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2章

25 金色のG?

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金色のGハンター カグリア 視点

カサカサカサカサ!!

今、金色のGのようにカサカサと、ハイハイを始めた娘を捕獲するため観察しているカグリアよ。

ティーが生まれて来月で一歳になる前に、ハイハイを覚えた。
あたしはクッションで囲んだ部屋で遊ばせればいいと思っていた…
だが甘かった。
ティーはハイハイが出来ると判るとクッションをアホ毛で払いのけ、家中を高速ハイハイで走り始めたのだ。
直角に曲がったり、フェイントを入れたりと今までが大人しかったのがウソのように動いていた。

武神のあたしが捕まえられないなんて…スカッ!
さすが我が娘。
あたしの本気で相手してあげる。ゴゴゴゴゴォ!!

ドス!?

「あいた!?」

「家の中で暴れないでよね。」

ルナに思いっきりチョップされた。
ルナのチョップはふつうに痛い。

「ティーが、なかなか速くて…」

「そんなの言えばいいのよ。」

は?

「ティーちゃん戻って来なさい。」

ルナが高速ハイハイで移動中のティーに言うと、パッ!?
とティーがルナの顔の前に現れ腕の中に収まったのだ。

「あ?」キョロキョロ…

私の苦労は一体…

「ティーちゃんはどうやって覚えたのか呼べば転移で戻ってくるのよ。」

「知らなかった…」

「私も最近知ったけど、どうやらお腹の中の時の移動と同じだと思うわ。」

あー、あれか!そういえばしてたね。
便利な能力だねー。

「しかし、このままではティーが運動不足になるような…」

思いっきり動けないと身体に何かしらの影響は出そう。

「市場に行った時に買った物で使えるものを探してみるわ。」

「そうだね。ティー…思いっきり動くのは少し待ってね。」

「…あーい!」

ティーはしょんぼりしているがしょうがない。
家中走られたら困るからね。

ちなみにクリスは這いずりだが移動できるようになった。
ズリズリ…

そうそうあんな感じで…
クリスも脱走しているじゃん!!

幸いクリスはゆっくりなので、すぐに確保できた。
ベッドに寝かしていたのにどうやってここまで来たのやら…

ウチの子は行動派だなぁ…はぁ

あとでわかったことだけど、クリスが寝ていたベッドの留め金が外れており、ふかふかの絨毯に飛び降りたようだった。
動物パジャマも着ていて怪我をしなかったようだ。


コンコン!

誰かが来たようだ。

ドアを開けるとおんぶゴリラのエリザベートさんがいた。
開けた瞬間壁かと思ったよ。

あたしはゴリラ語はわからないのでルナに対応してもらった。
あー…ミルの実を持って来てくれたんだ。
ありがとうございます。

ルナもお返しの野菜を渡してるし良好な関係ではあるね。

「リア、子供たちを外で遊ばせて、私達はお茶しない?」

「いやいや、ティーが逃げちゃうよ?」

「大丈夫よ。ねぇ~ティーちゃん?お庭から出ないわよね?」

「あーい!」

心配だが、ルナの表情から何か秘策があるのだろう。

庭に大きめのテーブルとあたし達用の椅子、エリザベートさんは大きいから地べたに座ってもらった。

ティー達は水遊び用堀で遊んでもらうことにした。
リリスはラブリーさんの店に行っているのでいないので、堀で遊んでいるのはティーとクリスとエリザベートさんが育てている子供のフレアラットと羊の魔導族の子である。
エリザベートさんは現在は1匹と1人を育てている。
子供のおんぶゴリラを産んで育てていたのだが、成人して巣立ったらしく、怪我で弱っていたフレアラットと森に捨てられた羊の魔導族の男の子のメリアを育てているらしい。

ルナのところに来るのは、ティー達の子育てのサポートとメリアについての相談で来ているとルナから聞いた。

現状はメリアはエリザベートさんのとこで世話をして、人間としての一般常識を私達が見るということと、リリスと同い年くらいだから一緒の学校に通わせることが決まっている。

その手続きでルナが奔走しているのはあたしは知っている。お疲れ様…

ティー達は堀の中でボール遊びをしている、脱走はしないと思いたい。

あたし達はのんびり雑談をしながらお茶を飲んでいる。
エリザベートさんは自分用のコップを背中のポケットに入れているのでそれに大量のお湯と茶葉を入れ飲んでもらっている。

ちなみに、お茶の葉は聖樹の葉から作っているので大量にある、何故って?ルナが家をリフォームするときに聖樹を切った時に手に入ったから全てお茶にしたからだ。なので気にせずどんどん使える。
疲労回復や傷の回復も出来るのであたし達はよく飲む。

多分、ギルドに下ろせば高値で買い取るだろう。
でも、余計なトラブルに巻き込まれるのはわかりきっているので、売らずに親しい神にお歳暮に贈るだけにとどめている。うん、美味しい!

あたし達はお茶を楽しみなから会話をしている。
エリザベートさんの話はルナに翻訳してもらっているがイラストを葉っぱに書くてくれるのでなんとなくわかる。

エリザベートさんは魔獣なのに会話が成立しているのは、エリザベートさんは昔、魔導族の賢人に育てられていたらしく様々な知識を得たそうだ。
ルナが行方不明の時に弱い魔物を討伐獣から守ってくれてたらしく。

ん?ルナの顔色が悪い?

「ルナどうしたの?」

「リア、私明後日に用事が出来た…ティーちゃんとクリスは連れて行くからリリスをお願い…」



「タダル達のこと忘れてた…」

!?

あたしも忘れてた。

ルナと契約している聖獣タダルとその眷族、ティーを身籠ってから会ってない。
あたしが会ったのはルナを探し始めてすぐだから、5年くらい前かな?

確かにタダルにルナが無事なこと伝えてないわ。
 そんな暇もあの時なかったし…

「いいよ、行って来なよ。」

「ありがとう、あの子達の大好きな人参をお土産にして、話したら帰るわ。」

「わかったわ。」

「うほ、うっほー。」

え?エリザベートさんが明後日に2人を預かる?
あたしとしては助かるけど…
ルナを見ると…

「すいませんが、2人がもう少し大きくなってからお願いします。」

だよね。

エリザベートさんを信用していないわけではなく、クリスは身体がかなり良くなっているとはいえ、心配な状態で預けるのは出来ない。
ティーに至っては心配しかない…

なので今回はお断りだね。

エリザベートさんも納得してくれたようで、何かあったらすぐ連絡くれと返した。
頼りにしてます。

子供達は遊び疲れたようでうとうとしている。
お風呂に入れないといけないからお開きかな?

エリザベートさんはメリアとフレアラットを背中のポケットに入れ帰って行った。
そのあと、ちょっとしたトラブルがあって、後処理が出来たが、あたし達はティー達をお風呂に入れ寝かせた。
少ししてからリリスが帰って来て、一緒にごはんを食べた。

リリスは、明日クリスと居られるのが嬉しいようだから、稽古の時間は短めにして、何処か街に買い物に連れて行こうかな?

そんな事を考えながらベッドに入り、ルナと熱いキスをして眠った。おやすみ…








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