綺麗な先生は好きですか?

くるむ

文字の大きさ
上 下
61 / 158
第五章

南家へ再び♪

しおりを挟む
「……そろそろ、帰った方がいい時間だな」
「うん。そーだね……」

もうあと5分ほどで7時になる。
先生は、教科書を片付けて車のキーを手にした。

「そういや、南。お前ゴールデンウイークの旅行の件、お母さんたちには話したのか?」
「あ……。まだ言ってない」
「オイオイ。大丈夫なのかよ。……今日、俺から言おうか?」
「ううん、大丈夫! 俺からちゃんと言うよ。……ん~と、渚さんのせいにしちゃって良いかな? 病院で知り合って、意気投合して誘われたとか」
「んー、そうだな。その方が良いか。よくわからんが、教師が率先して一人の生徒を連れて行くってのは、変かもしれないもんな」
「うん、よくわかんないけど」

まあ、あの渚さんならこの程度のことを迷惑だとは思わなさそうだもんな。
それどころか、俺たちの事応援してくれてるし。

道はさほど混んでなくて、そう時間もかからずに俺ん家に着いた。
チラッと先生を窺うと、少し緊張した面持ちをしている。

「先生、大丈夫だよ。俺ん家みんな、先生の事熱烈歓迎だから」
「いや、だけどな……」

先生はハンドルに手を置いたまま、ふーっと深呼吸をした後みたいに、長く息を吐いた。
そしてポンとハンドルを叩き、気持ちを切り替えたのかシートベルトを外した。

「じゃあ、お邪魔させてもらうか。南と長く付き合っていくためにも、皆に気に入ってもらわないとならないもんな」
「先生なら大丈夫だよ」

そう言って笑顔全開で答えたら、先生に額をコツンと叩かれた。


「ただいまー」
「お帰りなさーい」

和葉がタタタと玄関に走って来た。そして俺よりも先生の顔を見て、頬を染めてニコリと笑う。

「先生、いらっしゃい」

愛らしい表情で先生を見つめる和葉に先生もニッコリ笑って、和葉の頭をポンポンと撫でる。

「久しぶりだね、和葉ちゃん。お邪魔します」
「うん。先生、こっちだよ」

和葉は、さっさと先生の手を取って、先生を中に引っ張って行った。
……和葉の奴、兄ちゃんには目もくれず、先生を独り占めすることに専念したな。
奥の方から、「先生いらっしゃい。お待ちしてましたよ」と母さんの声が聞こえてきた。

先生の出来た外面(w)のおかげでもあるけれど、俺の家族に先生を好きになってもらおう作戦は、着々と進行していくのであった。ヘヘッ♪
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:1,616

異世界もふもふ召喚士〜白虎と幼狐と共にスローライフをしながら最強になる!〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,093pt お気に入り:1,458

God & Devil-Ⅱ.森でのどかに暮らしたいミカエルの巻き込まれ事変-

BL / 連載中 24h.ポイント:292pt お気に入り:17

能力1のテイマー、加護を三つも授かっていました。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:11,006pt お気に入り:2,217

【完結】 いいえ、あなたを愛した私が悪いのです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1,961

見た目はアレですが強いんですっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:702

処理中です...