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【ルシャ視点】今日のメインイベント

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「良かったな、レオニー」

「はい……」

親子が微笑みあってるのを見て、僕も嬉しくなる。

レオニーにはまた「森の民はロマンティストなんだな」って笑われちゃうかも知れないけど、絶対に当日はレオニーをしっかり守って、一緒にデビュタントの素敵な思い出を作っていきたい。

決意を新たにした僕は、持ってきたマジックバッグを手に取った。

「今日はもうひとつ、お話がありまして」

「ああ、そうらしいな。騎士団に納入する薬の試作品を造ってきてくれたのだと聞いたが」

「はい。いい採取場所に住ませて貰ってるんで、かなりいい感じのができてるんですけど」

それからはしばらく傷薬だとか疲労回復薬だとかの付加効果をなんにするかとか、品質レベルをどの程度に抑えるかとか、金額と納期はどうするとか、しっかりお仕事の話をさせて貰った。

おおまか話がまとまったところで、いよいよ僕は作戦を実行することにする。

ここからが、僕的今日のメインイベントだ。

「そうだ、レオニー。この前あげたクリーム、まだ残ってる?」

「ああ、沼で採った土から造ったって言う、あれかい? もちろんまだ残っているよ。おかげで小さな傷や打撲はあっという間に治癒するし、肌のきめも細かくなった」

「良かった。あれとか、騎士団の備品にあるといいかなと思ったんだけど」

「ああ、隊ににいくつかあるといいかも知れないな。持ってこようか?」

「うん、ありがとう」

レオニーが颯爽と部屋を出て行ったのを見送って、僕はこっそりと深呼吸した。

そして、ゆったりと紅茶を飲んでいる騎士団長に、僕は思い切って話しかける。

「あの、僕、レオニーが好きなんですけど、どうしたらレオニーと結婚できますか?」

ブハッ!!!

勢いよく騎士団長が紅茶を吹き出した。

「す、すまん」

「大丈夫です……」

いや、紅茶はめちゃくちゃ浴びたからあんまり大丈夫じゃ無いけど、騎士団長から渡された高価そうなハンカチで顔とか服とかをふきふきしながら、あえて黙って反応を待つ。

侍従の人が手早くテーブルを拭いて紅茶を淹れなおして、さりげなく目立たない場所へと下がったら、ようやく騎士団長が咳払いして口を開いた。

「もしかしてとは思っていたんだが……、君とレオニーはその……恋仲なのか?」

もしかしてって思ってくれてたんだ。

内心ほくそ笑みながら、僕はしおらしい顔で言った。

「まだ僕の片思いなんですけど、レオニーに打ち明けようかと思っていて……でも、レオニーは高位の貴族だから、家長が結婚相手を決めることも多いって聞いて」
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