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第二章「新たな旅立ち」

第58話「思いを込めて」

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「いよいよ明日だな」


「はい」



「マリアファング」の2階。私こと七瀬メイはマスターに挨拶に来ていた。マスターは私の訪問を歓迎し、部屋に招いてくれた。いよいよ明日の早朝に旅立つことになっている。



「お前がいないと正直辛いものもあるが、理沙達なら大丈夫だろう。お前たちは本当に仲がよいのだな」



「はい。大切な友達ですから」



セグンダディオが記録した理沙達の戦闘映像をマスターにも見てもらった。元々マスターから理沙達の戦闘状況を把握したいという強い要望があったのだ。私が尾行して行くつもりだったが、セグンダディオが近場なら映像として残せると提案してくれたので、それを採用した。マスターは梨音さんやサラさんから私達の戦闘の様子を聞いてはいる。だが、理沙達だけになると話は別だ。そこで更に情報が欲しいと考えたのだろう。場合によっては正メンバーへの仕事量を変えないといけないからだ。だが、それは杞憂に終わったらしい。



「お前が向かう場所はナトロフ島という、シンシナシティから船で半日ほどで行ける離島だ。向こうにはウチのナトロフ支部がある。メンバーは少ないが仕事量は多くてな。彼らを手伝うことも修行の内だと思って頑張ってくれ。これが紹介状だ」



「ありがとうございます」



私は紹介状を受け取り、すぐにカバンに仕舞う。無くさないようにしなくちゃ。



「伝書鳩でナトロフ支部の者には既に伝えている。船も手配済みだ」



「何から何まで……本当にすみません」



「メンバーを強化するのは我がギルドにとっても大事なことだ。サラの修行は厳しいと思うが、どうか音を上げず、頑張ってほしい」



「はい、頑張ります」



「うむ」



私は努めて笑顔で応えた。マスターが少々苦い顔をしていたので、それを無くすためだ。以前、サラさんは正メンバー達の修行をおこなったものの、失敗している。けれど、それは誰も彼もが忍耐がなく、ついていけなかったのが原因だ。私と彼らでは背負っているものが違う。元の世界に戻りたいという気持ちはもちろんある。でも、今の私にはそれ以上に大きな夢や目標がある。赤い屋根のついた大きい家で大好きなみんなと一緒に暮らすこと。リュートを立派なドラゴンになるまで、きちんと育てること。
自分のために、みんなの為に頑張らなくちゃ。




「あと、これも持っていきなさい」



手渡されたのは綺麗な茶封筒だ。
厚さから紙幣が入っていることがわかる。



「マスター、これは……」



「少ないが、持っていきなさい。お主が戻ってくるのを楽しみにしているぞ」



「ありがとうございます。しっかり頑張ってきます」



私はコクリと頷き、その場を後にした。








ギルドを出た私はシンシナシティ中央病院へと向かう。梨音さんはノノの姉・シアさんによる攻撃で入院をしているので、そのお見舞いだ。近くの花屋でを買い、病院で面会申請をした。





「梨音さんは302号室です。なるべくお静かにお願いします」



看護婦さんから面会許可をもらい、病室へと向かう。扉をノックして入ると、梨音さんはボーと本を読んでいた。ちなみに団体部屋ではなく、個室だ。



「どもです、梨音さん」



「おう、メイか」



梨音さんは本を閉じ、枕元に置いた。ブックカバーがかかっており、何の本かはわからない。いつものTシャツ姿ではなく、患者衣なのは新鮮だ。足にも右腕にも包帯が巻かれていて、少し痛々しい。



「ほら、座れ、座れ」



「ありがとうございます。あ、その前にお花飾らせてください」



「おう、悪いな」



イスに座る前にベッドの側の棚に花を置く。小さい箱に入った可愛らしい花だ。青や黄色、可愛らしい花々が見る者の心を癒やしてくれる。花はとても小さいが、逆にそれがとても愛くるしい。




「へぇ、なかなか洒落た花だな」



「えへへ、可愛いですよね。マジックフラワーって言うんですよ。その名の通り、魔法を使ってる特殊なもので、水とかお世話がいらないんです。数年はこのままで大丈夫なんですよ」



「ほう、世話がいらないってのは楽でいいな」



昨今の病院では生花持ち込み禁止の所も多い。落としてしまったり、花の匂いがキツかったり……。そこでお花屋さんはこれをお勧めしてくれた。ちょっと高かったけど、買えない値段ではなかったので購入した。棚にちょこんと置けるサイズなので、インテリアとしてもちょうどいい。何よりお世話をしなくて良いのが大きい。



「そういうや、いよいよ明日だな」



「ええ。それで挨拶にと思って。ところで怪我の具合は……」



「ま、しばらくは入院して寝貯めするさ。本当は見送りに行きたいが、この身体じゃどうにもならん。そこの所はスマンな」



「無理して身体に障ったらよくないです。お気持ちだけで充分ですよ」



梨音さんは自分の身体を見て少し苦い顔をした。口には出さないが、ノノの姉・シアについて腹を立てているに違いない。本当は煙草吸いたいんだろうけど、病院内は禁煙だ。イライラが目に見えて伝わってくる。



「サラは修行に関しては厳しいと思うが……どれもこれも全部、相手を思って言っているのは間違いない。大変だと思うが、頑張れよ」



「はい」



「あと、これを渡しておく」



「これは……私のスマホ?」



以前、梨音さんに預けたものだ。どうしてこれを?



