君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません
十年以上婚約している男爵家の子息、カーサは婚約者であるグレーテルを蔑ろにしていた。
事あるごとに幼馴染との約束を優先してはこういうのだ。
「君は優しいから許してくれるだろ?」
都合のいい言葉だった。
百姓貴族であり、包丁侍女と呼ばれるグレーテル。
侍女の中では下っ端でかまど番を任されていた。
地位は高くないが侯爵家の厨房を任され真面目だけが取り柄だった。
しかし婚約者は容姿も地位もぱっとしないことで不満に思い。
対する彼の幼馴染は伯爵令嬢で美しく無邪気だったことから正反対だった。
甘え上手で絵にかいたようなお姫様。
そんな彼女を優先するあまり蔑ろにされ、社交界でも冷遇される中。
「グレーテル、君は優しいからこの恋を許してくれるだろ?」
浮気を正当した。
既に愛想をつかしていたグレーテルは
「解りました」
婚約者の願い通り消えることにした。
グレーテルには前世の記憶があった。
そのおかげで耐えることができたので包丁一本で侯爵家を去り、行きついた先は。
訳ありの辺境伯爵家だった。
使用人は一日で解雇されるほどの恐ろしい邸だった。
しかしその邸に仕える従者と出会う。
前世の夫だった。
運命の再会に喜ぶも傷物令嬢故に身を引こうとするのだが…
その同時期。
元婚約者はグレーテルを追い出したことで侯爵家から責められ追い詰められてしまう。
侯爵家に縁を切られ家族からも責められる中、グレーテルが辺境伯爵家にいることを知り、連れ戻そうとする。
「君は優しいから許してくれるだろ?」
あの時と同じような言葉で連れ戻そうとするも。
「ふざけるな!」
前世の夫がブチ切れた。
元婚約者と元夫の仁義なき戦いが始まるのだった。
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