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3章

39 挑戦を受ける者1

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出場者 カグリア 視点

武道大会があると聞いて家族でやって来たカグリアよ。
大会の優勝商品は隠されていたが副賞がミスリル鉱石らしいので出場することになった。

武器を作るのに欲しかったのよね。

そんなわけで軽いノリで参加したのだ。

参加者人数が多いらしく、グループで戦うようだ。

入り口で貰った紙の番号のところで戦うらしい。
あたしは七番か…

七番のリングに入る。
んー…見た感じ武神はいないなぁ。
あたしはゴングが鳴ると選手を場外に飛ばした。

ドンッ!

「はい、終わり。」

あたしは余裕で一次予選を突破した。
もうちょっと骨のある相手が欲しかったなぁ。

「一次予選の通過者はこちらに来て下さい。」

呼ばれたわね。
どんな選手がいるかしら?

「一番から四番の方こちらにいらして下さい。」

もう呼ばれているのか。
案外早く終わるかもしれないわね。

「げっ!?ねーちゃん!」

「あら、ライゼルじゃない。ティーの親戚お披露目以来ね。」

「そうだな。みんな元気?」

「ええ、ティーは元気過ぎるくらい元気よ。」

「あれからデカくなったのか。誕生日に会うのが楽しみだな。」

「おお、リア来ていたか。」

「父ちゃんもいたのね。」

まさか父ちゃんと会うとは…

「リアは元気そうだな。戦えるのが楽しみだ。」

「当たるといいね。」

「おう!」

「五番から八番の方こちらに来て下さい。」
意外に呼ばれるの早かったね。

「呼ばれちゃた!じゃね。」

「うわー…ねーちゃんとかよ。最悪だ…」

ライゼルと戦うようだ。
どれ、どのくらい強くなったか確かめよう。
パキパキ!

リングに入ると弟と中位神2人だった。
知り合いだけど、弟と語り合いたいのでゴングが鳴った瞬間…蹴りで2人を沈めた。
なんか中位神なのに弱かったわね。

「さぁ、弟よ。本気で来なさい。」

「ねーちゃんが語り合いモードに入ったぁ!?
こうなったらやってやる。うおー!!」

数分後、弟はリングに沈んでいた。チーン!

「全然ダメじゃない。父ちゃんにもっと修行して貰いなさい。」

弟にそう言うとあたしはリングの外に出た。

そういえば、次の相手は誰かしら?
対戦表とかないからわからないのよね。

まぁ、誰でもいいや。

「第一回戦を行います。選手の方は西門と東門に分かれて下さい。」

さっきの渡された紙には西門と書かれていた。
さぁ、誰かな?

『第一回戦、第1試合は西門カグリア!」

わー!!!

あたしはリングに上がった。
石畳で動きやすい。

『東門…』

のっしのっし…

は?

『赤ちゃんだー!!』

えー!!!!

なんでティーがいるのよ。

あたしが観客席のルナを探すと、手を合わせて頭を下げていた。
マジかー…

「ティー?」

ティーは明らかに狼狽えていた。
お仕置き決定!

「よろしいですか?」

「ええ、すぐに始めて…」

「それでは始め!」

ティーはカサカサといつも通り、あたしの周りを走り出した。
ハイハイなのに早いのよね。

ティーの武器はアホ毛のみ。
だからスキが出来るまで耐えるだけ。

ブン!

ガキン!?

あたしはアダマンタイト製の大剣を取り出しティーのアホ毛を止めた。
その後も高速で叩いてくるが次々といなした。
いつも遊んでいるしね。

バシン!

グ!?

一発もらってしまった…結構効くわね。
これを何発も食らってる創造神様はすごいわね。

さて、親として娘の成長は嬉しいことだ。
でもね…
あたしはアホ毛を大きく払い…大剣を捨て、ティーのアホ毛の根元を掴み。

思いっきり…引っ張った。

ブチッ!!

「ぴっ!?」

クリスがアホ毛を抜くのを見ているからね。
簡単に抜けるって知っているのよ。ごめんね!

ティーはあまりの痛さに仰向けになっているが泣くのを我慢していた。
おお!偉い偉い!

しかし、あたしは追撃は止まらない。ティーをひょいと持ち上げ頭をグイグイした。

「やー!」

はい、あたしの勝ちである。

審判にティーが戦闘不能なことを伝え、後からやってきたルナに渡した。

あたしは準々決勝に進出し、中位神サナックさんと対戦して勝った。
あれ?あたし強くなったかな?
前は負けていたのに…
自分の実力がわからなくなってきた。

準決勝はなんとレヴァンさんだった。

レヴァンさんは鍛治の神であるが武神でもある。
まあ、戦を知らなければ武器は作れないしね。
しかも重度の武器オタクで暇な時は世界各地に武器集めをしている。

「レヴァンさんこの間はありがとうございました。」

「おう、気にするな。俺は武器を大切にしてくれればそれでいい。」

「ええ、リリスは毎日ハサミを手入れしているわよ。大切にしているはあたしが保証するわ。」

「そうか、嬉しいねぇ。で、今回はカグリアもミスリル目当てかい?」

「えぇ、さっき見えたと思うけど…うちの子のアホ毛が止められる武器があの大剣しかなくて困っていたのよ。ハァ」

「あぁ、いい武器になりそうだ。さっきのアホ毛くれ!」

うちの子のアホ毛を材料にするな!
でも、沢山あるしなぁ…
クリスがアホ毛を抜くのでそれなりの量がある。

「うーん…道具を安くしてくれるなら考えるわ。」

「おう、珍しい素材だ。それくらいいいぞ。」

あれ?ティーって珍獣だっけ?

「あの~…試合開始しますがよろしいですか?」

「ええ、いいわよ。」

「そうだな、さっさとやろうぜ!」

「それでは、開始!」

試合開始と同時に彼は何本もナイフを投げて来た。
普通なら大きく躱すだろうが、あたしは最低限の動きでナイフを躱しつつ彼に向かって行った。
レヴァンさんは剣を構えようとしていたが、あたしの方が早く着き片手で彼の手を抑えつつ、もう片方の手で顔面に一発入れることが出来た。

レヴァンさんは吹っ飛ばなかったが、その勢いを利用しあたしに斬りかかってきた。
が、あたしはしゃがむとすぐに足払いをし、彼の身体が浮いたところで地面に手を着き…蹴り上げた。

「あっ!やっべ!」

最後に彼の呟きが聞こえリングの外に飛ばされていった。

彼がリングの外の地面に突き刺さり試合終了。

観客としてはすぐ終わるつまらない試合でしょうね。
でも、勝負って一瞬で決まるのよね。

レヴァンさんは自力で立ち上がりふらふらと退場して行った。
神はアレぐらいでは怪我しないから大丈夫でしょ。

そんなわけで決勝進出したわけですが、上位神達は結構固まっていたみたいね。
上位神5人のうち4人が向こうのブロックって仕組まれているような…

まさか…キョロキョロ…
いないわね…気のせいかしら?
カリネがいると思ったけど見当たらない…
彼女なら特等席で見ていると思ったが、どうやらたまたまのようだ。

さて、決勝はやはり父ちゃんか…

あたしは選手控え室で作戦を練るのであった。





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