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リアン

騎士団棟へ

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朝、俺は稽古をするために騎士団棟へ行った。昨夜はルークに愛された。しばらく騎士団棟に泊まるためにしばらくできないこともあって、ルークに何度も…。ルークはいつも激しくて、優しくて俺をトロトロに溶かす。
思い出すと駄目だ。胸がときめいて疼いてしまう。

騎士団棟前の運動場には既に何組もの騎士が稽古をしていた。

一人の騎士が俺に気づいて手を上げる。
多分この人がジークフリートだ。

灰色の短髪に整った凛々しい美貌。鼻はツンとして高い。身長は高く、逞しい体躯。恵まれた容姿の華のあるお兄さん、といったところだろう。

「リアンだね?はじめましてじゃないけれど、話すのは初めてだな。よろしくお願いします。」

ジークフリートはぺこり、と俺に頭を下げた。
絶対年上のこの人が俺なんかに頭を下げてくるなんて、どんだけいい人なんだよ…。俺もつられて深くお辞儀をした。

「時折騎士団の稽古でリアンを見ててな、すごい実戦向きだなと感心してたんだ。よろしく頼むよ。」
「はい。」

俺の剣は我流で色んな武術が混ぜ混ぜだから邪道だと言われても仕方ないと思ってた。なのに教えて欲しいなんて言われて、すごく嬉しい。

手合わせをしてみると、ジークフリートの剣はもう折目正しいというか、きっちり美しい。それは剣を学んだ同士ならいいのだけれども、いざ実戦で無茶苦茶に戦いを挑まれると少し不利な気がする。それは本人も気づいてるので俺の出番だというわけか。

「そうですね…剣術大会のルールにもよるけれど…武器は二つまでですか?」
「そうだ。剣と短剣を使用できる。どっちも失ったら負けだ。」
「もし、長剣を失って短剣に切り替えた時の接近戦が肝になりますよね…。長剣を失わなければいい話なんですけれども。」
「それは相手も同じだ。 もし切り札が短剣にあるのならば、初めから短剣で出るのも作戦に入れたいんだ。騎士は殆どが長剣だからな。」

はじめから接近戦でいこうというのか。それは意表をつく。騎士の戦いではみたことないなぁ。この人頭柔らかいなー。

「ぶっちゃけた話、勝てばいいんだよ。美しく戦った所で戦力にならなければ役に立たないだろう?本当の敵は騎士じゃないんだから。剣術大会だけれども、本来は無差別武道大会なんてやってみろ、騎士なんかすぐ負けるぞ。リアンのような強者がいるんだから。」

うわ、褒められたー。俺はニヤニヤしてしまった。

「どうだリアン?ジークフリートは?」

アイゼルが現れ、ジークフリートは敬礼をした。

「すごく勉強になります。ありがとうございました。」

ジークフリートの言葉にアイゼルはにっこり笑った。

「だって。助かるよ、リアン。」

アイゼルの言葉におれはほっとした。






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