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中編 愛の深まりと婚約
76.ソフィとショッピング2
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「どうかな……」
ドキドキしながら試着室を出る。
「可愛いです~! えぇっと、ユメちゃん!」
うわぁ、懐かしい呼び方だ!
自分でお願いしておきながら、頬が緩む。
まぁ「ちゃん」はね……変換されたあとの言葉なんだろうけどね。あっちではどんな発音だったのか気になるなぁ。
「とてもよくお似合いですよ」
「店員さん、今からこれを着ていってもいいですか?」
「もちろんです」
え……これに決定なの!?
「じゃ、髪も縛ってしまいましょう」
慣れた手つきで、ソフィがツーサイドアップにしてピンクのリボンで結んでくれる。後ろ髪の一部を残したままのツインテールで……可愛さアピール全開って感じだ。
「私……違う人になってない?」
「変身なんだから、いいじゃないですか~」
自分のことを可愛いって思っていないとこの髪型はできないよね……というか浮いてない? こんな小悪魔ロリ風の人って、街中にいなくない?
鏡を見ながら考えているうちに、ソフィが会計を済ませてくれた。
え……マジでこれで行くの……。
「靴も買いますか? 今のでも合うと思いますが」
「んーん。靴ずれができると嫌だし、慣れた靴のがいい」
「そうですね、もう少し見ましょっか。奥の部屋にも行っちゃいましょう!」
うん、向こう側にもあるなぁとは思っていたけど……。
「私のさっきまで着ていた服、邪魔だよね。持つけど」
「ユメちゃんには持たせられません!」
ソフィも好んでユメちゃんと呼んでくれているようだ。
「でも、気になされるなら暇をしている人に持ってもらいますか。少し待っていてくださいね」
私を置いて一度外に出て行く。
ガラス扉ごしに様子を見ていると、懐から長いリボンを取り出して空高くに風魔法か何かで渦を巻くように華やかに舞わせた。
どこからか男性が現れ、服を入れた袋を受け取って立ち去っていく。
……護衛か。そういえば、レイモンドと一緒の時もいたのかな。いると言われると気になるし、そのあたりは聞かないでおこっかな。
「ありがとね、ソフィ」
「いえいえ」
戻ってきたソフィと奥へと進む。そちらにも店員さんがいて、同じように朗らかに「ごゆっくりどうぞー」と言ってくれたけど、コレは……!
「私には無縁のものが売っていると思うんだけど……」
「いえいえ、今しかないですよ! 買えるチャンスは。秘密にしておきますよ?」
「いや……なんのために……今あるので十分だし」
「学園入学前に買っておきましょうよ~」
「学園って寮でしょ! 絶対使う機会はないよ」
「え……? あ、ああー。いえ、あるかもしれないじゃないですか~、見るだけ見てみましょうよ」
そう……目の前にあるのは……可愛い下着だ。男性を意識したようなのも多い。
さっき以上のロリ……!
いつものはなんというか……普通だ。レースなんかはついているけれど、それは前の世界でも同じ。布ブラとスリップと紐パンのセットが多い。レイモンドもさすがにそこには口を出さなかったらしい。
あ……!
さっき失言したことに今気付いた。もしかしてソフィは、単にテンションを上げるためみたいな意味で勧めてくれたのかもしれない。
ここでは私がこんな下着を身に着けていることを洗濯メイドさんにも知られてしまう。だから学園でって……。
あー!
寮だから使わないって私、言ったよね。レイモンドに見せるためみたいな意味って絶対思われたー!
もういいや……気にしないでおこう。
「でも……可愛いね」
「ですよね!」
フリルレースのリボン付きベビードール……。
もしかして私、可愛いの……着たかったのかな。親が洗濯すると思うとこんなの買えないし、欲しいとも言えないし、そんな店にも行ったことがない。
こんな可愛いのを買ったんだよって、レイモンドに言いたくなってくる……絶対に言うつもりもないのに、どんな顔をするんだろうと想像してしまう。
レイモンドより私のがそーゆーことを考えちゃってるとか……ないよね。ちゃんと私のこと、そんな目で見ているのかな。
――って、だから私は何を……!
はぁ……でも買えるのは確かに、こんな時だけかもしれない。
「買っちゃおうかな……寮でひっそりと着て、一人で楽しもうかな……」
「大丈夫です! 披露する機会もありますよ、学園に入っても」
「……学園であるわけないじゃん。着替えが必要な授業があったら、なおさら着ないし」
「きっと、ありますあります~!」
あれ……?
この反応……なんか含みが……。
もしかして私……レイモンドの企みを察してしまった……?
違う学科を選んだ時にどうするかの話をしていた時に、家を用意してもいいかと聞かれた。
その時の言葉が、確かこうだ。
『違う学科になっても……毎日そこで、少しでもいいから二人で話をしたい。そのあとに寮に戻ろうよ。全寮制ではないから学園と契約している寮は学園外にいくつもあるんだ。寄り道できるんだよ』
……違う学科じゃなくても家を買うか借りるかする気でしょ……。それに向けてもう動いてるでしょ、きっと。
これしか着ていない私を見せることはない……とは思うけど……。
「い、一応買っておこうかな……」
「ぜひぜひ!」
レイモンドのこと、変態エロ乙女って罵りにくくなったな……。
ドキドキしながら試着室を出る。
「可愛いです~! えぇっと、ユメちゃん!」
うわぁ、懐かしい呼び方だ!