「魔法でちょいといじったのさ。シンシナとナトロフ間なら電話ができるようにしておいた。理沙のスマホも同じように改良してある。後でみんなで写メ撮って、それをアタシのLIMEに送りな。写真にして現像しておいてやる」



梨音さんはそう言って写真も手渡してくれた。それは以前、梨音さんと私、ノノの三人で撮った写真だ。確か、ガナフィ島へ行く前だったわね。最近の事なのに、どこか懐かしい。
色々あったせいかな。



「ありがとうございます。大切にしますね」



私はすぐその写真を手帳に挟み、カバンに仕舞った。
梨音さんは優しく微笑み、私の頭を優しく撫でる。




「良いって事よ。こっちで何かあれば、私か理沙のどっちかが電話する。常に電話できるようにしておいてくれ」



「……何かあるんですか?」



「用心するに越したことはない」



そこへノック音が響いた。
一礼して入ってきたのは若いナースさんだ。



「失礼します。梨音さん、包帯を新しいものに変えましょう」



「あーはいはい。んっしょっと」



と、いきなり患者衣を脱ぎだす梨音さん。
ってゆーか、ノーブラなんですけど!


「ちょ、ちょっと梨音さん。いきなり全裸とか……」



「女同士で何照れてるんだ、メイ。つか、全身包帯変えなきゃならんから全裸は普通だろ。背中や腕とか色々やられているからな」



「そ、そうかも知れませんけど……は、恥ずかしいです」



「触ってみるか? 理沙ほどじゃないが、アタシもいい乳してるぞ。ほれほれ」



「か、隠してください! し、失礼します」



そんな光景を楽しそうに見つめるナースさん。梨音さんはガハハとまるで男のように笑う。私は流石に赤面が隠せず、そそくさと病室を後にした。







家に戻ってくると既に夕方だった。
今日は色々な人に会ったから、ちょっと疲れたかも。



「りゅー」



と、リュートが真っ先に出迎えてくれた。
よしよしと抱っこする。



「ただいま、リュート。いい子にしてた?」



「りゅりゅ!」



元気いっぱいに返事をするリュート。言葉はわからないけど、興奮しているのは伝わってくる。多分、寂しかったんじゃないかなと思う。私が帰ってきたから嬉しいのだろう。



「メイ様、おかえりなさい」



「ただいま、ジェーンさん。あれ、みんなの姿が見えないけど?」



「理沙さんとミカさんはお部屋におられます。昨日の夜、仕事の後でロランさん達と食べてきたそうで。夕方過ぎに帰ってきて、そのままぐっすりとお休みになっています」



「そう。ノノはどうしてるの?」



「ノノさんは今、お風呂に入っていますよ。もうすぐごはんですので、少し待っていてくださいね」



「うん、わかった。リュート、あそぼー」



「りゅ~~~」



たかいたかいをしてあげると喜ぶリュート。溢れる笑みはとても可愛らしく、愛らしい。ぬいぐるみでは決して出せない表情、感情、つぶらな瞳。じっとリュートを見つめる。この子とも明日から会えなくなるのか。寂しくなるなぁ……。



「りゅ?」



私が少し表情を陰らせたせいか、リュートが疑問符を投げかける。私の表情をちゃんと見ている……親の顔なら尚更だ。いけない、いけない。本当はちゃんと笑顔でいなきゃいけないのに。でも、やっぱり、会えなくなるのは、寂しい。



「ごめんね、リュート。なんでないよ。よしよし」



「りゅー? りゅりゅ!」



そんな私の気持ちを察してか、リュートは舌で私の頬を舐めてくれた。ママ、泣かないで。そう言ってくれているんじゃないかな。言葉はわからないけど、気持ちは痛いほど伝わってきた。優しい気持ちが私の心に染み渡る。それがとても嬉しくて心地よい。



「相変わらず仲良しね、メイとリュートは」



そこへ、お風呂上がりのノノがやってきた。白い蒸気が出ていて、身体も少し火照っている。おまけにバスローブ姿という格好だ。ワイングラスでもあれば、さぞかし絵になっただろう。



