蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十一章 ヘルディアの傭兵

11ー5 ナギパート

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 聞いたこともない声が聞こえたから、その聞こえた方向を振り向いたら、三人組の女性の姿があった。その内、二人は乗馬? している。

 乗馬? している、真ん中の子は、馬? に乗っているから、分かりにくいが、多分、小柄の方だ。癖っ毛が特徴の髪をしている。

 もう一人の乗馬? している、髪と服装がピンク色の女の子は、これから、戦場に出るとは思えない程、お洒落をしている。ただ、巨乳インフレのカチュア達一行に比べれば、まな板レベルの胸元だ。

 最後に、乗馬していない女性は、二人に比べれば、年上だろう、カチュアには劣るが豊満な胸を持っている。化粧が濃く、ああ言うの、何て言うんだっけ? ギャル? うん、分からない。

「あの女性……」

 マリンが何かに気づいたご様子。

「知り合いかしら~?」
「知り合いではない。だが、真ん中にいる彼女なら、誰かは知っていぜ。恐らく、へルディアの姫君様だな」

 へルディアの姫様!? 戦争中なのに、何で、こんなところに姫様が? というか、ユミルといい、スイレンていい、最近の姫君は、戦争中に外へ出歩くのが、流行りなのか?

 さっきから気になっているのは、ヘルディアの姫と呼ばれている少女と、髪と服装がピンク色の女の子が載っている馬? のことだ。てか、あれ、馬だよね? 鹿じゃないのは確かだ。普通、馬と鹿は見れば、わかるんだけど、一瞬わからなくなってしまう。だって、馬って、首あったよね? 何馬鹿なこといっているかって? 私も、そう思うよ。 いや、だって、あの馬、首がないんだけど! それ以前になんで、首がないのに生きているの!? 魔物か!?

 三人の視線はカチュアに向けた。

「よく見たら、あなたは髪だけでなく、瞳も、お綺麗な蒼色ですね」

 やはり、カチュアの蒼い髪と瞳に目がいったか。一瞬だけど、胸の方へ視線を向いたな。カチュアじゃなくっても、胸を見て一気に殺意が高めているよ。

「あれ? あなたはどこかで……」

 今度は、姫様の方がソフィアに視線を向いた。

「ソフィア~。あの子達、知っている人達~?」

 ソフィアを尋ねるカチュア。やはり、カチュアは気づいたようだ。

「いきなり、どうしたんですか?」
「あのお姫様が、ソフィアの顔を見て、思うところがあるみたいなのよ~」
「特に接点はないのですが」

 怪しい。絶対に知り合いだろう。そう言えば、ソフィアと合流した際、ヘルディアへ向かうことに乗る気がなかったよな。

「あの人達、目の前に敵がいるのに、話し出しましたよ」

 向こうは、呆れて顔でこちらを見ている。

「……ところで」

 カチュアは三人に声を掛けた。

「戦いやめないかな~」
「え?」

 三人の内二人が驚いているよ。戦う姿勢を出しているのに、いきなり「戦いやめないかな~」と言われたら、困るでしょ。ちなみに、驚ろかなかったのは、化粧が濃い女性の方だ。

「あなた達と、わたし達が戦う必要はないわ~」
「そうやって、私達を油断させる気が?」

 ですよね。

 そして、ヘルディアの姫君はどこに隠し持っていたか、手元には、いつの間にか、槍を持っていて、カチュア目掛けて投げつけた。気のせいか、普通に物を投げつけた速度よりも、速過ぎませんか? もしかして、あれは、魔術を使って飛ばしている?

   しかし、カチュアは避けようとしなかった。

 バキ!!

「嘘でしょ?」

 投げた槍を掴んで片方で掴んで、さらに、へし折ってしまった。

 相手側は驚いた顔をしている。化粧が濃い女性は驚いでいないが。

「ん~、どーすれば、分かってくるかしら~?  敵じゃないって言っているのに~」
「それで、『はい、そうですか』って、納得するのはカチュアさんか、エドナさんぐらいですよ」

 呆れ顔をしているルナ。

 でも、戦いを避けられることに越したことはない。それに、相手は姫様だから、戦う必要がない。ただ、ヘルディアの姫様側では、カチュア達が敵の可能性がある以上は敵として認識してしまう。

 どうしたら。

「いっそのこと、カチュア殿、一人で戦ってみたらどうでしょう? 勿論、命を取らないで」

 ソフィアが提案してきた。

「一人は怪しい感情を感じるけど。戦う必要あるのかしら~?」
「カチュアさんのいう『怪しい感情』が気になりますが、ルナはソフィアさんの案に賛成です。向こうが納得しない限りは、どうすることもできません」
「実践の方が、相手の本質が現れやすいです。相手は傭兵。なら、戦いで分からせるしかない」
「分かったわ~」

  相変わらずの即答。

「素直過ぎるな。でも、一人で、やりやがるのか?」
「敵意がないって、証明するなら、戦う気がないと表せないと。こんだけ、いるのに、一人で戦う方が現れやすい。勿論、あの方々は、我々が不意打ちすると、考慮すると思います。ここは、どんなに、カチュア殿がピンチでも手を出してはいけません」

  カチュアの戦闘力に高さでは、説得力がない気がするんだが!

「分かったわ~」
『素直過ぎます』

   カチュアは背中に背負っている、鞘から、剣を抜き取る。

「というわけで、わたし一人であなた達の相手になるわ~」
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