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13−6 ある予感
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今回、エルウィンの元でリーダーを務めるのはマティアスと言う22歳の騎士だった。
彼はエルウィンをとても尊敬し、またエルウィンからの信頼も厚い。その為、今回の旅の同行者に選ばれていた。
そのマティアスがエルウィンには内緒で同行する騎士全員を道端に集めると話しを始めた。
「皆、俺たちは少し離れた場所に座ろう。エルウィン様とアリアドネ様に気を遣うんだ。俺たちがいれば、お2人は色々と話をしずらいだろうからな」
「成程、確かにそうだ」
「う~ん。出来ればどんな話をしているのか、聞きたいのはやまやまだが…」
「馬鹿か、お前。そんなことをすればエルウィン様の怒りを買って、また無茶苦茶な訓練をさせられるぞ」
「ああ、そうだな。また狼やクマを狩って来いなどと言われたら、たまったもんじゃないからな」
騎士達は頷きあい、エルウィンとアリアドネと同じテーブル席には座らないようにと取り決めたのだった――。
****
カランカラン
ドアベルを鳴らしながらエルウィンは宿屋兼、食堂の扉を開けた。
「いらっしゃいませ、旅の方たちですね。12名様と伺っております」
この食堂の店主が笑顔でエルウィン達を出迎えた。
町の者達はエルウィンの正体を知らない。彼自身が騎士達に命じたのだ。
『余計な気を遣わせたくは無いので、自分たちの身元は決して明かさないように』と。
その為、何も知らない店主は気さくに話しかけて来たのだった。
「ああ、そうだ。大人数で押しかけて申し訳ない」
エルウィンは頭を下げた。
「いえいえ。とんでもございません。こちらとしては嬉しい限りです。何しろ越冬期間が終わったばかりですので、お客さんが少なかったので大助かりです。どうぞ、お好きな席にお掛け下さい」
店内には大きな暖炉が置かれ、とても温かだった。来店客は5組だったが、まだ空席は多くあった。
「さ、どうぞお2人はあちらの席に掛けて下さい」
マティアスは笑顔で、アリアドネとエルウィンを真ん中の円卓に案内した。
「そうだな、ではこの席に座ろうか?」
「はい、分かりました」
エルウィンとアリアドネが着席すると、その席を囲むように騎士達はテーブル席に腰かけた。
それはまるでエルウィンとアリアドネの席を取り囲むかのような配置である。
するとそこへ先ほどの店主が2人の若い女性店員を伴って現れた。
「どうぞ、こちらがメニューになります」
3人は手分けして各テーブルにメニューを置いて回る。そしてその内の1人の若い女性店員がエルウィンとアリアドネの前にメニューを置いた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「ああ」
アリアドネに続き、エルウィンが顔を向けて返事をした。
すると途端に女性店員の顔が真っ赤になり、頭を下げると足早に立ち去って行った。
(あの女性‥‥きっとエルウィン様が素敵な男性なので見惚れてしまったのね)
アリアドネはすぐに女性店員の気持ちに気付いたが、当のエルウィンは全く意に介せず、メニューを眺めていた。
(きっと、お城のパーティー会場では‥‥エルウィン様は女性たちの注目を浴びるのでしょうね)
その事を考えると、アリアドネは複雑な気持ちになった。
そして、その予感は思いもかけない形で波乱を巻き起こすことになる――。
彼はエルウィンをとても尊敬し、またエルウィンからの信頼も厚い。その為、今回の旅の同行者に選ばれていた。
そのマティアスがエルウィンには内緒で同行する騎士全員を道端に集めると話しを始めた。
「皆、俺たちは少し離れた場所に座ろう。エルウィン様とアリアドネ様に気を遣うんだ。俺たちがいれば、お2人は色々と話をしずらいだろうからな」
「成程、確かにそうだ」
「う~ん。出来ればどんな話をしているのか、聞きたいのはやまやまだが…」
「馬鹿か、お前。そんなことをすればエルウィン様の怒りを買って、また無茶苦茶な訓練をさせられるぞ」
「ああ、そうだな。また狼やクマを狩って来いなどと言われたら、たまったもんじゃないからな」
騎士達は頷きあい、エルウィンとアリアドネと同じテーブル席には座らないようにと取り決めたのだった――。
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カランカラン
ドアベルを鳴らしながらエルウィンは宿屋兼、食堂の扉を開けた。
「いらっしゃいませ、旅の方たちですね。12名様と伺っております」
この食堂の店主が笑顔でエルウィン達を出迎えた。
町の者達はエルウィンの正体を知らない。彼自身が騎士達に命じたのだ。
『余計な気を遣わせたくは無いので、自分たちの身元は決して明かさないように』と。
その為、何も知らない店主は気さくに話しかけて来たのだった。
「ああ、そうだ。大人数で押しかけて申し訳ない」
エルウィンは頭を下げた。
「いえいえ。とんでもございません。こちらとしては嬉しい限りです。何しろ越冬期間が終わったばかりですので、お客さんが少なかったので大助かりです。どうぞ、お好きな席にお掛け下さい」
店内には大きな暖炉が置かれ、とても温かだった。来店客は5組だったが、まだ空席は多くあった。
「さ、どうぞお2人はあちらの席に掛けて下さい」
マティアスは笑顔で、アリアドネとエルウィンを真ん中の円卓に案内した。
「そうだな、ではこの席に座ろうか?」
「はい、分かりました」
エルウィンとアリアドネが着席すると、その席を囲むように騎士達はテーブル席に腰かけた。
それはまるでエルウィンとアリアドネの席を取り囲むかのような配置である。
するとそこへ先ほどの店主が2人の若い女性店員を伴って現れた。
「どうぞ、こちらがメニューになります」
3人は手分けして各テーブルにメニューを置いて回る。そしてその内の1人の若い女性店員がエルウィンとアリアドネの前にメニューを置いた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「ああ」
アリアドネに続き、エルウィンが顔を向けて返事をした。
すると途端に女性店員の顔が真っ赤になり、頭を下げると足早に立ち去って行った。
(あの女性‥‥きっとエルウィン様が素敵な男性なので見惚れてしまったのね)
アリアドネはすぐに女性店員の気持ちに気付いたが、当のエルウィンは全く意に介せず、メニューを眺めていた。
(きっと、お城のパーティー会場では‥‥エルウィン様は女性たちの注目を浴びるのでしょうね)
その事を考えると、アリアドネは複雑な気持ちになった。
そして、その予感は思いもかけない形で波乱を巻き起こすことになる――。
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