「ノノ、もう身体は大丈夫?」



「ええ、お陰様で。ごめんなさいね、心配かけて」



「そんな、謝らないで。ノノは私達を助けてくれたんだから。お礼を言うのはこっちだよ。本当にありがとう」



改めてお礼を言い、頭を下げる。彼女がいなければ今頃私達は苦しみながら、死んでいた。何度も吐き続け、原因を探る頃には手遅れになるという毒魔法。想像するだけでも恐ろしい。ノノの姉・シアの事が嫌でも頭に浮かんでしまう。だけど、今はまだ話す雰囲気じゃない。



「あ、えっと、きょ、今日さ、梨音さん所にお見舞いに行ってさ」



「メイ、その話はご飯の時に聞かせて。ジェーンが困ってるわよ」



後ろを振り向くとジェーンさんは苦笑いしていた。もう既に料理は準備され、後は運ぶだけのようだ。どう会話を切り出したらいいか迷っていたらしい。ちなみに本日の献立は白身魚のムニエルだ。お皿には人参やポテトサラダも添えられている。ご飯、お味噌汁もつけて準備完了状態である。



「ああ、ごめんね、ジェーンさん。すぐ運ぶから。ノノ、リュートよろしく」



「はいはい」



と、リュートをノノに預けて食器をトレイに載せて運んだ。ジェーンさんも一緒に運んでくれる。気を遣わせてしまったなと内心謝りつつ、急いで。でも、慌てずに運ぶのであった。





食事は和やかな団らんで終わった。リュートはお腹がいっぱいになり、眠ってしまう。この子にご飯をあげるのはいつも私の役目だ。まだ咀嚼が上手くないので小さく切り分けて、食べさせている。骨は最初からジェーンさんが抜いており、正直助かった。魚料理って美味しいけど、骨があるのは私も苦手だ。



「メイ、リュートを寝かせてくるわ」



「ありがとう。部屋で寝かせておいて」


「ええ」



ノノはリュートを抱っこしてリビングを出ていく。何も言わなくても、私の部屋に連れて行ったのだとわかる。リュートは基本、甘えん坊で私の側から離れたくないのだ。だから、寝る時はいつも私の部屋だ。一度違う部屋にしたら夜泣きしてしまい、大変なことになった。私がいなくなったらどうなるのやら……みんなには苦労をかけてしまうなぁ。少し、申し訳なく思う。



「あ、ジェーンさん私も手伝うよ」



「ありがとうございます、メイ様」



と、皿洗い中のジェーンさんの横に立つ。身長が低い私は踏み台の上に足を乗せ、お皿を洗っていく。ジェーンさんは流石に慣れており、手慣れた手付きだ。黙々と皿を洗い続ける二人。その甲斐あって、10分もしない内に皿洗いは終了した。



「すみません、メイ様。お手伝い頂いて」



「いつもジェーンさんに任せっぱなしだし、これぐらいはね。そうそう、これを渡しておくね」



私は厚手の封筒をジェーンさんに渡した。
厚みでわかったのだろう、少し呆然とした顔をしていた。



「あの、これは……」



「少ないけど貰ってちょうだい」



「少ないって、額を見なくても厚さでわかりますよ! あの、私は別にお金の為にしているわけでは……」



ジェーンさんはそう言って返却しようとした。驚きを隠せないという表情をしており、頭をぶんぶん振って拒否した。正直、この家のことは殆ど彼女に任せている。私達が仕事でいない間、リュートの世話をしながら、炊事、洗濯、掃除と頑張ってくれている。この家にとって無くてはならない……例えるなら、お母さんのような存在だ。ジェーンさんがやっている事に比べれば、寧ろ少ないくらいだ。



「いいから、いいから。セントールでも女の子だもん、買い物したり、おしゃれしたいでしょ? ね、お願い。もらってちょうだい」



「……しかし」



「お願い、ジェーンさん」



私が頭を下げるとジェーンさんは不承不承、頷いた。まだ少し迷いがあるようだが、私の気持ちを汲んでくれたのだろう。



「本当にありがとうございます。メイ様がお帰りの際はとびっきりのご馳走を用意していますね」



「楽しみにしてるね。それじゃ、おやすみ」



「おやすみなさい」



私はそのまま自分の部屋へと戻った。
ジェーンさんは封筒を愛おしそうに抱きしめていた。









「ノノ、ありがとうね」



「静かに。リュートが起きちゃうわ」



「あ」と私は手で口を塞ぐ。リュートはぐっすり眠っており、時折、寝返りを打つ。部屋の照明を落とし、ノノはリュートに毛布をかけた。



「あー、ええと、あのさ」



「二階に行きましょ」



ノノは私を促して先に外へ追いやると、扉をそっと閉めた。










1階は居間やみんなの部屋に繋がっている。これは何があってもすぐに駆けつけられる為の工夫だと理沙は言う。2階は物置部屋だが、幾つか私物がある以外は特に使われていない。一応、お客さん用のお部屋もあるが(ここもジェーンさんが定期的に掃除している)私達はバルコニーに出て、少し潮風に当たっていた。押し寄せる波のリズムが耳に心地よい。街は静かで街灯もほとんどないが、日本みたいに明るすぎなくていい。車の騒音も無いし、誰も歩いてないから静かだし……。ほどよくリラックス効果を感じていた。



