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4章
53 お店番2
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リリス 視点
カランカラン!
店の入り口が開く音が聞こえた。
もちろん店番の私が対応する。
「いらっしゃいませ!」
入ってきたのはお貴族様のような片眼鏡をして、茶色スーツを着たおじさんと剣を左手に持っている騎士様が普段着る白いスーツを着たお兄さんが入店して来た。
「お嬢さん、すまないが店主を呼んで来てくれないかな?」
どうやらラブリー先生に用があるみたいだ。
「はい、わかりました。少々お待ちください。」
ラブリー先生に言われた通り対応できた!
え~と…ポチッ!
私が座っているテーブルにはラブリー先生を呼ぶボタンがついている、貴族様だと問題が起きる可能性があるので私のためにルナお母さんが付けたんだって…
ドドドドドドドド…
凄く勢いで走って来たのがおじさんラブリー先生だった…
いつもの光景だ…ふぅ…
「なんの用かしら?」パチンッ!
キメ(い)ポーズをとったラブリー先生がお貴族様に向かってウィンクをする。
ラブリー先生のこと尊敬しているけどあれは…
なんで変身前後で違うのかなぁ?
不思議だ。
お貴族様達は呆然と立っていたのに急に土下座をしだした!えーー!?
「まさか、ラブリー様のお店とは知らず御無礼をお許しください。」
私は理解が追いつかなかった。
高貴な人が頭を床につけるなんて普通にあり得ないことだった。
スタ!!
あっ!?あまりのことにティーちゃんを落としてしまった。てへ!
ティーちゃんは何事もなかったように着地して、私に抱っこをせがんできた。
たまに抱いてる時に落としてぶーぶー言われる。
「ごめんね。ティーちゃん…」
私は再びティーちゃんを抱いた。
ちゃんと謝らないとね。だって私はお姉ちゃんだもん!
「人違いじゃないかしら?私はただの洋服屋の店主よ。」
「いやいや、そのピンクの髪、黄色い目、二メートルの巨体、フリフリの衣装…そして、店名がラブリーの服屋で間違いようがありません。」
あ、うん…ラブリー先生は隠す気なんてないじゃん。
「ところで何しに来たのかしら?」
「はい!実は王妃様がある物をお求めになられましてそれを探しに洋服屋を回っておりました。」
「それってなんなの?」
ラブリー先生は不機嫌になってきた。
面倒事に巻き込まれると思ったのに違いない。
「はい、王妃様がお求めなのは…魔獣の毛皮で出来た赤子用の服でございます。」
私とラブリー先生はティーちゃんを見た。
「あきゃ!?」
ラブリー先生に見られたせいかビクンとして警戒しだした。
「こういうのかしら?」
「おお!話だけなので確証はありませんがおそらくは…」
「んー…毛皮パジャマならそこにあるわよ。この子の毛皮服はまだ試作品だから売れないわ。」
「わかりました。今回は毛皮パジャマという物の方を買わせていただきます。では、どちらにございますでしょうか?」
お貴族様が低姿勢でお願いしてる。
ラブリー先生って何者?
「毛皮パジャマはここよ。」
ラブリー先生は毛皮パジャマを置いているコーナーに進んだ。
そこには白い毛で出来た壁があった。
ハンガー掛けに毛皮パジャマを掛けているだけなのだが、同じ毛皮パジャマが重なり一つの塊になっていた。
「これが毛皮パジャマよ。」
ラブリー先生はもふもふの反発する壁から苦労して毛皮パジャマを一つ取り出した。うん…詰め過ぎた。
ラブリー先生が持っているのはウサギのパジャマだ。
前にティーがお昼寝していたときに気がついたらバスケットいっぱいにあった毛皮を使って私が作ったものだ。
ラブリー先生が置いていいよと言ってくれたので置いた商品だ。
「…すいませんが男の子用でお願いします。」
男の子にうさぎは可哀想だね。
「リリスちゃん!男の子用の毛皮パジャマあったかしら?」
「えっと…確かオオカミの毛皮パジャマが一着あったと思います。」
「一応聞くけど、色は?」
「…白です」
…
辺りに静寂が訪れた。
ラブリー先生は移動式のハンガー掛けを持って来て、黙々と選別を始めた。
「うさぎ、うさぎ、うさぎ、うさぎ…」
ごめんなさいラブリー先生…
毛皮パジャマは家に大量にあったうさぎの毛皮で作った。
他の毛皮は量が少なくて、ティーちゃん達に使うからルナお母さんがくれないのだ。
だから私はお店用にリアお母さんの監視の下、森で白いオオカミを捕獲してティーちゃんに毛皮にしてもらいオオカミの毛皮パジャマを作ったのだ。
あのときは森中を探したのに白いオオカミしか出てこなかった。
仕方なくラブリー先生に一着しかないこと言ったら、「クジみたいに当たればラッキーじゃない?」
という、ラブリー先生の言葉に従い適当に突っ込んでしまったのである。
10分後-
「あー!これね。」
ラブリー先生は目的の白いオオカミの毛皮パジャマを持っていた。
後で毛皮パジャマの量を減らそ。
「金貨1枚になります。」
お貴族様達はお会計を済ませて帰って行った。
売れた!私の作った商品が売れたのだ!
