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51.制止~ミハイルside
しおりを挟む解っていたが、本当に馬鹿すぎる。
婚約破棄を自分からしておきながら、この態度は。
とは言え、シアン嬢の悪い噂が広がるのはよろしくないので止めなくては。
「シアン嬢。そこまでだ」
「ミハイル様!」
「シルキス殿、君も見っとも無い行動は控えるべきだ」
「ミハイル様…」
時と場所を弁えて欲しものだ。
「それとも何か?君は自分の保身の為にわざと彼女を悪女にしたてあげようとしているのか。こんな公衆の面前で」
「そんな…」
「もし君に良識があるならば二人きりになれる場所。もしくはファミリア家に面会を申し込むべきだ」
「しました!でも…」
「まぁ私が父親ならば門前払いだ…だとしても誠心誠意を尽くして謝罪をして罪を償うだろうな」
人として当然の事だ。
それだけの事をしてしまったのだから。
「君は彼女を愛しているのか」
「勿論です。だから謝罪して関係を戻してやろうと…」
「何様だ」
やろうと?
上から目線ではないか。
「君は彼女を下目に見て、謝ってやると言っている。なんと傲慢なんだ」
「あっ…それは」
「ついうっかりなんて許されないぞ。それとも君の家ではそういう教育をしているのか」
こういう時に本性が出る物だ。
シルキスはシアン嬢との婚約が消えれば実家からも勘当されるだろう。
元より、既にパワーバランスが変わりつつある。
以前から辺境地の貴族は野蛮と言っている宮廷貴族が多かった。
シルキスは王子様気取りでナターシャを弱いと決めつけたていたのだろう。
本当は強かで悪女のような女だったが、騙される方も悪いんだ。
「君は彼女を愛しているなら何故婚約破棄をしたんだ」
「だからそれは…」
「政略結婚で愛はなくとも情はあったはずだ」
「えっ…」
愛情など一切なかったのだろう。
むしろ自分達に傷がつかないように悪者に仕立て上げたのだろう。
「貴族として、男として、一人の人間として責任が無さすぎる。本当に情があれば円満な婚約解消をして誠意を見せるはずだ…なのに今さらそのような真似をするとは」
「ですが…それは」
「さっきからそればかりだな。はっきり言え」
俺の言葉に賛同するようにうんうん頷け射ているが…。
「何を頷いているんです」
「そうよ。貴方だって似たような事をしたくせに」
他の女子生徒に責められ驚く。
何を自分は関係ない素振りをみせているのか。
茶番劇に悪乗りした者もいる。
ゲーム感覚で婚約者に冗談で婚約破棄を言った者もいるのだから。
「ここにいる者に伝えよう。人の気持ちを弄んでだ後に裁きを受けることになると。人を呪わば穴二つだ」
俺の言葉がどの程度届くかは解らない。
青臭いと罵倒されるかもしれないが、人の気持ちを踏みにじる行為を許すわけには行かない。
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