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6章

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 街ほど大きくなった、あの白い屋敷に戻った俺たちは平穏な日々を送っていた。

永遠とわさまー!」

 街を永遠とわと歩くとあちこちから声がかかる。

「あーい」

 手を振るクウガ族の少女に永遠とわも振り返す。

「あの子はねーあたらしの、おいしーやったまるいのやさんの子」

 先日、持ち帰ってくれて一緒に食べたあの甘くて丸い菓子のことか。

「まるいやさんの子はいーね。まいにちたべるできて」

 手をつなぎ石畳の道を歩く俺たちの後ろには千早ちはやと王宮統括補佐テルフィエンデと数名のクウガ族の戦士がいる。
 安全なこの街で護衛なぞいらないと言うのに、大げさになるのは困ったもので宰相に不満を述べると

『慣れてください』といつものいかめしい顔をされてしまった。

「白のつがい様ー!黒の王さまー!」

 こうしてたまに俺のことも読んでくれる者もいて軽く手を上げる。


 --------俺はもう嫌われ者じゃない

 中央の噴水広場まで来ると

「あっち」

 永遠とわが俺の手を引きグイグイ引っ張って歩く。

 千早ちはやが新しい店の情報を仕入れてくるとすぐに行きたがる。

『すっげーうまくてとろけて。はわわ~んってなるんだ』と煽るように言うものだから永遠とわは我慢できない。

 俺も毎日何をするでもなくノンビリと過ごしているので、こうして散歩がてら新しい店巡りをしていられる。




『黒の王としての仕事はないのか?』と宰相に聞いたが、すぐさま服従の体勢になり

『魔獣が出た時はお出ましいただくことをお願いしますが、行く行かないは久遠くおん様のご自由です。ただ存在していてくださる。それだけで我らはいいのです』と言われてしまった。






「まーだ?」

 後ろを振り返り永遠とわ千早ちはやに聞くが

「場所忘れた」などというものだから永遠とわのほっぺがプクゥと膨らみケンカがはじまる。


 見かねたテルフィエンデが「私が場所を知っていますが遠いですよ」と言うと

 タタタッと走り出す永遠とわを全員が追いかける。

 向かった先には1匹の幻魔獣が日向ぼっこをしているのか気持ちよさげに座っていた。

 幻魔獣は基本放し飼いで、街中のクテニ族が世話と管理をしているらしい。


「げんじゅ、のせて?」

 眠っている幻魔獣を見て横にいたクテニ族の少年に永遠とわが話しかける。

 驚いたクテニ族の少年があわてすぎて転んで幻魔獣の腹の毛に頭から突っ込むと言う出来事があったり、街に出るのはなかなか楽しい。

 --------すべての生き物に愛される白のつがい

永遠とわさま」

「白のつがいさまー」


 幻魔獣に乗りしばらく街中を進むと目当ての店に到着した。

 トゲウビリの実の木彫りが看板になっている小さな商店から店主らしき者が飛び出てきて跪く。

 店に並べられた千早ちはやが言うとろける菓子しかみていない永遠とわは早速欲しいものをテルフィエンデに指さしている。
 千早ちはやも加わり、どれが誰の分だの言い合いがはじまった。

 俺に向けて跪いていた店主が立ち上がり頭を下げた後、「とっておきのがあるんです」と奥から持ってきた商品を永遠に渡している。


 --------永遠とわは声をかけられるのに俺には跪くだけ。

 
 彼らを見れば、俺に対して嫌悪感や恐怖感など微塵もなく、その逆で羨望や尊敬の眼差しを向けているのはわかる。


 --------嫌われてるわけではないがやはり俺は……

 
 ふと見ると幼体のクウガ族の子が俺のすぐ前まで4つ足で歩いてきて、口に咥えている小さな篭を差し出している。

「なんだ?くれるのか?」

 そう聞くと頷くので受け取ると、その中には丸い石や綺麗な魚の鱗やよくわからない物も入っている。

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