「リリスちゃん!おめでとう!」
ラブリー先生から言われて嬉しかった。
私は余韻に浸っていたがラブリー先生はルナお母さんのところに戻って行った。
あっ!ティーちゃんを連れて行ってもらうの忘れてた。
しょうがない…
私はアイテムバックに入れていたおんぶ紐を取り出しティーちゃんをおぶった。
その後は片付けと商品の配置換えを行った。
手が届かない所はティーちゃんが手伝ってくれたので楽だった。
「早く、うさぎ以外の毛皮パジャマを置きたいなぁ。」
チラッ!
プイ!
ダメか…ティーちゃんは顔を背けた。
ティーちゃんは大きい魔獣が好きらしい。
ティーちゃんの場合は食事をした後の不用品が素材となる。
私が多く望むということは、それだけ魔物の命がなくなるというわけだ。
私の欲と良心が葛藤する…
早く決心しないといけないと思う。
命を奪う勇気を…
「リリスちゃんお待たせ!」
ルナお母さんがクーちゃんを抱いて来た。
クーちゃんはティーちゃんの色違いで黒猫のベビー服だった。
「クーちゃん可愛いよ!」
「…」
褒めたがクーちゃんは疲れ切った顔をして返事がなかった。
どうやら、ティーちゃんが逃走したためクーちゃんが犠牲になったらしい。
私が行っていたらどんな服を着さされていたのやら…
プルプル…
私はティーちゃんをルナお母さんに渡した。
クーちゃんとケンカになるかと思ったけどティーちゃんに抱きついていた。
どうやら原因がティーちゃんと気付いていないみたいだ。
黙っておこう。
ルナお母さん達は帰るようだが私はお店の片付けがあるので先に帰ってもらった。
転移すればすぐだしね。
ティーちゃん達の出場するハイハイレースの衣装も決まりあとは当日まで待つだけだ。
2人には頑張って欲しいなぁ。
当日はばーばが私の付き添いだとリアお母さんから教えてもらっている、ルナお母さんみたいに優しいひとだ。
離れないようにしなきゃ!
私は当日に胸を膨らませつつ片付けを終えた。
「ラブリー先生お疲れ様でした。」
「…ええ。お疲れ!」
私はラブリー先生にあいさつをして家に通じる転移魔法陣で帰った。
カランカラン!
店の入り口が開く音が聞こえた。
もちろん店番の私が対応する。
「いらっしゃいませ!」
入ってきたのはお貴族様のような片眼鏡をして、茶色スーツを着たおじさんと剣を左手に持っている騎士様が普段着る白いスーツを着たお兄さんが入店して来た。
「お嬢さん、すまないが店主を呼んで来てくれないかな?」
どうやらラブリー先生に用があるみたいだ。
「はい、わかりました。少々お待ちください。」
ラブリー先生に言われた通り対応できた!
え~と…ポチッ!
私が座っているテーブルにはラブリー先生を呼ぶボタンがついている、貴族様だと問題が起きる可能性があるので私のためにルナお母さんが付けたんだって…
ドドドドドドドド…
凄く勢いで走って来たのがおじさんラブリー先生だった…
いつもの光景だ…ふぅ…
「なんの用かしら?」パチンッ!
キメ(い)ポーズをとったラブリー先生がお貴族様に向かってウィンクをする。
ラブリー先生のこと尊敬しているけどあれは…
なんで変身前後で違うのかなぁ?
不思議だ。
お貴族様達は呆然と立っていたのに急に土下座をしだした!えーー!?
「まさか、ラブリー様のお店とは知らず御無礼をお許しください。」
私は理解が追いつかなかった。
高貴な人が頭を床につけるなんて普通にあり得ないことだった。
スタ!!
あっ!?あまりのことにティーちゃんを落としてしまった。てへ!
ティーちゃんは何事もなかったように着地して、私に抱っこをせがんできた。
たまに抱いてる時に落としてぶーぶー言われる。
「ごめんね。ティーちゃん…」
私は再びティーちゃんを抱いた。
ちゃんと謝らないとね。だって私はお姉ちゃんだもん!
「人違いじゃないかしら?私はただの洋服屋の店主よ。」
「いやいや、そのピンクの髪、黄色い目、二メートルの巨体、フリフリの衣装…そして、店名がラブリーの服屋で間違いようがありません。」
あ、うん…ラブリー先生は隠す気なんてないじゃん。
「ところで何しに来たのかしら?」
「はい!実は王妃様がある物をお求めになられましてそれを探しに洋服屋を回っておりました。」
「それってなんなの?」
ラブリー先生は不機嫌になってきた。
面倒事に巻き込まれると思ったのに違いない。
「はい、王妃様がお求めなのは…魔獣の毛皮で出来た赤子用の服でございます。」
私とラブリー先生はティーちゃんを見た。
「あきゃ!?」
ラブリー先生に見られたせいかビクンとして警戒しだした。
「こういうのかしら?」
「おお!話だけなので確証はありませんがおそらくは…」
「んー…毛皮パジャマならそこにあるわよ。この子の毛皮服はまだ試作品だから売れないわ。」
「わかりました。今回は毛皮パジャマという物の方を買わせていただきます。では、どちらにございますでしょうか?」
お貴族様が低姿勢でお願いしてる。
ラブリー先生って何者?
