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4章

54 娘の職場見学

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着せ替え神 ルナール 視点

娘達の晴れ舞台に可愛い洋服をラブリーさんに作ってもらったルナールよ。

ハイハイレースには一般参加として出場するだが、神族だと知られると会場がパニックになる可能性がある。
なので隠蔽魔法を付与した洋服が必要となる。

自分で作っても良かったけど、せっかく衣類の神のラブリーさんがいるので頼む事にした。
あまりに余ってる夢うさぎの毛皮と他多数の毛皮を渡すことで無料にしてもらった。

まぁ、夢うさぎの毛皮だけで相当な額だけどね。
クリスちゃんの給料の何十倍かしら?
まぁ、言わないでおこう。

今回、私は墓参りのためにお店に直通の転移陣ではなく共有墓地を転移した。
共有墓地は街の外にあり、大きな石碑に死者の名前の書いた木の板が刺さっているだけね。

誰も手入れをしてないせいで空気は淀み、あちこち物が朽ち果てている。

ズズズ…

私が墓参りに来た人物はリリスとクリスの母イリスだ。
書面上でしか知らないが、母となったのだから報告には来たいと思っていた。

ゴキュゴキュ…

今回はクリスがハイハイレースに出場するという事を伝えに来た。
私は手を合わせ祈りを捧げた。

ゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュ…

「ティーちゃんさっきから何飲んでるの?」

!?

ティーは目を輝かせて墓地を覆っている瘴気を飲んでいた。

ギャーー!!

たまに瘴気に混ざって悪霊みたいなモノも飲まれていった。
…今度リアに悪霊退治にティーを連れて行ってもらおうかしら?

ティーが飲み終えた頃には墓地に包まれた瘴気は完全に消えていた。

けふ!

ティーがゲップをするとティーの口からさっきの悪霊達であろうか浄化されて白くなった魂が手を振りながら世界樹の方に飛んでいった。バイバイ!



さて、ラブリーさんのお店に行こう!
私はツッコミを放棄した。

お店に入るとリリスが店番をしていた。
黒のメイド服にピンクのフリルのエプロンを着けて可愛いわ。

娘にうっとりしていると通常のラブリーさんが迎えてくれた。
ラブリーさんには事前にサイズや希望を伝えているので着せるだけだ。

「さて、ティーちゃんとクリスちゃん?お着替えしましょうね。」ワキワキ!

台の上に乗せたティーとクリスは互いに抱き合いプルプル震えていた。なぜ!?

「ほら、怖くないですよ~。」

私は干し芋を出して落ち着かせた。

ドサ!

ん?

ラブリーさんが山のような服を抱えてやってきた。
1着づつしか頼んでません。

「…素材を沢山貰ったから作ってみた…」



わー!ファッションショー開始よ!

最初に茶色のエリアウルフの毛皮で作ったベビー服を着させた。
本人は満足しているようで、姿見の前でアホ毛をブンブン回っている。
ふふ!喜んでいるわね。

ここでミラクルが起きた!
台の上にいたクリスが片付け忘れていた布で遊びだし空中に投げた。
それが高速回転のアホ毛によりミニ竜巻を発生して布を吸付け一緒に回転しだし、そして摩擦により燃えやすい素材の布だったらしく燃えた。

ティーも気付いたらしくアホ毛の回転が止まった。
だが、アホ毛は燃え続けていた。

へー!アホ毛って燃えるのね。

私は燃えるアホ毛をそのままに次の服を選び始めた。
ティーも鏡の前で燃えるアホ毛をうねうね動かして遊んでいた。
他の物には燃え移ってないし大丈夫でしょう。

どれどれ、あっ!このドレス可愛いわね。
クリスに着させよう。

ふと、ティーを見るとアホ毛の火は消えて鏡の前でお尻を突き出し尻尾をフリフリしていた。
ティーは尻尾が好きなのね。

クリスにベビードレスを着させたら無表情なのにむーむーと鳴いていた。
気に入らなかったようだ。
動きにくいからかな?

「…気に入らないのかしら?なら次はこれ…」

いつのまにかまた大量の服を持ってきたラブリーさんが次の服を指定した。

それから何着も2人に着させて好みを調べたが、ティーはドレス以外は好んで着て、ドレスもピチッとしてなければ嫌がらないようだ。
クリスに関しては、何を着せてもむーむーと鳴いている。
おそらく着せ替えが嫌でずっと鳴いていると思う。
しかし、こういう着せ替えのチャンスはないのできっと気にいる洋服があるはずよ。

くいくい…

視線を下げるとティーが私の服の袖を引っ張っていた。
そこには今回のハイハイレース用に作ってもらった灰猫の毛皮で出来た耐火性ベビー服を着させたティーがいた。

「ティーちゃんどうしたの?」

「うーうー」

ティーはアホ毛でお店の入り口を指していた。

「外には出たらダメよ。」

ふるふる!

ティーは外に出たいわけではないらしい。
それでも入り口の方を指していた。



リリスかな?

「リリスお姉ちゃんのところに行きたいの?」

どうやら正解らしく頭をコクコク頷いていた。
まぁ、一本道だったし大丈夫でしょう。

「リリスお姉ちゃんのところ以外行ったらダメよ」

「あーい」

元気な返事とともにティーはリリスのところに向かって行った。
流石に心配なのでラブリーさんに付き添いを頼んだ。

「あー!!」

クリスも離れたいみたいだけどそうはいかない、さぁお着替えしましょうね!

ラブリーさんはすぐに帰って来た。
まっすぐリリスのところに向かって行ったのですぐに引き返して来たようね。

ラブリーさんが戻って来たので私達はクリスのファッションショーを始めた。

一山終えたところでラブリーさんがリリスの呼び出しボタンに呼ばれた。
これは私が付けたもので、貴族や王族やガラの悪い人が来た時にすぐにラブリーさんを呼べるボタンだ。
危険度は緑なのでおそらく貴族でしょうね。
危険はないと判断する。

あら!
クリスのむーむーが消えたわ。
黒のドレスね。
ずっと明るい色ばかり着させていたから気づかなかったわ。
どうやらクリスは黒系の服がいいみたいね。
ほかに青系など男の子が好みそうな色がいいようだ。



髪が黒茶だから明るい色が似合うと思うのになぁ。
最後にティーと同じような黒いネコの毛皮で出来たベビー服に決めた。
何を?
ハイハイレースの衣装よ!

最後にラブリーさんに隠蔽魔法をかけてもらい今日の予定は終わり。
あとは帰るだけよ。

リリスのところに顔を出したら、リリスが作った商品が売れたらしく褒めてあげた。
もっと頑張りなさい。

ラブリーさんに隠蔽魔法をかけてもらうつもりだったが、もうかけてあるのでそのまま帰ることになった。

リリスはまだ片付けがあるので終わったら帰るらしいのでティーを受け取り先に帰ることにした。
そして、私は転移陣の整備をして我が家に帰った。

帰ると家先で血だらけのリアに出迎えられた。

「お帰り~!」

「ただいま!終わったらお風呂入ってね。」

私はリアに今日のことを掻い摘んで話した後、家に入りお風呂の準備を始めた。











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