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第1章

24 一つの決断

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少女 リリス 視点

私はリリス。
お母さんが死んじゃって、妹と2人で暮らしていた。

たまに近くのおばあちゃんがごはんをくれたけど、急に来なくなった。

お腹が空いたから、お母さんから教えてもらった編み物でマフラーを作ってお店に持って行った。

でも、買ってもらえなかった。ぐすん…

妹のクリスが最近元気がない。
私はお姉ちゃんだから頑張らないと!

編み物を作ってはお店に持って行っては断られた。

ゴミ箱に食べ物があって持ち帰って食べたりした。
なんとか生きていたある日、クリスの身体がガタガタ震えているのに身体が熱い!
病気だ!?

私は頑張ってお店に編み物を売りに行った。
お薬あれば治るよね?
そう思いながら編み物を買ってくれないか頼んだけど、ダメだった。うー…

お店から出されて途方にくれていると、キレイなお姉さんが話しかけて来た。

でも、お母さんが知らない人にかけられたら逃げなさいって言ってた。

だから、私は逃げた。

家に帰って来た私は売り物がないことに気づいた。

うそ!?どこかに落とした?

どうしよう…

クリスも死んじゃう。

誰か助けてよ。ひっく…

コンコン!

おばあちゃんかな?

カチャ!

さっきの知らないお姉さんだ!
閉めなきゃ!

ガシッ!?

ひっ!?

どうしよう。どうしよう。アセアセ!

えっ!?

荷物届けてくれたの?

助けてくれたらお礼を言うってお母さん言ってた。

「ありがとう…ございます」

荷物を見ているとお姉さんの手が光っていた。
あ!?怪我させたかな?

あれ?赤かった手がキレイになってる。
ヒール?魔法なの?

もしかしたら助かるかも。
お願いしてみよう。

「あ、あのお姉さん!病気を治せますか?」

「病気は症状によるかな?今のは怪我用の魔法だしね。」

「妹を診てもらえないでしょうか。お願いします。お願いします。」

私は必死にお願いした。

「一応診てあげるけど、ダメだったらごめんね。」

「ハイ…」

私は少しほっとした。
クリスを助けれるかもしれない。

「なんでこんな生活してるのかしら?」

クリスがいる部屋に着くと、なんでこんな生活なのか聞いて来た。
そんなのわかんないよ。だって…
「お、おがあさんが…死んじゃってー…うわぁーん!」

私は泣き出した。何もわからないもん。うっぐ…

「…あー?」

クリスが起きたようだ。生きてる…よかった。

お姉さんは慌てて藁の布団を掻き分けてクリスを出した。
クリスが寒いと思って別の部屋にあった藁をかけてあげたの。

お姉さんはその後にクリスを助けてくれて、私にも仕事の約束をしてくれた。
私は妹と一緒居たい。
それに今、頼れる人がお姉さんしか居なかった。
クリスと自立を目標に頑張ろう、そしてお姉さんに恩返しをするんだ。

仕事を教えてくれる人は最初怖かったけど、優しいそうだった。

試験で布を縫ってと言われて縫ったら、合格と言われて喜んだ。
褒められたことが嬉しかった。

仕事の人…ラブリーさんが別れ際に女の人に変わったのは驚いた。全然さっきと違うんだもん。

その後、家に帰って荷物を取りお姉さんの家に行った。

すごい大きくて綺麗な家だった。
中に入るとお風呂の入りなさいと言われた。
お風呂ってなに?

服を脱ぐように言われたから脱いで扉の中に入るとお湯が沢山あった。

どうしたらいい?
私が迷っていると、お姉さんことルナールさんが入ってきて出来るか聞いてきた。

もちろん知らないので知らないと言ったらルナールさんが服を脱いで入ったきた。ルナールさんの体はすごくキレイだった。

ルナールさんに体の洗い方を教えてもらい、お湯の中に入った。
少し熱かったけど、気持ち良かった。

ルナールさんにお礼を言わないといけない。
ありがとう、と言うとルナールさんが私を抱きしめてくれた。
お母さんと同じ優しいモノに包まれた気がする。

子供なんだから大人に甘えなさい。
と言われた時に私の中で我慢していたモノが溢れ出て泣いてしまった。

ずっとお湯に浸かっていたからのぼせたらしい。
気がつくと服を着せられてふわふわのイスに座っていた。

ルナールさんから飲み物を貰った。甘しょっぱくて美味しかった。

「ただいま!」

女の人の声がした。

ルナールさんは私に休むように言うと玄関に向かった。

それからずっと待っているのにルナールさんが戻って来なかった。心配になっていた時、ルナールさんの悲鳴が聞こえた。

「ルナールさん、悲鳴が聞こえたけど、どうしたの?」

私が慌てて玄関に行くと、青い髪の女の人とルナールさんのような金髪の赤ちゃんがいた。
赤ちゃんの方は葉っぱとか付いていて汚れていた。

話を聞くとルナールさんの旦那?奥さん?らしい?
名前はカグリアさん。

赤ちゃんはルナールさんとカグリアさんの子供でキラティアちゃん。
ルナールさんはカグリアさんはリア、キラティアちゃんはティーちゃんと呼んでるみたい。
私も呼んだ方がいいのかな?