自分でお願いしておきながら、頬が緩む。
まぁ「ちゃん」はね……変換されたあとの言葉なんだろうけどね。あっちではどんな発音だったのか気になるなぁ。
「とてもよくお似合いですよ」
「店員さん、今からこれを着ていってもいいですか?」
「もちろんです」
え……これに決定なの!?
「じゃ、髪も縛ってしまいましょう」
慣れた手つきで、ソフィがツーサイドアップにしてピンクのリボンで結んでくれる。後ろ髪の一部を残したままのツインテールで……可愛さアピール全開って感じだ。
「私……違う人になってない?」
「変身なんだから、いいじゃないですか~」
自分のことを可愛いって思っていないとこの髪型はできないよね……というか浮いてない? こんな小悪魔ロリ風の人って、街中にいなくない?
鏡を見ながら考えているうちに、ソフィが会計を済ませてくれた。
え……マジでこれで行くの……。
「靴も買いますか? 今のでも合うと思いますが」
「んーん。靴ずれができると嫌だし、慣れた靴のがいい」
「そうですね、もう少し見ましょっか。奥の部屋にも行っちゃいましょう!」
うん、向こう側にもあるなぁとは思っていたけど……。
「私のさっきまで着ていた服、邪魔だよね。持つけど」
「ユメちゃんには持たせられません!」
ソフィも好んでユメちゃんと呼んでくれているようだ。
「でも、気になされるなら暇をしている人に持ってもらいますか。少し待っていてくださいね」
私を置いて一度外に出て行く。
ガラス扉ごしに様子を見ていると、懐から長いリボンを取り出して空高くに風魔法か何かで渦を巻くように華やかに舞わせた。
どこからか男性が現れ、服を入れた袋を受け取って立ち去っていく。
……護衛か。そういえば、レイモンドと一緒の時もいたのかな。いると言われると気になるし、そのあたりは聞かないでおこっかな。
「ありがとね、ソフィ」
「いえいえ」
戻ってきたソフィと奥へと進む。そちらにも店員さんがいて、同じように朗らかに「ごゆっくりどうぞー」と言ってくれたけど、コレは……!
「私には無縁のものが売っていると思うんだけど……」
「いえいえ、今しかないですよ! 買えるチャンスは。秘密にしておきますよ?」
「いや……なんのために……今あるので十分だし」
「学園入学前に買っておきましょうよ~」
「学園って寮でしょ! 絶対使う機会はないよ」
「え……? あ、ああー。いえ、あるかもしれないじゃないですか~、見るだけ見てみましょうよ」
そう……目の前にあるのは……可愛い下着だ。男性を意識したようなのも多い。
さっき以上のロリ……!
いつものはなんというか……普通だ。レースなんかはついているけれど、それは前の世界でも同じ。布ブラとスリップと紐パンのセットが多い。レイモンドもさすがにそこには口を出さなかったらしい。
あ……!
さっき失言したことに今気付いた。もしかしてソフィは、単にテンションを上げるためみたいな意味で勧めてくれたのかもしれない。
ここでは私がこんな下着を身に着けていることを洗濯メイドさんにも知られてしまう。だから学園でって……。
あー!
寮だから使わないって私、言ったよね。レイモンドに見せるためみたいな意味って絶対思われたー!
もういいや……気にしないでおこう。
「でも……可愛いね」
「ですよね!」
フリルレースのリボン付きベビードール……。
もしかして私、可愛いの……着たかったのかな。親が洗濯すると思うとこんなの買えないし、欲しいとも言えないし、そんな店にも行ったことがない。
こんな可愛いのを買ったんだよって、レイモンドに言いたくなってくる……絶対に言うつもりもないのに、どんな顔をするんだろうと想像してしまう。
レイモンドより私のがそーゆーことを考えちゃってるとか……ないよね。ちゃんと私のこと、そんな目で見ているのかな。
――って、だから私は何を……!
はぁ……でも買えるのは確かに、こんな時だけかもしれない。
「買っちゃおうかな……寮でひっそりと着て、一人で楽しもうかな……」
「大丈夫です! 披露する機会もありますよ、学園に入っても」
「……学園であるわけないじゃん。着替えが必要な授業があったら、なおさら着ないし」
「きっと、ありますあります~!」
あれ……?
この反応……なんか含みが……。
もしかして私……レイモンドの企みを察してしまった……?
違う学科を選んだ時にどうするかの話をしていた時に、家を用意してもいいかと聞かれた。
その時の言葉が、確かこうだ。
『違う学科になっても……毎日そこで、少しでもいいから二人で話をしたい。そのあとに寮に戻ろうよ。全寮制ではないから学園と契約している寮は学園外にいくつもあるんだ。寄り道できるんだよ』
……違う学科じゃなくても家を買うか借りるかする気でしょ……。それに向けてもう動いてるでしょ、きっと。
これしか着ていない私を見せることはない……とは思うけど……。
「い、一応買っておこうかな……」
「ぜひぜひ!」
レイモンドのこと、変態エロ乙女って罵りにくくなったな……。
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