「毛皮パジャマはここよ。」
ラブリー先生は毛皮パジャマを置いているコーナーに進んだ。
そこには白い毛で出来た壁があった。
ハンガー掛けに毛皮パジャマを掛けているだけなのだが、同じ毛皮パジャマが重なり一つの塊になっていた。
「これが毛皮パジャマよ。」
ラブリー先生はもふもふの反発する壁から苦労して毛皮パジャマを一つ取り出した。うん…詰め過ぎた。
ラブリー先生が持っているのはウサギのパジャマだ。
前にティーがお昼寝していたときに気がついたらバスケットいっぱいにあった毛皮を使って私が作ったものだ。
ラブリー先生が置いていいよと言ってくれたので置いた商品だ。
「…すいませんが男の子用でお願いします。」
男の子にうさぎは可哀想だね。
「リリスちゃん!男の子用の毛皮パジャマあったかしら?」
「えっと…確かオオカミの毛皮パジャマが一着あったと思います。」
「一応聞くけど、色は?」
「…白です」
…
辺りに静寂が訪れた。
ラブリー先生は移動式のハンガー掛けを持って来て、黙々と選別を始めた。
「うさぎ、うさぎ、うさぎ、うさぎ…」
ごめんなさいラブリー先生…
毛皮パジャマは家に大量にあったうさぎの毛皮で作った。
他の毛皮は量が少なくて、ティーちゃん達に使うからルナお母さんがくれないのだ。
だから私はお店用にリアお母さんの監視の下、森で白いオオカミを捕獲してティーちゃんに毛皮にしてもらいオオカミの毛皮パジャマを作ったのだ。
あのときは森中を探したのに白いオオカミしか出てこなかった。
仕方なくラブリー先生に一着しかないこと言ったら、「クジみたいに当たればラッキーじゃない?」
という、ラブリー先生の言葉に従い適当に突っ込んでしまったのである。
10分後-
「あー!これね。」
ラブリー先生は目的の白いオオカミの毛皮パジャマを持っていた。
後で毛皮パジャマの量を減らそ。
「金貨1枚になります。」
お貴族様達はお会計を済ませて帰って行った。
売れた!私の作った商品が売れたのだ!
「リリスちゃん!おめでとう!」
ラブリー先生から言われて嬉しかった。
私は余韻に浸っていたがラブリー先生はルナお母さんのところに戻って行った。
あっ!ティーちゃんを連れて行ってもらうの忘れてた。
しょうがない…
私はアイテムバックに入れていたおんぶ紐を取り出しティーちゃんをおぶった。
その後は片付けと商品の配置換えを行った。
手が届かない所はティーちゃんが手伝ってくれたので楽だった。
「早く、うさぎ以外の毛皮パジャマを置きたいなぁ。」
チラッ!
プイ!
ダメか…ティーちゃんは顔を背けた。
ティーちゃんは大きい魔獣が好きらしい。
ティーちゃんの場合は食事をした後の不用品が素材となる。
私が多く望むということは、それだけ魔物の命がなくなるというわけだ。
私の欲と良心が葛藤する…
早く決心しないといけないと思う。
命を奪う勇気を…
「リリスちゃんお待たせ!」
ルナお母さんがクーちゃんを抱いて来た。
クーちゃんはティーちゃんの色違いで黒猫のベビー服だった。
「クーちゃん可愛いよ!」
「…」
褒めたがクーちゃんは疲れ切った顔をして返事がなかった。
どうやら、ティーちゃんが逃走したためクーちゃんが犠牲になったらしい。
私が行っていたらどんな服を着さされていたのやら…
プルプル…
私はティーちゃんをルナお母さんに渡した。
クーちゃんとケンカになるかと思ったけどティーちゃんに抱きついていた。
どうやら原因がティーちゃんと気付いていないみたいだ。
黙っておこう。
ルナお母さん達は帰るようだが私はお店の片付けがあるので先に帰ってもらった。
転移すればすぐだしね。
ティーちゃん達の出場するハイハイレースの衣装も決まりあとは当日まで待つだけだ。
2人には頑張って欲しいなぁ。
当日はばーばが私の付き添いだとリアお母さんから教えてもらっている、ルナお母さんみたいに優しいひとだ。
離れないようにしなきゃ!
私は当日に胸を膨らませつつ片付けを終えた。
「ラブリー先生お疲れ様でした。」
「…ええ。お疲れ!」
私はラブリー先生にあいさつをして家に通じる転移魔法陣で帰った。
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