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17.離れへ引っ越し
しおりを挟むソフィアを追い出した事で侯爵家は再び赤字に戻っていた。
これまでソフィアがローリェ家の赤字を無くすために手を尽くしていたが、侯爵家は調子に乗って浪費を続けた。
赤字が出てもソフィアがなんとかしてくれる。
婚約の時の祝い金も、結婚後の新居や調度品以外の費用もソフィアの父が出していた。
しかし婚約破棄になった事で新居は差し押さえになり、今住んでいる侯爵家の邸の同じようになっていた。
「こんな事許されるか!」
既に邸内にいることもできず、離れの小さな邸に追いやられ、使用人もおらず食事の準備もできないのでパンとミルクとチーズにハムだけだった。
「黙って食え」
「しかし!」
「我が家には既に使用人を雇う金はない。邸は借金の代わり、これまでは商会から金を借りることもできたが、先日、懇意にしていた商会から関係を切られた」
「何ですって!」
「お前が浪費を続けていたからだ!それでもソフィア嬢を繋ぎ止めておけばよかったもの…愛人にでもしておけばまだ金は手に入ったんだ!」
「そうよ。使い道は合ったのに…あの娘もお金を置いて行かないなんてなんて恩知らずなのかしら」
ローリェ侯爵夫妻はソフィアは金ズルでしかなかった。
後は傾きかけた侯爵を無料で立て直すだけの使用人以下としか見ていなかった。
一時期は同じ食卓で食事も許さず、聖女の役目以外は侯爵家の仕事を押し付けていた。
食事も聖女なのだからと言って質素な食事をさせ自分達は高級な肉料理を食べ、服装も豪華な物を着ていた。
「父上、これからどうするのです!」
「黙れ!大変なのはこれからだ!お前が公の前で婚約破棄を宣言した所為で慰謝料の支払いをしなくてはならない。できなければ八割の領地は没収だ」
「は?何故です!あの女が聖女の仕事をまともにしてなかったのが行けないのです」
「例えどんな理由がっても決まりだ」
「そんなの守る必要ありません」
貴族の間で婚約は国王の許可がなくては成立しない。
解消も事前に国王に許しを得なくてはならないのだが、ジェイコブは勝手に婚約破棄を告げ、誓約書を勝手に書き換えたのだ。
「お前は馬鹿か、貴族の婚約も婚約解消も個人の勝手でできんわ。挙句の果てに誓約書に勝手にサインをしたということは、陛下を侮辱するも同然だ。公の場でクリスティーナ様が許可しなかったら不敬罪だった」
「ならば払う必要はありません。王女殿下が俺達の婚姻を認めたのです」
「お前達の婚姻は整理していない」
「は?」
紙切れをテーブルに叩き上げられ、内容を見るとジェイコブが固まった。
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