた表情でため息をつく。
「やめろ、知る限りの足取りは5歳で途切れた。もしかしたら国外にいるのかもしれない…。ジュリアンが生きてると信じたいんだ、俺は。」
ルークがガリアスを睨んだ。
「生き別れの弟、か。血は全く繋がらない、父の後妻の連れ子だけど、天使かと思うほど美しくて。愛してたよ。まさかあんな形で引き裂かれるなんて思わなかったよな…。」
ルークがそう言いながらふと、アイゼルが持ってきたリストを手に取った。
十数人の若い新人騎士のリストがある。ルークは暇潰しのようにパラパラとあまり興味なくめくっていく。
「今年はなかなか豊作らしいぞ。貴族平民、移民も関係なく実力重視で門を広げたからな。」
騎士団長アイゼルが付け加えるように国王ルークに言った。
ふと、ルークの手が止まった。
「こいつ…。」
王宮にある王の書斎で机に向かい、苛立った様子の若い男性がいる。
黒髪の黒目の凛々しく美しい顔立ち、逞しい体躯に恵まれた美貌の成人男子、国王ルーク。
国王ルークは長年の探し人がなかなか見つからないことに苛立ちを隠せない。前国王が亡くなり、跡を継いで国王になってから3年たつ。その時からずっとある人を探していた。
「はい。この国の紫の髪と碧眼の18歳以上の男子は全て調べてこれが最後です。紫の髪をもつ者はただでさえ少ないのに、この者も違うのですか?」
宰相が驚いて尋ね、国王ルークはため息をついて頷く。
その時、ノックの音がした。
「陛下、アイゼルです。失礼します。」
「騎士団長アイゼル。何用だ?」
アイゼルと呼ばれた騎士が入ってきた。騎士団長だ。亜麻の短髪に緑の瞳、鍛え上げられた逞しい体格の若い男だ。
「は。宰相ガリアス様。本日入団した新人騎士のリストをお持ちしようとしたところ、陛下のお部屋だと伺いまして、なら陛下にもお目にかけようかと思いまして。」
宰相ガリアスは長い銀髪をなびかせながら騎士団長アイゼルに近づいて冊子を受け取った。銀の髪に緑の瞳のガリアスは驚くほどの美貌の持ち主だ。頭脳が切れ、幼い頃からルークの片腕になるべく育てられてきた。
騎士団長アイゼルも国王ルークの幼い頃からガリアスと仲の良い幼なじみとして育った。
今も立場は違うが3人とも親友として私室では普通に話すこともある。
「…ま、お堅い話はいいとして、ルーク、ガリアス。まだ見つからないのか?」
いきなり騎士団長アイゼルがくだけた口調になった。
「ああ。もう探し尽くした。考えたくはないが…。」
ガリアスが半ばあきらめかけた表情でため息をつく。
「やめろ、知る限りの足取りは5歳で途切れた。もしかしたら国外にいるのかもしれない…。ジュリアンが生きてると信じたいんだ、俺は。」
ルークがガリアスを睨んだ。
「生き別れの弟、か。血は全く繋がらない、父の後妻の連れ子だけど、天使かと思うほど美しくて。愛してたよ。まさかあんな形で引き裂かれるなんて思わなかったよな…。」
ルークがそう言いながらふと、アイゼルが持ってきたリストを手に取った。
十数人の若い新人騎士のリストがある。ルークは暇潰しのようにパラパラとあまり興味なくめくっていく。
「今年はなかなか豊作らしいぞ。貴族平民、移民も関係なく実力重視で門を広げたからな。」
騎士団長アイゼルが付け加えるように国王ルークに言った。
ふと、ルークの手が止まった。
「こいつ…。」
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