2人はお風呂に入るようで、クリスも入れるみたい。
今から着替えとクリスを風呂場に連れて行くようだ。

お風呂も終わり、ごはんを食べた。
すごくおいしくて涙が出てしまった。ルナールさんがハンカチを出してくれて涙を拭きながら食べた。

夜寝る時に床に寝ようと思っていたけどルナールさんがベッドが大きいから3人で寝ましょう。と言って私はルナールさんとカグリアさんの間で寝ることになった。

カグリアさんはなかなか寝付けない私をトントンも叩きながら冒険話をしてくれた。面白かった。

眠くなるとカグリアさんが抱いてくれた。
なんかお母さんに抱かれているようですごく安心して寝れた。

次の日、私はおねしょをしてルナールさんを濡らしてしまった。
捨てられると思い、私は泣いた。

でも、ルナールさんはすぐに魔法で乾かしてくれて捨てないと言ってくれて、私は安心するとともに、おねしょしたことに落ち込んだ。

着替えも終えて、朝ごはんの準備も終わり私は立って待っていたの。
そしたらルナールがなんで立って待ってたの?と聞かれたから、ここはルナールさんの家だから…いいよと言われるまで待とうと思ったと伝えると、ルナールさんはもう家族と思ってると言ってくれて、嬉しかった。

私達はここにいていいのだと…

思わずお母さんと言ってしまったら、いいよと言われた。
悩んだけど産んでくれたお母さんもお母さんだけど、ルナールさんもお母さんに思えた。

私を産んでくれたイリスお母さん、優しくて甘えてしまうルナお母さん、優しくてカッコイイ!リアお母さん。
欲張りかもしれないけど私は3人のお母さんがいると思うようにした。

その後に病院?に行って診察してもらったり、サンおじさんと言うおじさんができたり、じーじというお爺さんがぬいぐるみをくれた。

ルナお母さんに裁縫の特訓を受けたり、リアお母さんから身を守る訓練をしたり、ラブリーさんのところに行って洋服の勉強とお店の手伝いをたまにする日常を過ごしている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日はルナお母さんとクリスが街に何か手続きをしに行って、リアお母さんとティーちゃんと私でお留守番になった。
庭でティーちゃんとボール遊びをしてティーちゃんも眠くなっていたので2人でお昼寝することになった。

リアお母さんは畑仕事をするからと裏の畑に行った。
なので、今私達2人しか庭に居なかった。
庭にウサギがいるけどベランダまで入って来ないとルナお母さんが言っていた。
だから、私達は家のベランダまで来てお昼寝をした。
ウサギが何かを追いかけていたけど、柵もあるし大丈夫でしょう。

しかし、私が起きるとティーちゃんの寝ているバケットが白い毛がこんもりと盛られていた。え!?

毛は毛皮のようで、毛を掴むとすぐどかすことが出来た。
ティーちゃんは無事なようですやすや寝ていた。ほっ!
これだけ毛皮があって、暑くなかったのかなぁ?

安心した私は毛皮を見た。
毛皮を広げてみると、ウサギだった。

内臓は干し肉のようにカラカラで手を突っ込むと簡単に取れた。

プチプチと中身を出すとキレイな毛皮になった。
大きさ的にティーちゃんと同じ大きさだね。



私はお裁縫道具のハサミを持って来て、毛皮に切れ込みを入れティーちゃんに着せた。
ウサギの毛皮を着たティーちゃんは物凄く可愛かった。
クリスにも着せたいなぁ。

リアお母さんにティーちゃんを見せると喜んでくれた。

「リリス、素材あげるから作って。」

と言われ山のような毛皮が置かれた。

「これ全てティーの飲みカスだよ。好きに使っていいよ。」

どれも汚れはなくキレイな毛皮だった。

リアお母さんはプチプチと毛皮の中身を出しているので私は次々とハサミで切れ込みを入れてティーちゃんに着せていった
ティーちゃんは熟睡しているみたいで起きる様子はなかった。でも、姿は可愛かった。

ティーちゃんに夢中にになっていると大きなクマがいた。
私が悲鳴をあげようとすると中からリアお母さんの顔が出てきた。

「この毛皮暖かくて気持ちいいからリリスを着れそうなの来てみなよ。」

そうなの?
私の大きさに合いそうなオオカミの毛皮があった。
キバは危ないからリアお母さんに取ってもらって、ハサミを入れ着れるようにして着替えたら気持ち良かった。
匂いもしないからずっと着れる。パジャマにいいかも!

これをラブリーさんのお店で売れるかもしれない、今度話してみよう。

「リリスも可愛い!」

リアお母さんに抱きつかれて恥ずかしかった。

「しかし、なんでティーちゃんところに白兎の毛皮があったのかしら?」

そういえばなんでだろう?
ティーちゃんだけ襲われて?いて私には何もされなかった。
結局、謎だけが残った。

ルナお母さんとクリスが帰ってきて、パジャマを見せたら喜んでくれた。
夜はみんなで毛皮パジャマを着て楽しかった。

ルナお母さんから、「オムツ換えがしにくいからこうしたらいいよ。」と教えてくれたから明日は改造しよう。

私は今幸せです。イリスお母さん、私達もっともっと幸せになれるように頑張るから見守ってね。

おやすみなさい。






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