蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第四章 再会

4ー7 ロゼッタサイド (場面変更)

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 遡ること、賭博場の魔物騒動が起きる、一時間前。



「は~。まったく、カチュア達、どこにいったのかな?」

 昼間、カチュアと捕まれた怪しい連中の送検手続きを終えた私は、宿屋に泊まることになったカチュア達を尋ねてみた。しかし、もう夜遅い時間なのに誰もいなかった。

 カチュアを探しに街中周ったが、見つからない。

 もしかして、ルナに連れられて賭博場に行ったんじゃ。……取り敢えず、賭博場へ、行ってみるか。

「おや、君はロゼッタくんではないか」

 聞き覚えのある声が背後から聞こえて来た。後ろへ振り向くと、やはり、見覚えのある人だった。

「あなたは確か……べレクト殿でしたっけ?」
「おおお、覚えておいていくれいたんだね」

 べレクト殿は脳筋将軍こと、ガロンの部下。あの将軍の部下にしては、結構陽気な方なんです。

「確かあなたは、脳き……、ガロン……様の配下ではなかったけ?」
「ロゼッタ君、気持ちは分かるが、さすがに脳筋野郎って、言うのは危険では? それに様付けも躊躇っていたようで」
「あ~、バレましたか」

 人の気持ちを考えられない脳筋将軍に「様」を付けたくはない。私はため息を付けながら。

「そのガロン……様は、ヴァルダンに攻めに行ったのでは?」
「それが……情けない話。ヴァルダンの侵略行為による、村の防衛戦で私が任されていた隊は大多数が大怪我を負ってしまって出撃が遅れているんです。余り、遅れると、ガロン様に処罰されてしまう」
「前から思ったんですが、貴方程の方が、あの冷酷脳筋将軍に使えているんですか?」
「ぐっぐっ……。それを指摘されると痛い。だが、我々は仕える将を、選べることができないことは、其方《そなた》も知っているだろ? まあ、希望があるなら、ある程度は、それに沿って、配属されるが、生憎、私は希望をしなかったために、ガロン様のところに……」
「それは……まあ、大変ですね」

 私の場合はシグマ様の推薦だけど。推薦がなく、かつ、配属希望出さなかったら、評判の悪い、将の元に配属されていたのかな?

「それに、ここだけの話。ガロン様は、今では冷酷非道の脳筋将軍って、言われているんだが」
「あなただって、脳筋って、罵っているじゃない!」
「ガロン様は、ここにいないから大丈夫だ」

 いや! さっき、私が「様」付けを躊躇ったことに対して注意していたのに? ガロンがいなかったのに?

「話を戻すが、そのガロン様の幼少期は気弱な性格だったらしいのだ」

 シグマ様から聞いたことがあるは、その話。

「想像ができないわ。その気弱な性格があんな、冷酷になるんですか? 過去に何かあったんですか?」
「ふむ。疑問は山ほどあるが、人が変わってしまうことは、よくある話だ」
「私も、その話はよく耳にします。でも、いくらなんでも、こんなに多く、別人みたいに人が変わるって話が出回るものなんですか?」
「御尤だ。だが、実際にある。有名なのが、蒼炎伝説時代のメリオダスだ」

 蒼炎伝説と聞くと、どうしても、カチュアを思い浮かべてしまう。カチュアがいなくなってから、「あお」と関連する単語を聞くと辺りを見渡すか、カチュアを思い浮かべてしまう。それがカチュアに関係なくとも。

「彼は魔術研究員として、様々な魔術の応用で、生活に役に立つ技術を生み出した。しかし、彼がある日を栄えに世界を支配する厄災と化した」
「後に、義理の妹シェリアとの戦いですよね?」
「ああ、そうだ。まあ、メリオダスのことも含め、余りにも人が変りが多いことから、魔術研究員たちはある仮説を出した。成り済ましがいて、本物に代わっていた、なんて話があるんだ」
「何のために?」
「それはわからない」

 べレクト殿と話していると、何だか、周りが騒がしくなってきた。

「何か、騒がしいわね。どうしたんだろ?」

 すると、男の人が騒ぎながら走ってこちらへ向かってきた。

「大変だーーー!! 賭博場の魔物が脱走しました!!」
「えーーー!!!」
「大変だ!! すぐに向かわなければ!!」

 私とべレクト殿は賭博場へ急いで向かっていく。



  賭博場へ着くと入り口から大勢の人が出てきた。

「うおーーー!! 皆がパニックに! これはまずい! ロゼッタくん、すまないが、ここは私が皆を落ち着かせねば! 君は賭博場の中を見て来てくれんか!?」
「そのつもりです」

 私は別の入り口を探しす。

 その途中、見覚えのある姿が。

「あれ? ルナ!? それに、ユミル様に、ソフィア殿!?」

  やはり、賭博場に来ていたんだ。

「カチュアは一緒じゃないの? ……へ!? アルヴス!? なんでここに!?」

 彼女達と一緒に、アルヴスもいた。

「カチュアさんは、中に残っている方々の避難を進めるために、エドナさんと一緒に残っています」
「そっか!? なら、私が行きます」
「ルナも行きます」
「わたくしも」
「あなた達は避難民の治癒と誘導。そして、この鉄砲玉の見張りでもしていて」
「誰が鉄砲玉だよ?」

 あんたのことだよ、アルヴス。

 私は引き続き、賭博場の入り口を探す。
 
「ん。あそこなら……」

 ようやく、賭博場へ入れそうな、小窓を見つけた。三階ほどの高さはあったけど、何とか登れたわ。



 賭博場に入ると、魔物の山だ。別種だけど、魔物同士戦っている。一見、手間が省けると思われがちだ。これが、危険種同士の殺し合いならまだ、ましだ。だが、これが魔物同士で、殺し合うことが、かなり、まずい。賭博場でも、魔物同士で戦わせることはタブーとされている。そして、死骸を放置することも。

「さてと」

 私は槍を構えた。

 魔物同士の戦いで、勝った方は、負けた方の死肉を食べようとしていた。正確には魔物の体内にある魔石か。それを食べられる前に、もう片方の魔物を槍で急所を射止めた。

 危ない。魔石を食べさせるだけはいけない。後の戦いで苦戦してしまう。

 私は襲い掛かる魔物を倒しながら、カチュア達を探しているが、見つからない。辺りを見渡すと、賭博場にいた人たちは避難できたみたい。死体はあるけど。

 そして、目の前には魔物の大群か。でも、背を向けている。私がそっちに向かってくるのに。もしかして、まだ、避難できていない人が襲われているのでは?

 私は走りながら、念じる。そして、槍は黄色く光出した。

 そして。

 私は槍を突き出す。光の速さ……とまでは、いかないが、物凄い速さで、魔物の大群に突っ込んだ。

 魔物の体を、次々と貫き、魔物の大群から脱出。そして、脱出した先には、見覚えのある、蒼髪の女性と小柄な女の子の姿が。


 そして、今にいたる。

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