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8章

111 説明と神様

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マリ 視点

かんころ餅を食べながら私の経緯をした後、彼の説明が始まった。
ウサギさんの名前はサモエドさん。
犬みたいな名前だけどそれはそれで可愛い。
サモエドさんは近くのウサギの獣人村に住んでいて、お餅職人というお餅を作って売る人らしい。

やはり異世界で獣人が住む世界のようだ。

そしてサモエドさんから色々とこの世界の事を聞いた。
この世界には神族と魔導族と知識族が住んでいて、サモエドさん達獣人族は魔導族に属し、私のようになんの特徴がない知識族に属するらしい。そして、見た目は知識族や魔導族に見えるが存在自体が別物の神族がいるらしい。違いは見ただけでわかるそうだ。

そして、知識族の歴史にも触れた。
知識族は昔、神族に神族の偉い人の奥さんを傷付け犯し追放されたとのこと。
元々知識族も魔導族だったがその一件で種族として追放を受け知識族と名乗り独立したらしい。
そして現在は神族が作った壁により分けられた。
他にも事件を聞いたが結局のところ知識族が悪いようだ。

魔導族の中には知識族に友好的な人もいるが、今でも知識族をよく思っていない人もいるからあまり知識族と言わない方がいいと言われた。
そして、サモエドさんからウサギの姿が彫られた木のメダルが付いた首飾りを貰った。
これは親愛の証と言ってウサギ族が身分を保証するものらしく、これを着けていれば余程の事がない限り迫害は受けないらしい。

なら、知識族が全員持ったらどうなるのかと聞いたら、これ1個に製作者の魂のかけらを使うので量産は出来ないらしい。
実はかなりホラーなものだった。

そして、サモエドさんが私を命がけで守っている事になるらしい。えへへ…

しかし、神様が身近にいるなんてファンタジーだね。
しかも神様が運営している国も存在するらしいし、たまにサモエドさんのお店に買い物に来ることもあるとか…
小説の世界だよね。

しかし現実だと思える事実がある。
それは私の世界の物がこっちの世界に存在することだ。
なんでもありの小説なら向こうの世界の物があっても問題ない。
だが、ここは現実…知識の取得の経緯が明確にあった。

それは私のように向こうの世界の異世界人が広めた事だ。
小説であれば知識が無くてもご都合主義で精霊などの力を借りて完成させ作り方がわからないのに一般人に量産させる無理難題を実現できるが、ここでは異世界人が作ったとしても未完成が多く使えない物が多い。
では、なぜ広まったかというと、未完成品に興味を持った専門の神様がわざわざ異界に出向き調べ取得し、職人を集め作るらしい。

こんな回りくどい方法で広めている事を考えると現実世界だと思えてしまう。

というかこの事を聞いた時に思ったけど、神様なら元の世界に戻れるかもと期待したら、サモエドさんから運良く時空の神様に出会えれば可能だという。
ただ、その時空の神様は邪神らしく会うのは難しいらしい。

結局、私は行くあてがないのでサモエドさんの家に居候する事になった。
もちもん、何もしないのは流石にまずいので、手伝いとしてサモエドさんの餅作りの手伝いをしている。

最初は近所のウサギ族の人にヒソヒソと話すところを見たが、今は普通に挨拶をしてくれる。
うさぎ族の村だけあってあっちこっちにもふもふが溢れている。
ただ、勝手に触るのは禁止されているらしく、相手の許可があれば可能とのこと。

しかし、小さな子供以外は拒否された。
唯一の例外はサモエドさんだった。
はぁ~…サモエドさんの毛皮もふもふで気持ちいい。
サモエドさんは照れながらも触らせてくれた。

あと、ウサギ族は魔法が使えるらしくサモエドさんから攻撃魔法や回復魔法を教えて貰った。
どうやら転移の影響なのか私にも魔力があり、サモエドさんより発動は遅いが魔法を発動させれるようになった。

今では餅作りの片付けで重宝している。
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