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第2章 50 ある決意
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「だ、だけど教授…。あまり過去に干渉すると、『バタフライ』効果の影響で歴史が変わってしまうって言ってたじゃないですか…」
「ああ、確かに言った。あのときは…まだそう思っていたんだ。だが、今はそうは思わない。上野、積極的に南さんに関わっていかないと…きっとまた同じ失敗をするぞ?」
「し、失敗って…」
何となく見当はついていたけれども、自分の口から言うのは怖かった。
「決まっているじゃないか。彼女の『死』だ」
教授は当然のように言う。
「そ、そんな…」
「いいか?何故か彼女の運命は15年前の6月9日で終わりを告げる。彼女を死に導くための強い力が働いているのだ。彼女の死ぬ運命のフラグがどこで立ってしまうのかは不明だが…まずはこのフラグを立てるわけにはいかない。分かるな?」
「は、はい…分かります…」
「ならどうすべきか分かるだろう?彼女…南彩花の人生に深く関わらなければいけない。それしか彼女の死の運命を断ち切ることは出来ないと思わないか?」
「そう…ですね…」
「それに…幸いなことにお前は南さんと恋人同士になりたいのだろう?」
「え、ええ。そうですよ。いけませんか?」
どこかからかうような教授の口ぶりに、顔が赤らみかけた。
「別にいけないとは言っていない。いいんじゃないか?南さんと恋人同士になって、彼女を『死』の運命から救ってやる…。多分、お前にしか出来ないことだ。それでいつ出発する?明日にでも行くか?」
「でもそんなに仕事ばかり休んでは教授の仕事に差し支えるんじゃありませんか?」
すると教授は俺の言葉に目を見開き…次に大きな声で笑った。
「アハハハハハハ…ッ!これはいい!傑作だ!」
「な、何がおかしいんですかっ?!俺は真剣に仕事のことを考えているのに…っ!」
つい腹が立って、言い返してしまった。
「全く…いいか、上野。よく考えてみろ。お前は思いきり勘違いしているぞ?」
「勘違い…?」
「ああ、まぁ…無理もないか。お前は過去に戻って、そこで時間が経過しているんだからな。だが、よくよく考えてみろ。お前が過去に戻った時間とこちらに帰ってきた時間はほぼ同じなんだぞ?」
「あ…」
教授の言っている意味がようやく理解出来た。
「つまり、お前が過去の世界でどのくらいの長い時間を過ごそうが、こっちの世界では全く時間が流れていないってことなんだよ。同じ時間に旅立って、同じ時間に帰って来るのだから当然だろう?」
そうだった、俺は肝心なことを忘れていたのだ。
「そうですね…時間はこっちでは全く流れていないんだ…。なら安心していくらでも過去に戻っていられますね」
すると教授の顔が曇った。
「だが上野。お前に以前説明したはずだが…過去の時間に長くとどまればとどまるほど、こっちの世界に戻ってきた時の年齢に差が出てくることになるんだぞ?それだけ早く年を取ってしまうことになる。だからあまり長くとどまりすぎるのは駄目だ」
「ええ、分かっています。ただ…6月9日を彩花が生き抜けば…俺はもう、こっちの世界には戻ってこないつもりです」
俺は教授の目を真っ直ぐに見た―。
「ああ、確かに言った。あのときは…まだそう思っていたんだ。だが、今はそうは思わない。上野、積極的に南さんに関わっていかないと…きっとまた同じ失敗をするぞ?」
「し、失敗って…」
何となく見当はついていたけれども、自分の口から言うのは怖かった。
「決まっているじゃないか。彼女の『死』だ」
教授は当然のように言う。
「そ、そんな…」
「いいか?何故か彼女の運命は15年前の6月9日で終わりを告げる。彼女を死に導くための強い力が働いているのだ。彼女の死ぬ運命のフラグがどこで立ってしまうのかは不明だが…まずはこのフラグを立てるわけにはいかない。分かるな?」
「は、はい…分かります…」
「ならどうすべきか分かるだろう?彼女…南彩花の人生に深く関わらなければいけない。それしか彼女の死の運命を断ち切ることは出来ないと思わないか?」
「そう…ですね…」
「それに…幸いなことにお前は南さんと恋人同士になりたいのだろう?」
「え、ええ。そうですよ。いけませんか?」
どこかからかうような教授の口ぶりに、顔が赤らみかけた。
「別にいけないとは言っていない。いいんじゃないか?南さんと恋人同士になって、彼女を『死』の運命から救ってやる…。多分、お前にしか出来ないことだ。それでいつ出発する?明日にでも行くか?」
「でもそんなに仕事ばかり休んでは教授の仕事に差し支えるんじゃありませんか?」
すると教授は俺の言葉に目を見開き…次に大きな声で笑った。
「アハハハハハハ…ッ!これはいい!傑作だ!」
「な、何がおかしいんですかっ?!俺は真剣に仕事のことを考えているのに…っ!」
つい腹が立って、言い返してしまった。
「全く…いいか、上野。よく考えてみろ。お前は思いきり勘違いしているぞ?」
「勘違い…?」
「ああ、まぁ…無理もないか。お前は過去に戻って、そこで時間が経過しているんだからな。だが、よくよく考えてみろ。お前が過去に戻った時間とこちらに帰ってきた時間はほぼ同じなんだぞ?」
「あ…」
教授の言っている意味がようやく理解出来た。
「つまり、お前が過去の世界でどのくらいの長い時間を過ごそうが、こっちの世界では全く時間が流れていないってことなんだよ。同じ時間に旅立って、同じ時間に帰って来るのだから当然だろう?」
そうだった、俺は肝心なことを忘れていたのだ。
「そうですね…時間はこっちでは全く流れていないんだ…。なら安心していくらでも過去に戻っていられますね」
すると教授の顔が曇った。
「だが上野。お前に以前説明したはずだが…過去の時間に長くとどまればとどまるほど、こっちの世界に戻ってきた時の年齢に差が出てくることになるんだぞ?それだけ早く年を取ってしまうことになる。だからあまり長くとどまりすぎるのは駄目だ」
「ええ、分かっています。ただ…6月9日を彩花が生き抜けば…俺はもう、こっちの世界には戻ってこないつもりです」
俺は教授の目を真っ直ぐに見た―。
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