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遠慮なければ近憂あり
うるさい。二人そろって何回もかわいいかわいい言うな。俺は男だ。
「どーせ足腰たたねぇんだから大人しく寝てろ」
這ってでも逃げてやる!!
「もし逃げたりなんかしたら……そうですね。この細い喉に、赤い首輪をしてつなぎましょうか?」
身を捻ってドアに身を寄せる。が、逃げられる距離なんてほとんどなくて、易々と伸びてきた柊也の指が、顎を下から上へ撫でる。本気で!? 本気か!? その目は本気だろ!!! 何で俺が考えてることがわかるんだよっ
ちょっと怖くて泣きそうだ。でも折れそうな心で何とか踏ん張って、柊也を睨む。
「本当に。真琴はかわいいですね」
するり、と、長い指が頬を撫でて、次の瞬間、痛いくらいにグイッと顎を掴んだ。
「犬も猫もウサギも。耳やしっぽに、首輪にリストバンド。色々なオプション付きのものが運よく在庫がありました。急ぎ便にしたので、きっと今夜までに届きますよ?」
な、何っ!? 仕事早ッ!! いやそれより、そんな怪しげな通販すんなよ!
「大人しく寝ていますか? それとも、しっぽをお尻に突っ込んで、ギリギリ、イけいないくらいの刺激を与えられて、泣いて強請るまで放置されたいですか?」
しっぽを突っ込むって!? なにそれ。しっぽはそんなとこから生えるもんじゃねぇだろ? しっぽってどうやってつけるの!?
よくわからないけど、なんか本気だ。怖すぎてわからないまま、顎掴まれてたけど必死で首を横に振る。
「寝る。大人しく寝てるッ!!」
「そうですか。残念です」
これまた本気で残念そうな顔で、柊也がため息をついて、前に向き直る。
「んなもん、そんな脅さなくてもすっぱにして簀巻きにしときゃいいだろ」
「……藤也も大概だ」
信号待ちで止まって、藤也がいつもの笑顔で振り返って事も無げに言い放つ。俺はもう、どうにでもなれって感じでつぶやいて、シートにグッタリもたれかかった。
「そんなほうではなく、こちらにどうぞ?」
ぐいっと肩を引き寄せられて、そのままころんと柊也の膝の上。ううう。何度も言うけど何が悲しくて、男が男のひざまくらなんだろうな。多分柊也の太腿、シートより硬いと思う。
引っ張られた時、手から取り落したスマホを柊也が拾い上げ、手で払って藤也に渡す。
「イイコにしてたらイイコトしてやるから」
してもらわなくていーし。
そばにあった藤也のジャケットを頭からかぶって、貝の体勢。
「どーせお前らの好きになるんだろ」
でも絶対、お前らの好きになんてさせてやらねぇ って、思いながら、薄暗くなった視界と、柔らかい振動に、目を閉じたらすぐにうとうとし始める。
「マコ? 寝たのか?」
しばらくして聞こえてきた問いかけに、ちょっとだけ意識が浮上したけど、無視だ、無視。でもなんか、硬いのに温かくて、何と表現したらいいかわからない膝の上、寝心地のいい場所を探してゴソゴソする。
「ホント、お前かわいいなぁ」
「真琴がかわいいのは今に始まったはなしじゃないですよ」
うるさい。二人そろって何回もかわいいかわいい言うな。俺は男だ。
「真琴と居ると、退屈しなくて楽しいですねぇ」
「確かに」
勝手に楽しんでろバカ。とか思いながら丸くなる。
忌々しいくらいに楽しそうに話をしている双子の声が遠くなり、ゆっくり体を撫でる大きな手に、俺は束の間、安寧の時間を手に入れた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
大体やってるだけだったような文章をお読みいただきありがとうございます。
ここで第一部終了です。
次からの第二部もまぁ 相変わらずの感じで進みますのでお付き合いいただければ幸いです。
這ってでも逃げてやる!!
「もし逃げたりなんかしたら……そうですね。この細い喉に、赤い首輪をしてつなぎましょうか?」
身を捻ってドアに身を寄せる。が、逃げられる距離なんてほとんどなくて、易々と伸びてきた柊也の指が、顎を下から上へ撫でる。本気で!? 本気か!? その目は本気だろ!!! 何で俺が考えてることがわかるんだよっ
ちょっと怖くて泣きそうだ。でも折れそうな心で何とか踏ん張って、柊也を睨む。
「本当に。真琴はかわいいですね」
するり、と、長い指が頬を撫でて、次の瞬間、痛いくらいにグイッと顎を掴んだ。
「犬も猫もウサギも。耳やしっぽに、首輪にリストバンド。色々なオプション付きのものが運よく在庫がありました。急ぎ便にしたので、きっと今夜までに届きますよ?」
な、何っ!? 仕事早ッ!! いやそれより、そんな怪しげな通販すんなよ!
「大人しく寝ていますか? それとも、しっぽをお尻に突っ込んで、ギリギリ、イけいないくらいの刺激を与えられて、泣いて強請るまで放置されたいですか?」
しっぽを突っ込むって!? なにそれ。しっぽはそんなとこから生えるもんじゃねぇだろ? しっぽってどうやってつけるの!?
よくわからないけど、なんか本気だ。怖すぎてわからないまま、顎掴まれてたけど必死で首を横に振る。
「寝る。大人しく寝てるッ!!」
「そうですか。残念です」
これまた本気で残念そうな顔で、柊也がため息をついて、前に向き直る。
「んなもん、そんな脅さなくてもすっぱにして簀巻きにしときゃいいだろ」
「……藤也も大概だ」
信号待ちで止まって、藤也がいつもの笑顔で振り返って事も無げに言い放つ。俺はもう、どうにでもなれって感じでつぶやいて、シートにグッタリもたれかかった。
「そんなほうではなく、こちらにどうぞ?」
ぐいっと肩を引き寄せられて、そのままころんと柊也の膝の上。ううう。何度も言うけど何が悲しくて、男が男のひざまくらなんだろうな。多分柊也の太腿、シートより硬いと思う。
引っ張られた時、手から取り落したスマホを柊也が拾い上げ、手で払って藤也に渡す。
「イイコにしてたらイイコトしてやるから」
してもらわなくていーし。
そばにあった藤也のジャケットを頭からかぶって、貝の体勢。
「どーせお前らの好きになるんだろ」
でも絶対、お前らの好きになんてさせてやらねぇ って、思いながら、薄暗くなった視界と、柔らかい振動に、目を閉じたらすぐにうとうとし始める。
「マコ? 寝たのか?」
しばらくして聞こえてきた問いかけに、ちょっとだけ意識が浮上したけど、無視だ、無視。でもなんか、硬いのに温かくて、何と表現したらいいかわからない膝の上、寝心地のいい場所を探してゴソゴソする。
「ホント、お前かわいいなぁ」
「真琴がかわいいのは今に始まったはなしじゃないですよ」
うるさい。二人そろって何回もかわいいかわいい言うな。俺は男だ。
「真琴と居ると、退屈しなくて楽しいですねぇ」
「確かに」
勝手に楽しんでろバカ。とか思いながら丸くなる。
忌々しいくらいに楽しそうに話をしている双子の声が遠くなり、ゆっくり体を撫でる大きな手に、俺は束の間、安寧の時間を手に入れた。
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大体やってるだけだったような文章をお読みいただきありがとうございます。
ここで第一部終了です。
次からの第二部もまぁ 相変わらずの感じで進みますのでお付き合いいただければ幸いです。
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