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13−1 出発の心構え
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あれから3日後――。
アリアドネとエルウィンは互いに顔を合わせることなく、『レビアス』国へ出発する日が来てしまった。
今回、『レビアス』国へ向けて出発するメンバーは護衛騎士としてエルウィンの部隊の精鋭騎士10名。
そしてエルウィンとアリアドネの合計12名だった。
午前9時――
アリアドネはミカエルとウリエルの部屋で2人に挨拶をしていた。
「ミカエル様、ウリエル様。それでは10日程お城を留守にしますが、お健やかにお過ごしください」
「分かってるよ。リア」
「うん!」
無邪気に返事をする2人。
「それでは私が留守の間、ミカエル様とウリエル様をどうぞ宜しくお願い致します」
アリアドネは2人の背後に立つフットマンに挨拶をした。
「はい、お任せ下さい」
笑顔で返事をする若きフットマン。
その時――。
扉をノックする音と共にシュミットの声が聞こえてきた。
「アリアドネ様はこちらにいらっしゃいますか?」
「あ、いけない。シュミットさんが呼びに来てくれたのだわ」
急いで扉を開けにアリアドネは向かった。
ガチャ…
扉を開けるとシュミットが立っており、アリアドネを見ると笑顔で話しかけてきた。
「やはりこちらにいらしていたのですね?先程お部屋に伺ったのですが、お留守だったようなので、もしやと思って伺いました」
「はい、ミカエル様とウリエル様にご挨拶させていただいておりました。迎えに来てくださったのですか?」
「はい、そうです。既に馬車に荷物は積んでありますのでエルウィン様からアリアドネ様をお呼びするように仰せつかって参りました。では、参りましょうか?」
「はい」
アリアドネは返事をすると、再びミカエルとウリエルを振り返った。
「それでは行って参りますね」
「うん!」
「行ってらっしゃい!」
手をふるウリエルとミカエルに見送られながらアリアドネはシュミットに連れられて部屋を出た――。
「あの…シュミット様」
長い廊下を歩きながらアリアドネはシュミットに声を掛けた。
「はい、何でしょうか?」
「エルウィン様が以前お話してくださったのですが、私に1台馬車を用意すると伺ったのですが、エルウィン様はどうされるのでしょう?」
アリアドネの耳にあの時、エルウィンが言った言葉が蘇ってくる。
『アリアドネ専用に馬車を1台用意する。そこに必要な荷物を積み込めばいいだろう』
「ええ、アリアドネ様に馬車は1台用意させて頂いております。エルウィン様は馬車には乗らずに他の騎士たちと同様、馬に乗ります。なのでアリアドネ様御一人で馬車に乗ることになりますね」
「え?エルウィン様は馬に乗るのですか?」
「はい、そうです。エルウィン様は辺境伯です。常に闘いに身を置かれ、馬に乗って戦場を駆けるお方です。馬車に乗るのはどうにも性に合わないそうです」
「そう……なのですか…」
アリアドネは気落ちした様子で返事をした。
3日前に自分の元を訪ねてきたエルウィンの様子が何処かおかしいことにアリアドネは気付いていた。
そこで今回の旅で2人で同じ馬車に乗れば色々話が出来るだろうとアリアドネは考えていた。
けれどエルウィンは馬車には同乗せず、自分一人が乗ることになるとは……。
(国王陛下のいらっしゃる城へ到着する前に、今回のパーティーのことについて色々聞きたいことがあったのに…諦めるしか無さそうね…)
アリアドネは心の中でため息を付いた――。
アリアドネとエルウィンは互いに顔を合わせることなく、『レビアス』国へ出発する日が来てしまった。
今回、『レビアス』国へ向けて出発するメンバーは護衛騎士としてエルウィンの部隊の精鋭騎士10名。
そしてエルウィンとアリアドネの合計12名だった。
午前9時――
アリアドネはミカエルとウリエルの部屋で2人に挨拶をしていた。
「ミカエル様、ウリエル様。それでは10日程お城を留守にしますが、お健やかにお過ごしください」
「分かってるよ。リア」
「うん!」
無邪気に返事をする2人。
「それでは私が留守の間、ミカエル様とウリエル様をどうぞ宜しくお願い致します」
アリアドネは2人の背後に立つフットマンに挨拶をした。
「はい、お任せ下さい」
笑顔で返事をする若きフットマン。
その時――。
扉をノックする音と共にシュミットの声が聞こえてきた。
「アリアドネ様はこちらにいらっしゃいますか?」
「あ、いけない。シュミットさんが呼びに来てくれたのだわ」
急いで扉を開けにアリアドネは向かった。
ガチャ…
扉を開けるとシュミットが立っており、アリアドネを見ると笑顔で話しかけてきた。
「やはりこちらにいらしていたのですね?先程お部屋に伺ったのですが、お留守だったようなので、もしやと思って伺いました」
「はい、ミカエル様とウリエル様にご挨拶させていただいておりました。迎えに来てくださったのですか?」
「はい、そうです。既に馬車に荷物は積んでありますのでエルウィン様からアリアドネ様をお呼びするように仰せつかって参りました。では、参りましょうか?」
「はい」
アリアドネは返事をすると、再びミカエルとウリエルを振り返った。
「それでは行って参りますね」
「うん!」
「行ってらっしゃい!」
手をふるウリエルとミカエルに見送られながらアリアドネはシュミットに連れられて部屋を出た――。
「あの…シュミット様」
長い廊下を歩きながらアリアドネはシュミットに声を掛けた。
「はい、何でしょうか?」
「エルウィン様が以前お話してくださったのですが、私に1台馬車を用意すると伺ったのですが、エルウィン様はどうされるのでしょう?」
アリアドネの耳にあの時、エルウィンが言った言葉が蘇ってくる。
『アリアドネ専用に馬車を1台用意する。そこに必要な荷物を積み込めばいいだろう』
「ええ、アリアドネ様に馬車は1台用意させて頂いております。エルウィン様は馬車には乗らずに他の騎士たちと同様、馬に乗ります。なのでアリアドネ様御一人で馬車に乗ることになりますね」
「え?エルウィン様は馬に乗るのですか?」
「はい、そうです。エルウィン様は辺境伯です。常に闘いに身を置かれ、馬に乗って戦場を駆けるお方です。馬車に乗るのはどうにも性に合わないそうです」
「そう……なのですか…」
アリアドネは気落ちした様子で返事をした。
3日前に自分の元を訪ねてきたエルウィンの様子が何処かおかしいことにアリアドネは気付いていた。
そこで今回の旅で2人で同じ馬車に乗れば色々話が出来るだろうとアリアドネは考えていた。
けれどエルウィンは馬車には同乗せず、自分一人が乗ることになるとは……。
(国王陛下のいらっしゃる城へ到着する前に、今回のパーティーのことについて色々聞きたいことがあったのに…諦めるしか無さそうね…)
アリアドネは心の中でため息を付いた――。
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