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13−2 護衛騎士達と馬車
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エルウィンが用意してくれた毛皮の防寒コートに身を包んだアリアドネはシュミットの案内で城外へとやってきた。
すると、既に城門の前では立派な1頭立ての馬車に護衛の騎士たちが勢ぞろいしている。
騎士たちはアリアドネが現れたことに気付くと、すぐに駆け寄ってきた。
「はじめまして、アリアドネ様」
「これから宜しくお願い致します」
「護衛に選んで頂き、光栄です」
「短い期間ですが宜しくお願いします」
彼らはアリアドネの前に集まると、口々に声を掛けてくる。
そんな彼らにアリアドネは戸惑ってしまった。
「お待ち下さい、皆様。私はそんな大した者ではありませんので、どうかそのような仰々しい口調はおやめ下さい」
アリアドネは何も知らなかったのだ。
自分が既にエルウィンの婚約者として、城中の者たちから認知されているということに。
すると1人の騎士が首を傾げた。
「何を仰っておられるのですか?そもそもアリアドネ様は……」
するとそこへ、シュミットが思いきり咳払いした。
「ゴホンッ!その辺にしておきませんか?こんな寒空の下でレディをいつまでもとどまらせてはなりませんよ」
「あ、そうでしたね!申し訳ございませんっ!」
騎士は非礼を詫びると、頭を掻きながら足早に立ち去っていく。
その後姿を見ながらシュミットは心の中で安堵のため息を漏らした。
(ふぅ‥‥危ないところだった。すっかり城の人々からはエルウィン様とアリアドネ様は婚約していると思い込んでいるからな‥‥。危うくアリアドネ様にその事実がバレるところだった)
そしてシュミットはアリアドネに向き直ると声を掛けた。
「アリアドネ様。どうぞ馬車にお乗りください。」
「はい、ありがとうございます。でも…宜しいのでしょうか?まだ私、エルウィン様にご挨拶もしていないのですが‥‥」
「エルウィン様なら大丈夫です。じきにいらっしゃると思います。それにエルウィン様はこう、仰っておりました。『外は冷えるから、城から出たらすぐに馬車の中へ入るようにと」
「え…?そうだったのですか?エルウィン様がそのような事を…?」
「ええ、そうです。なのでどうぞ中へお入り下さい。そうしなければ私が文句を言われてしまいすので」
シュミットの言葉にアリアドネは慌てた。
「まぁ、本当ですか?ではすぐに乗ります」
アリアドネは馬車に近付くと、御者台に乗っていたのは若い騎士だった。
「あの‥‥貴方は騎士ではありませんか?」
すると尋ねられた騎士は笑みを浮かべた。
「はい。騎士兼、御者を務めさせて頂くカインと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」
アリアドネは丁寧に頭を下げた。
「カイン。アリアドネ様を宜しくお願いしますね」
シュミットはカインに声を掛ける。
「ええ、お任せ下さい。それではアリアドネ様。馬車にお乗り下さい」
「はい」
そしてアリアドネはカインに促され、馬車に乗り込んだ。
馬車に乗ったアリアドネは驚いた。
何故なら馬車の中には持ち運べる大きさの小さな薪ストーブが置かれ、馬車の内部を温めていたからである。
それに椅子はとても座り心地が良かったし、内部も装飾品が美しかった。
「どうですか?アリアドネ様。お気に召されましたか?」
シュミットが馬車の外から声を掛けて来た。
「はい、とても気に入りました。このように素晴らしい馬車に乗るのは生まれて初めてです」
窓を開けると、アリアドネは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「それは良かったです」
その時。
「おい、シュミット。いつまで油を売るつもりだ?」
不機嫌そうなエルウィンが馬に乗って現れた――。
すると、既に城門の前では立派な1頭立ての馬車に護衛の騎士たちが勢ぞろいしている。
騎士たちはアリアドネが現れたことに気付くと、すぐに駆け寄ってきた。
「はじめまして、アリアドネ様」
「これから宜しくお願い致します」
「護衛に選んで頂き、光栄です」
「短い期間ですが宜しくお願いします」
彼らはアリアドネの前に集まると、口々に声を掛けてくる。
そんな彼らにアリアドネは戸惑ってしまった。
「お待ち下さい、皆様。私はそんな大した者ではありませんので、どうかそのような仰々しい口調はおやめ下さい」
アリアドネは何も知らなかったのだ。
自分が既にエルウィンの婚約者として、城中の者たちから認知されているということに。
すると1人の騎士が首を傾げた。
「何を仰っておられるのですか?そもそもアリアドネ様は……」
するとそこへ、シュミットが思いきり咳払いした。
「ゴホンッ!その辺にしておきませんか?こんな寒空の下でレディをいつまでもとどまらせてはなりませんよ」
「あ、そうでしたね!申し訳ございませんっ!」
騎士は非礼を詫びると、頭を掻きながら足早に立ち去っていく。
その後姿を見ながらシュミットは心の中で安堵のため息を漏らした。
(ふぅ‥‥危ないところだった。すっかり城の人々からはエルウィン様とアリアドネ様は婚約していると思い込んでいるからな‥‥。危うくアリアドネ様にその事実がバレるところだった)
そしてシュミットはアリアドネに向き直ると声を掛けた。
「アリアドネ様。どうぞ馬車にお乗りください。」
「はい、ありがとうございます。でも…宜しいのでしょうか?まだ私、エルウィン様にご挨拶もしていないのですが‥‥」
「エルウィン様なら大丈夫です。じきにいらっしゃると思います。それにエルウィン様はこう、仰っておりました。『外は冷えるから、城から出たらすぐに馬車の中へ入るようにと」
「え…?そうだったのですか?エルウィン様がそのような事を…?」
「ええ、そうです。なのでどうぞ中へお入り下さい。そうしなければ私が文句を言われてしまいすので」
シュミットの言葉にアリアドネは慌てた。
「まぁ、本当ですか?ではすぐに乗ります」
アリアドネは馬車に近付くと、御者台に乗っていたのは若い騎士だった。
「あの‥‥貴方は騎士ではありませんか?」
すると尋ねられた騎士は笑みを浮かべた。
「はい。騎士兼、御者を務めさせて頂くカインと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願い致します」
アリアドネは丁寧に頭を下げた。
「カイン。アリアドネ様を宜しくお願いしますね」
シュミットはカインに声を掛ける。
「ええ、お任せ下さい。それではアリアドネ様。馬車にお乗り下さい」
「はい」
そしてアリアドネはカインに促され、馬車に乗り込んだ。
馬車に乗ったアリアドネは驚いた。
何故なら馬車の中には持ち運べる大きさの小さな薪ストーブが置かれ、馬車の内部を温めていたからである。
それに椅子はとても座り心地が良かったし、内部も装飾品が美しかった。
「どうですか?アリアドネ様。お気に召されましたか?」
シュミットが馬車の外から声を掛けて来た。
「はい、とても気に入りました。このように素晴らしい馬車に乗るのは生まれて初めてです」
窓を開けると、アリアドネは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「それは良かったです」
その時。
「おい、シュミット。いつまで油を売るつもりだ?」
不機嫌そうなエルウィンが馬に乗って現れた――。
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