「……ええと」



「……」



さて、どう話を切り出したものだろうか。二人で何も言わず街を見つめたまま、一緒にいる。そんなロマンチックな光景ではあるし、ずっとそうしていたいけど。



「私の姉さんはね、とっても優秀な人だった」



迷っていると、ノノが話し始めた。
私はその話に耳を傾ける。



「将来の次期女王候補として名前が上がるほど優秀な人だった。人望もあったし、研究熱心でも知られていた。そんな姉が私には何より自慢でね。仲も良かった。色々プレッシャーもあったけど、その分、勉強を頑張ったわ。半分は姉さんに褒めてもらうためなんだけどね」



えへへと舌を出すノノ。
しかし、笑顔は一転して曇り顔になる。



「でも、急に人間界の男と付き合うようになって……周りの皆も引き止めたけど、結局、妖精の里を出ていったわ。私も引き止めたけど、聞く耳持たなかった。まあ、実験命の人だったから、恋愛という感情が珍しかったんでしょうね。自身の胸に芽生えた恋愛という好奇心を抑えきれなかったんだと思う」



「妖精と人は恋しちゃいけないの?」



「そんなことはないわ。でも、姉さんも言っていたように人間と妖精は違う生き物だからね。どうしても人間の方が早く死ぬし、生活環境も違う。男が先に死んで姉は深い悲しみに包まれたと思う。そこを裏ギルドの連中が漬け込んだんだと私は考えているわ」



「ノノ……」



「メイ、私は姉さんを止める。絶対に止めてみせる。けど、今のままじゃ敵わないわ。だから、私も修行してもっと魔法を極めるつもりよ。理沙もミカもそれぞれの方法で修行をしようって話し合ったの」



「そうなんだ」



「姉を止めることができるのは妹だけだからね」



それは以前、ノノに対して私が言った言葉だ。ノノはもう泣いてなんかいなかった。その瞳は決意に溢れ、覚悟を決めている。みんな、私と一緒に頑張ろうとしてくれている。場所が離れてても、私達の想いは一つ。それがとても嬉しくて、温かい。




「りゅーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」



耳をつんざくような声が聞こえてきた。どうもリュートが夜泣きをしてしまったようだ。起きたら、私の姿が無くて寂しくなったのだろう。



「戻ろっか、ノノ」



「ええ」



お互い苦笑いしつつ、小走りで私の部屋へと向かった。すると、そこにはリュートをあやしている理沙とミカちゃんの姿があった。どちらもラフなパジャマ姿だ。



「あ~よしよしッス。リュート、ママが来たッス」



「ごめんね、理沙、ミカちゃん。ほら、リュート。泣かない、泣かない」



リュートは私を見つけると一目散にこちらにやってきて、抱きついた。目には大粒の涙を浮かべ、私にしがみつき、離れようとしない。



「ミカちゃんもごめん。っていうか、二人共どうしてここに?」



「さっき起きてね。ジェーンに聞いたらメイが帰ってきてるって聞いて。部屋に入ったら、すんごい声してね」



と、ミカちゃんが補足してくれた。リュートは私に抱っこされ、ようやく安心したようだ。またウトウトしだし、釣られて私もあくびしてしまう。



「ふぁぁ……ねえ、どうせならみんなで寝ようよ。もち、ミカちゃんは私の隣で」



「う、うん。まあ、いいけど」



「ズルいッス! アタシもメイの隣で寝るッス~~」



と、ワイワイキャイキャイやっていると、のっそりとジェーンさんがやってきた。
どうもまだ寝ぼけ頭なのか、髪がボサボサで、目を擦っている。



「あの……リュート君が夜泣きを……」



「それは大丈夫。ジェーンさんも一緒に寝よう。ほら、ノノも」



「はいはい」



ノノとジェーンさんの手を取り、そのまま部屋へと向かった。
そんな私をノノは優しい顔で見つめていた。




案の定、私の左に理沙、真ん中に私とリュート、右にミカちゃんという両手に花状態。ジェーンさんはセントールなので床で寝ることに(枕と布団は自室から持ち込み。専用の枕と布団でないと眠れないらしい)ノノはソファで休むことになり、それぞれ寝る場所が決まって電気を消す。



「みんな、おやすみなさい」



「おやすみー」



と、みんなの声がシンクロする。
喜びと嬉しさと一抹の寂しさを感じながら、私は目を閉じた。
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