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第3章 赤ちゃんができた!
よくある話
しおりを挟む幸い20週くらいに入ると、つわりも大分楽になってきた。
どうせ時間はたくさんあるので、食べ物の栄養について勉強し直した。
いい赤ちゃんを産んで、おいしくて栄養のあるものを食べさせて、いい子に育てたいって思うと頑張れる。
彼も「最近料理頑張ってるね。成果はまだまだだけど、努力は偉いよ」って褒めてくれた。
でも、「成果はまだまだ」って言うくらいだから、私のごはんが気に入らないみたいで、外で食べたり飲んだりしてくることが増えて、帰宅も遅くなりがちだ。
飲むと代行さんを使う。
タクシーの往復よりリーズナブルだっていうけど、しょっちゅうだからバカにならない。
そういうお金は自分の実家でもらう「お小遣い」でどうにかするらしい。
そのお金で私にケーキとか買ってきてくれることもあるけど、いつもイチゴショートだった。
私はイチゴが嫌いだって大分前に(何度も)言ったけど、覚えていないんだろう。
それより何より、何と言って「お小遣い」をもらってくるんだろう。
私のやりくり下手で金欠だとか言っているのかもしれない。
実際「妹ちゃん」から、そんなようなメールが来たことがあった。
「結婚したんだから、しっかりしてください」って。
私がバカでポンコツなのは本当だから、何も言い返せない。
そのうち、男の人が絶対つけないような香水のにおいを持って帰ってきたり、明らかにお風呂に入ってから帰ってくることも多くなった。
それでも最初は「飲みの席で積極的な女の子に抱きつかれただけで、誓って何もしていない」とか「スーパー銭湯に行った」とか言ってたんだけど、だんだん開き直って、浮気を隠さなくなってきた。
「君の体はいたわりたいけど、性欲も処理したいから、これしかないんだよ。風俗に行くよりいいでしょ?」
と言われた。
「性欲がたまってイライラしたら、君に当たってしまうかもしれない。それが怖いんだ」
とも言っていた。
彼は言い訳の天才だと思う。
私は完全に怒るタイミングを逃してしまっていた。
そもそも浮気が駄目だとか、体をいたわるって、もっとほかにやることがあるだろうとか、言いたいこと、言うべきことはいっぱいある状況なんだけど、粗末な扱いに慣れてしまうと、怒りの沸点は上がり、喜びのハードルは下がる。
「私に暴力を振るわないように心を砕いている、すばらしい旦那様」とまで思っちゃうんだ。
暴力振るうことを前提にしているおかしさ、恐ろしさにすら気づかなくなっていた。
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