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13−16 頭を悩ませるエルウィン
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その後も順調に旅は続き、アイゼンシュタット城を出発してから5日が経過していた。
「早いものね。もう5日が経過したなんて……。ミカエル様とウリエル様はお元気にしていらっしゃるかしら」
編み物の手を休め、馬車の中から窓の外を見つめながらアリアドネはポツリと呟いた。
エルウィンにプレゼントするマフラーはとっくに編み上がっていた。
そこで今度はミカエルとウリエルの為にマフラーを編んでいる最中だった。
「お城に戻る頃には編み上がっているわね。お2人にお別れのプレゼントを渡すには良い品になりそうだわ」
そして再びアリアドネは編み物を再開した。
その姿をマティアスが見つめていることに気づくこともなく――。
**
「エルウィン様!」
マティアスは先頭を進むエルウィンの元に駆けつけた。
「マティアスか?どうだ?アリアドネの様子は」
「はい、アリアドネ様は今は別の色のマフラーを編んでいる最中です」
「そうか?今度は誰に編んでいると思う?」
エルウィンはワクワクしながら尋ねた。
「そうですね…赤や青、緑、黄色といった柄模様のマフラーでしたから…恐らくミカエル様達のものでは無いかと思われま…ええっ?!な、何故睨むのですかっ?!」
マティアスはエルウィンが殺気をまとって自分を睨みつけていることに気づき、背筋を震わせた。
「お前という奴は……」
「す、すみませんっ!自分は一番後方をついていきますっ!!」
怒りのオーラを放ちながら自分を睨みつけるエルウィンにマティアスは震え上がり、逃げるように馬を駆けて隊列の一番後ろへ逃げていった。
「……全く……」
エルウィンはため息をつくと、前方を見つめた。
何処までも広がる大地を通り抜けると、じきに王都に辿り着く。
エルウィンとアリアドネは毎日顔を合わせるものの、2人の仲は未だに特に関係が変わることは無かった。
自分の方からアリアドネに近づこうとしても、何故かいつも一歩引かれた態度を取られてしまう。
それに常に周りには騎士たちがついており、自分とアリアドネを観察?している。
そのような状況で2人の中を親しい関係にするには無理があった。
第一元々無愛想で社交的でも無いエルウィンには女性を喜ばせるような言葉を掛けることも出来なかったのだ。
「まぁ、いい……王都に着けば会話する機会も増えるだろう……」
エルウィンは旅立つ時に、シュミットとスティーブからアリアドネと交流を深めるようにと言われていた。
国王陛下の命により、嫁いできたアリアドネと未だに婚姻関係になっていないのは流石にまずいのでは…というのが理由だった。
せめて陛下の前で、2人の仲睦まじい関係を見せれば変に勘ぐられることは無いだろう……というのがシュミットとスティーブからのアドバイスだったのだ。
王都に着けばアリアドネとの関係もなんとかなるだろうとエルウィンは軽い気持ちで考えていた。
城に到着後、自分自身に災難が降り掛かってくるなど思いもせずに――。
「早いものね。もう5日が経過したなんて……。ミカエル様とウリエル様はお元気にしていらっしゃるかしら」
編み物の手を休め、馬車の中から窓の外を見つめながらアリアドネはポツリと呟いた。
エルウィンにプレゼントするマフラーはとっくに編み上がっていた。
そこで今度はミカエルとウリエルの為にマフラーを編んでいる最中だった。
「お城に戻る頃には編み上がっているわね。お2人にお別れのプレゼントを渡すには良い品になりそうだわ」
そして再びアリアドネは編み物を再開した。
その姿をマティアスが見つめていることに気づくこともなく――。
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「エルウィン様!」
マティアスは先頭を進むエルウィンの元に駆けつけた。
「マティアスか?どうだ?アリアドネの様子は」
「はい、アリアドネ様は今は別の色のマフラーを編んでいる最中です」
「そうか?今度は誰に編んでいると思う?」
エルウィンはワクワクしながら尋ねた。
「そうですね…赤や青、緑、黄色といった柄模様のマフラーでしたから…恐らくミカエル様達のものでは無いかと思われま…ええっ?!な、何故睨むのですかっ?!」
マティアスはエルウィンが殺気をまとって自分を睨みつけていることに気づき、背筋を震わせた。
「お前という奴は……」
「す、すみませんっ!自分は一番後方をついていきますっ!!」
怒りのオーラを放ちながら自分を睨みつけるエルウィンにマティアスは震え上がり、逃げるように馬を駆けて隊列の一番後ろへ逃げていった。
「……全く……」
エルウィンはため息をつくと、前方を見つめた。
何処までも広がる大地を通り抜けると、じきに王都に辿り着く。
エルウィンとアリアドネは毎日顔を合わせるものの、2人の仲は未だに特に関係が変わることは無かった。
自分の方からアリアドネに近づこうとしても、何故かいつも一歩引かれた態度を取られてしまう。
それに常に周りには騎士たちがついており、自分とアリアドネを観察?している。
そのような状況で2人の中を親しい関係にするには無理があった。
第一元々無愛想で社交的でも無いエルウィンには女性を喜ばせるような言葉を掛けることも出来なかったのだ。
「まぁ、いい……王都に着けば会話する機会も増えるだろう……」
エルウィンは旅立つ時に、シュミットとスティーブからアリアドネと交流を深めるようにと言われていた。
国王陛下の命により、嫁いできたアリアドネと未だに婚姻関係になっていないのは流石にまずいのでは…というのが理由だった。
せめて陛下の前で、2人の仲睦まじい関係を見せれば変に勘ぐられることは無いだろう……というのがシュミットとスティーブからのアドバイスだったのだ。
王都に着けばアリアドネとの関係もなんとかなるだろうとエルウィンは軽い気持ちで考えていた。
城に到着後、自分自身に災難が降り掛かってくるなど思いもせずに――。
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