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14−19 怯えるメイド達
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「チッ!」
マティアスは舌打ちすると、すぐに駆けた。
その後をカインも追う。
廊下の奥では相変わらずメイド達のアリアドネに対する悪巧みの会話は続いている。
「次はどんな嫌がらせをしようかしら?」
「ドブ水でも水差しに入れておく?」
「それがいいわね」
「そうはさせるかっ!!」
マティアスはこちらに背中を向けて会話をしているメイド達に向かって怒鳴りつけた。
「え?!」
「きゃあああっ!」
「ヒッ!」
驚きで悲鳴を上げるメイド達。
彼女たちは恐る恐る振り返ると、怒りで震えるマティアスとカインの姿を目の当たりしにした。
「お前たち……王女様の命令でアリアドネ様に嫌がらせをしていたのか?」
カインは怒気の混ざった声で尋ねた。
その言葉に全員が青ざめる。
「い、いえ……そ、そんな恐れ多い……」
「わ、わ、私達の独断…です……」
「王女様は関係あ、ありません」
彼女達は震えながらも必死で王女を庇っている。
「ほ~う……王女様に対して随分忠誠心があるようだな……。だが、仮にもアリアドネ様はこの国の砦とも言える辺境伯、エルウィン様の婚約者である。更に国王陛下から招待を受けた賓客だということも知っているのか?」
マティアスはスラリと剣を抜き、メイド達に向けた。
「な、何をなさる気ですか?!」
「私達は……王女様お付きのメイドですよ?!」
気丈なメイド達が必死で抵抗する。
「なるほど……自分たちで暴露しましたね?王女様のお付きのメイドであることを」
カインもいつの間にか剣を向けている。
「よし、では今回のことを国王陛下に伝えよう。全てはお前たちの独断でしでかしたことだと。まぁ…そうなると恐らくただでは済まないだろう。何しろ陛下の顔に泥を塗る行為なのだから。最悪処刑されても文句は言えまい」
「そ、そんな……」
「しょ、処刑だなんて!」
中には恐怖でシクシクと泣き出すメイドもいる。
「なら、正直に話せ!これは王女様からの命令なのだろうっ?!」
マティアスの怒声に、ついに彼女達は観念した――。
****
あの後、離宮に派遣されたメイド達は全員一箇所に集められた。
そして騎士たちの監視下に置かれ、すぐにアリアドネに事実が伝えられた。
「……こういう訳だったのです。アリアドネ様」
アリアドネの部屋を再び訪れたマティアスはアリアドネに一部始終を報告した。
「そうですか……王女様の専属メイド達だったのですね……」
ポツリと呟くアリアドネ。
「安心して下さい。アリアドネ様。今、仲間が王宮にこの事実を伝えに行っております。恐らくすぐにでも連絡がいくと思います」
カインが説明する。
「もうメイド達の目にアリアドネ様を触れさせません。なのでどうぞダイニングルームにいらして下さい。温かな食事が用意されていますから。本当に気づくのが遅くなってしまい、申し訳ございませんでした」
マティアスが頭を下げた。
「いえ、もういいんです。あのメイド達の言葉は本当のことですから。私が妾腹の娘である事実は何も変わりませんから」
そしてアリアドネは寂しげに笑った――。
マティアスは舌打ちすると、すぐに駆けた。
その後をカインも追う。
廊下の奥では相変わらずメイド達のアリアドネに対する悪巧みの会話は続いている。
「次はどんな嫌がらせをしようかしら?」
「ドブ水でも水差しに入れておく?」
「それがいいわね」
「そうはさせるかっ!!」
マティアスはこちらに背中を向けて会話をしているメイド達に向かって怒鳴りつけた。
「え?!」
「きゃあああっ!」
「ヒッ!」
驚きで悲鳴を上げるメイド達。
彼女たちは恐る恐る振り返ると、怒りで震えるマティアスとカインの姿を目の当たりしにした。
「お前たち……王女様の命令でアリアドネ様に嫌がらせをしていたのか?」
カインは怒気の混ざった声で尋ねた。
その言葉に全員が青ざめる。
「い、いえ……そ、そんな恐れ多い……」
「わ、わ、私達の独断…です……」
「王女様は関係あ、ありません」
彼女達は震えながらも必死で王女を庇っている。
「ほ~う……王女様に対して随分忠誠心があるようだな……。だが、仮にもアリアドネ様はこの国の砦とも言える辺境伯、エルウィン様の婚約者である。更に国王陛下から招待を受けた賓客だということも知っているのか?」
マティアスはスラリと剣を抜き、メイド達に向けた。
「な、何をなさる気ですか?!」
「私達は……王女様お付きのメイドですよ?!」
気丈なメイド達が必死で抵抗する。
「なるほど……自分たちで暴露しましたね?王女様のお付きのメイドであることを」
カインもいつの間にか剣を向けている。
「よし、では今回のことを国王陛下に伝えよう。全てはお前たちの独断でしでかしたことだと。まぁ…そうなると恐らくただでは済まないだろう。何しろ陛下の顔に泥を塗る行為なのだから。最悪処刑されても文句は言えまい」
「そ、そんな……」
「しょ、処刑だなんて!」
中には恐怖でシクシクと泣き出すメイドもいる。
「なら、正直に話せ!これは王女様からの命令なのだろうっ?!」
マティアスの怒声に、ついに彼女達は観念した――。
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あの後、離宮に派遣されたメイド達は全員一箇所に集められた。
そして騎士たちの監視下に置かれ、すぐにアリアドネに事実が伝えられた。
「……こういう訳だったのです。アリアドネ様」
アリアドネの部屋を再び訪れたマティアスはアリアドネに一部始終を報告した。
「そうですか……王女様の専属メイド達だったのですね……」
ポツリと呟くアリアドネ。
「安心して下さい。アリアドネ様。今、仲間が王宮にこの事実を伝えに行っております。恐らくすぐにでも連絡がいくと思います」
カインが説明する。
「もうメイド達の目にアリアドネ様を触れさせません。なのでどうぞダイニングルームにいらして下さい。温かな食事が用意されていますから。本当に気づくのが遅くなってしまい、申し訳ございませんでした」
マティアスが頭を下げた。
「いえ、もういいんです。あのメイド達の言葉は本当のことですから。私が妾腹の娘である事実は何も変わりませんから」
そしてアリアドネは寂しげに笑った――。
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