ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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閑話エドワードの狂詩曲

14.塞がれた道

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エステルが容疑使者として投獄されてからも、直ぐに刑罰ということにはならなかった。


薬が見つかり、ハンカチが見つかっただけで犯人と断定できないと異論を唱えた者が少なからずいたからだ。

とは言え、完全に容疑が晴れたわけではない。
王族に、カルロに憎しみを持っていたのも事実で無関係とは言い難いと母親であるジュリエッタが証言し、邸にいる時も犯罪まがいな嫌がらせを妹にしたと嘘を供述していたことで罪が軽くなることはなかった。


真面な弁護士はつかず、裁判などしてもらえず投獄生活が続き三年間牢屋で生き地獄を味わう生活をする事となる。


貴族が罪を犯した牢屋ではなく、平民が重罪を犯し終身刑を受ける牢屋に入れられたエステルの精神は憔悴しきっていたが、かろうじて生きていた。


その間、王宮ではさらに派閥争いが悪化の一途を辿った。

ついに貧しさに耐え切れなくなった平民が革命を起こした。
平民をけしかけているのは貴族派のバルトーク公爵一派で、エドワードとアントワネットを悪人に仕立て上げ自信が国を乗っ取るべく行動に出ていた。


現在国王と王妃は――



「もはや時間の問題か」

「陛下!」

「国民は僕達を悪と思っている…彼等に踊らされて」

平民の代表の議員からの書状を手に取る。

「ですが、彼等は利用されているのでは」

「そうだ、王が変わっても変わらない。彼等の支配者が変わるだけだ」

表向きは平等な生活を約束しているようだが、甘い言葉で先導しているにすぎない。
既にこの国は傾いているし、他国に責められては抗う術もない。


「兄上は流罪だったのが救いか」

「陛下!」

もう戦く余力はない。
衰退したフォレスト公爵は最期まで味方をしてくれているが勝ち目はない。

むしろよくここまで協力してくれたものだ。


「せめてエルラド帝国に…」

「嫌です」

「聞き分けてくれ。せめて君だけでも」

同盟は既に解消状態にある。
もし祖国に帰ったとしても日陰の下で生きなくてはならない。

もしくは裏切り者としての誹りを受けるかもしれない。


「バルトーク公爵は私の首を落とすだろう。私達から王座を奪うだけで終わらせる生易しい男じゃない」

「解ってます。裁判で王族を死刑にするのは明白…だから何だと言うのです?」

「何?」

「罰を受けることが恥ずべきことですか?」

毅然とした態度で告げるアントワネットに耳を疑う。

このままでは国民の手で殺され。
公の場で処刑台に首を晒すことになりかねないと言うのに何故笑えるのか不思議だった。

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