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第一章
55.嫉妬心-sideジェラルド-
椅子の方からロランの声が僅かに響いて来ると、突然シャルは焦り始め僕から離れようとしてきた。
そんな姿を見ていると無性に悔しくなり、意地悪な声で「今はまだ、僕達だけの秘密だね」と耳元で囁くと案の定シャルはぴくっと小さく体を震わせて、更には僕の事を睨みつけていた。
(やっぱりシャルの怒った顔は全く怖くない所か、可愛いな。だけどこれ以上いじめるのは少し可哀そうかな…)
ロランの前で強引にシャルの唇を奪ってしまいたい感情を抑えて、ベッドから立ち上がった。
そんな事をしていると、ロランは僕達の存在に気付いたのか、慌ててベッドの方へと視線を向け「シャル…!」と叫んでいた。
恐らく眠りに入る前に僕が告げた言葉を思い出し、あんなにも焦った姿を見せているのだろう。
まだ目覚めたばかりで気付いてはいない様だが、この部屋にはシャルの甘い匂いが濃く漂っている。
シャルは気付かないと思うが、ロランはそのうち気が付くだろう。
そうすれば既に僕に抱かれた後だと分かるはずだ。
それを知った時、ロランはどんな顔をするのだろう。
そして僕には罪悪感と言う感情は一切無かった。
ロランは僕がシャルの事をどれだけ思っているのか知っていながら、無情にも横から奪っていった。
奪われたのだから、取り返しただけであり、そこに罪悪感なんてものは生まれない。
それにシャルの心を揺さぶったら、まだ僕に対して僅かにでも気持ちが残っているのが分かった。
その気持ちを知れただけで本当は満足だった。
ゆっくりと時間をかけてシャルの気持ちを僕の所に戻していくつもりでいたからだ。
しかしロランと既に体を重ねている事実を知った瞬間、頭の中が真っ白になった。
僕がずっと大切にしていたシャルを、ロランは簡単に奪っていったのだ…。
そんなこと、許せるわけが無かった。
確かに僕がした事でシャルの心を傷付けてしまったのは事実だ。
それに対しては本当に後悔している。
あの時、何を言われてもシャルとの婚約を白紙に戻すべきでは無かった。
そうしていればシャルがロランと婚約する事も無かっただろうし、シャルの純潔は守られていたはずだ。
全ては僕が選択を見誤ったことから始まった事だが、今となっては悔やんでも悔やみきれない気持ちでいっぱいだ。
その話を知った瞬間、ロランとの友人関係は壊れた。
僕はロランの事をもう友人だなんて思ってはいない。
だから、たとえ汚い手を使ってでもシャルの事は取り返すつもりでいる。
「ロランが眠っている間、少しシャルと話をしていたんだ…」
「…………」
僕は何もなかったかのように普段通りの口調で答えると、ロランと反対側のソファーへと腰掛けた。
ロランは警戒する様に僕の方に視線を向けていた。
「シャルもこっちに来たら?」
「……っ…、う…うん…」
僕はいつまでもベッドの上に座っているシャルに向けて声を掛けると、シャルは慌てた様に言葉を返し、僕達のいるソファーの前までやってきた。
しかしシャルはその場に立ち止まり、ソファーに座ろうとはしなかった。
恐らくどちらに座るか迷っているのだろうと、なんとなく予想が付いた。
ロランもそれに気付いたようで「シャル」と名前を呼ぶと手をシャルの方へと伸ばしていた。
それに気付いたシャルは一瞬戸惑った表情を僕の方に向けるも、そのままロランの手を掴み、ロランの隣へと腰掛けた。
予想通り、シャルは困惑しているのを全く隠しきれていない。
あんな態度を取っていれば、おかしいとロランだって既に気付いているはずだろう。
それに気付いているのか、ロランはシャルの手をきつく握ったままでいる様だ。
今までシャルの隣にいたのは僕だったはずなのに…、そう思うと無性に腹が立って仕方が無かった。
「シャル、いつからここに来ていたんだ?」
「え…?えっと……」
ロランはシャルの方に顔を傾け、どこか心配そうな顔で問いかけていた。
シャルは焦っているのか直ぐには答えを出せそうになかった。
「少し前だよ。ね…?」
「う、うん……」
僕が助け舟を出すと、シャルは小さく頷いていた。
途中で僕が会話に割って来たのが気に食わなかったのか、ロランは怪訝そうな顔を僕に向けて来たが、僕は動じることなく普段通りの表情を保っていた。
幼い頃から感情を読み取られない様に訓練されているので、こういうことは得意だ。
だけど心の中では激しい程の嫉妬心が渦巻いている。
「そろそろ食事の準備も出来ている頃だと思うし、移動しようか」
「ああ。そうだな…」
僕が椅子から立ち上がると、二人もつられる様に席を立ち上がった。
しかし、立ちあがった後もロランはシャルの手を離そうとはしない。
それを見て僕は僅かに目を細めた。
「今日はシャルの好物を沢山用意させているから、楽しみにしていて…。勿論ロランの好物も用意してあるよ」
