それって食べ物ですか？いいえ飲み物です。

14章

291 昔の記憶

レヴァン　視点

キラティアから放たれた輝くハートが俺の方に高速で近付いて来る。
しかし、俺の世界はゆっくりと動いていた。
目に魔力を集中して見る世界よりまた遅く、止まっているかのような感覚の中にいた。
これは極限の世界だろう。

『ねぇ、レヴァン君。私、レヴァン君と一緒にお店出したいなぁ…』

『…お前が一人前になったら考えてやる。」

これが走馬灯というものだろう。
まだ俺達が見習い神の時のアイツとの会話だ。
結局、一人前になり、俺もアイツも自分の店を持った。
それ以来話す事はあっても、一緒になろうという話にはならなかったなぁ…
もっと素直になって…いや遅いか…
もう、ハートは目の前に…

ガシッ！？

ん？

「うきゅ！あっきゃー！！」

キラティアが自分の放ったハートを掴んでいた。

「ふぅ…やっば！めんちゃい！」

どうやらキラティアの想定より威力が強かったから止めに来たそうだ。

…なんでもありだなコイツ。

「あきゃ？」

まだやるかい？って？
いや、無理…俺の負けでいい。

「あい！」パクッ！ゴキュゴキュ…

キラティアは自分自身で放った技を飲み出した。
普通ではあり得ない事だがコイツは出来るのだ。
もう、珍獣だろ？

「師匠！！無事ですか？」

弟子達の声で我に返った。
いつの間にか極限の世界は解け、通常の時に戻っていた。