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8章

125 シャーベット

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マリ 視点

ルナールさんはカグリアさん達を見送ったあと回し車に付いている水筒を外していた。

「さっ!取り分けるわね。」

ルナールさんは水筒からオレンジ色のシャーベットを取り出し始めた。
シャーベットの取り分けが終わる頃にはスッキリしたカグリア親子が戻って来た。

「お待たせ!スッキリして来たわ。」スッキリ!

「あ~い~!」スッキリ!
「さ!食べましょ!」

私の皿はお椀いっぱいだが、他はどんぶり山盛りだった。
多くない?逆に私の方が少ない気がしてきた。
私は、本来は招かねざる客で、わがままは通せない存在だ。
ここは我慢だ。
私は増量して!という言葉を飲み込み周囲を観察した。

ルナールさん一家は先に食べ始めていた。
そして、みんな幸せそうに食べている。

さて、私も少なく感じるシャーベットにスプーンを刺し一口食べるとすごく甘くて美味しいシャーベットだった。
コンビニで売っているシャーベットより舌触りが全然違う。
口に入れた瞬間にスッ!と溶けて果汁がジュワーと広がる。
確かにこれならどんぶり一杯はいけそう。

ティーちゃんとクリスちゃんも先の丸いスプーン片手にシャーベットを食べていた。
ご飯と違って汚れが少ないので自分で食べていた。
クリスちゃんはいつも無表情だったのに今は笑顔だ。
リリスちゃんもにこにこで食べていた。

「今まで食べたことないほど美味しいです。おかわりありますか?」

「無いです。」ニコ!

ですよねー。
ルナールさんは何回も水筒を確認していたよね。
残っている訳がなかった。
少しずつ分けて貰えるかも思ったけどそれもダメなようだ。
残念…
私は空の器を眺めていると…

「あい!」

ティーちゃんがテーブルの上に現れドバッとシャーベットをくれた。
いい子だな。
返すのも失礼なのでルナールさんに確認を取っていただきました。
ヨダレ?スプーンではなくアホ毛でくれたので問題ない!
美味しかったです。
私がシャーベットを食べ終わった頃にはティーちゃんも食べ終えてルナールさんと話していた。

「まんま!あっあ!」

「お出かけね。いってらっしゃい!早めに帰るのよ。」

「あーい!」

アホ毛を拭いてもらい、シャーベットを食べ終えたティーちゃんはルナールさんに何か言った後、消えた。

「もう暗いですけど大丈夫ですか?」

「あの子の日課なのよ。2時間くらいで帰って来るから心配ないわ。」

「そうですか…」
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