僕は普段の様に柔らかく笑って見せた。
そんな姿を見ていると無性に悔しくなり、意地悪な声で「今はまだ、僕達だけの秘密だね」と耳元で囁くと案の定シャルはぴくっと小さく体を震わせて、更には僕の事を睨みつけていた。
(やっぱりシャルの怒った顔は全く怖くない所か、可愛いな。だけどこれ以上いじめるのは少し可哀そうかな…)
ロランの前で強引にシャルの唇を奪ってしまいたい感情を抑えて、ベッドから立ち上がった。
そんな事をしていると、ロランは僕達の存在に気付いたのか、慌ててベッドの方へと視線を向け「シャル…!」と叫んでいた。
恐らく眠りに入る前に僕が告げた言葉を思い出し、あんなにも焦った姿を見せているのだろう。
まだ目覚めたばかりで気付いてはいない様だが、この部屋にはシャルの甘い匂いが濃く漂っている。
シャルは気付かないと思うが、ロランはそのうち気が付くだろう。
そうすれば既に僕に抱かれた後だと分かるはずだ。
それを知った時、ロランはどんな顔をするのだろう。
そして僕には罪悪感と言う感情は一切無かった。
ロランは僕がシャルの事をどれだけ思っているのか知っていながら、無情にも横から奪っていった。
奪われたのだから、取り返しただけであり、そこに罪悪感なんてものは生まれない。
それにシャルの心を揺さぶったら、まだ僕に対して僅かにでも気持ちが残っているのが分かった。
その気持ちを知れただけで本当は満足だった。
ゆっくりと時間をかけてシャルの気持ちを僕の所に戻していくつもりでいたからだ。
しかしロランと既に体を重ねている事実を知った瞬間、頭の中が真っ白になった。
僕がずっと大切にしていたシャルを、ロランは簡単に奪っていったのだ…。
そんなこと、許せるわけが無かった。
確かに僕がした事でシャルの心を傷付けてしまったのは事実だ。
それに対しては本当に後悔している。
あの時、何を言われてもシャルとの婚約を白紙に戻すべきでは無かった。
そうしていればシャルがロランと婚約する事も無かっただろうし、シャルの純潔は守られていたはずだ。
全ては僕が選択を見誤ったことから始まった事だが、今となっては悔やんでも悔やみきれない気持ちでいっぱいだ。
その話を知った瞬間、ロランとの友人関係は壊れた。
僕はロランの事をもう友人だなんて思ってはいない。
だから、たとえ汚い手を使ってでもシャルの事は取り返すつもりでいる。
「ロランが眠っている間、少しシャルと話をしていたんだ…」
「…………」
僕は何もなかったかのように普段通りの口調で答えると、ロランと反対側のソファーへと腰掛けた。
ロランは警戒する様に僕の方に視線を向けていた。
「シャルもこっちに来たら?」
「……っ…、う…うん…」
僕はいつまでもベッドの上に座っているシャルに向けて声を掛けると、シャルは慌てた様に言葉を返し、僕達のいるソファーの前までやってきた。
しかしシャルはその場に立ち止まり、ソファーに座ろうとはしなかった。
恐らくどちらに座るか迷っているのだろうと、なんとなく予想が付いた。
ロランもそれに気付いたようで「シャル」と名前を呼ぶと手をシャルの方へと伸ばしていた。
それに気付いたシャルは一瞬戸惑った表情を僕の方に向けるも、そのままロランの手を掴み、ロランの隣へと腰掛けた。
予想通り、シャルは困惑しているのを全く隠しきれていない。
あんな態度を取っていれば、おかしいとロランだって既に気付いているはずだろう。
それに気付いているのか、ロランはシャルの手をきつく握ったままでいる様だ。
今までシャルの隣にいたのは僕だったはずなのに…、そう思うと無性に腹が立って仕方が無かった。
「シャル、いつからここに来ていたんだ?」
「え…?えっと……」
ロランはシャルの方に顔を傾け、どこか心配そうな顔で問いかけていた。
シャルは焦っているのか直ぐには答えを出せそうになかった。
「少し前だよ。ね…?」
「う、うん……」
僕が助け舟を出すと、シャルは小さく頷いていた。
途中で僕が会話に割って来たのが気に食わなかったのか、ロランは怪訝そうな顔を僕に向けて来たが、僕は動じることなく普段通りの表情を保っていた。
幼い頃から感情を読み取られない様に訓練されているので、こういうことは得意だ。
だけど心の中では激しい程の嫉妬心が渦巻いている。
「そろそろ食事の準備も出来ている頃だと思うし、移動しようか」
「ああ。そうだな…」
僕が椅子から立ち上がると、二人もつられる様に席を立ち上がった。
しかし、立ちあがった後もロランはシャルの手を離そうとはしない。
それを見て僕は僅かに目を細めた。
「今日はシャルの好物を沢山用意させているから、楽しみにしていて…。勿論ロランの好物も用意してあるよ」
僕は普段の様に柔らかく笑って見せた。
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